日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

ガラス玉の目と一本調子の声

2007年09月20日 | お仕事な日々
今日も今日とて、
夕方からスポーツジムへ行ったら、
なんと、
マネキンが来ていて、
試食販売をしていた(ちなみに商品はこれ)。

私も何度かしたことのある商品(例えばこんなところで)。

まぁね。
スーパーで売れるようなものではないかな、とは思う。
確かに、
ニーズを考えれば、
こういう場所での試食のほうが、適しているようにも思える。

でもね。
マネキンの立場から思えば、
結構大変というか、
時間の流れが遅いだろうなぁ~と想像する。

だって、誰も、
モノを買うためにそこへ来ているわけじゃないんだよ。

ってことは、
それを買うためにだけに、
財布のヒモを緩めるかどうかってところでしょ。
ついで買いってのがないんだから。

多分、売ることより、
味を覚えてもらうことのほうが、
一番の目的なんだろうけど。

マネキンは、果てしなく退屈。
周りだって、活気付いてないし。

それでいて、食べてもらえずに、
劣化していく商品は、どんどん廃棄しなければならず、
もしも立替なら、大変だろうなぁと。

(ちなみに、私は、この商品を売ったとき、
三本買ってくれた人には、一本無料サービスというのをやって、
そのサービス分も、試食分も、
お金を立て替えて、一万円以上持ってかれたことがあります。
返金してもらえるとはいえ、ビクビクしました……)

     ★

帰りに、
お腹もすいていたこともあるけれど、
「買ってあげようかなぁ……」という情がわいた。
商品自体、もともと好きだし、
機会があれば、買って、朝食代わりにしていることがあるし、
日持ちするし。

とにかく、勇気を持って(笑)、立ち寄って、
6種類あるうちの1種類を食べる。

マネキンさんは、
「他のもご試食してくださっていいですよ」
という。

でもそのしゃべっている感じに、ちょっとおののいた。
ロボットみたいだったからだ。

台詞が、私に向かって、言ってない。

マクドでも、居酒屋さんでもよく聞くニュアンスの、
つぶやきなんだけど、
同じ仕事をしている人に、
そうされると、ちょっとおののいた。

傷つかないためというのは、とてもよく理解するし、
私も、きっとこういう風に、
心を閉ざすことでしのぎながら、仕事をしている時もあるんだろう。

でもそれじゃ、買わないし、
他の分を試食する気にはなれない。

そうか。お客さんは、こんな風に感じるんだな……なんて。

私はこのマネキンさんのアクのようなところが見たくって、
「私もこれを売った事あるんですよ」と、
他のお客さんではなかなか言われないであろうことを言って、
フェイントをかましてみた。

「そうなんですか」と、そのマネキンさんは
リアクションを返してきた。

しかし残念ながら、その声の調子も、さっきと同じトーン。

心にロックがかかっていて、
柔軟に意味に対応しきれていない一本調子だった。

私は、もっと揺さぶりをかけたくなった。

と言っても、
負の感情のほうへは持っていきたくないので、
「何時からここに立っているんですか?」とか、
「新発売の味はないんだね」とか、
彼女の個人的なところ、
あるいは、仕事としてレポートに書きやすい意見を言うとか、
してみたけれど、

彼女の目はあくまでガラス玉で、
声は果てしなく一本調子だった。

だめだ、こりゃ。

私が関西人だからそんな基準なのかもしれないが、
芸(?)がなさすぎなところに、お金を落とす気はありゃしまへん。

購買欲はどんどん萎えて、
「ありがとう」と言って、私は何も買わずに立ち去った。

でもまぁ、もしかしたら、
彼女は夜の9時まで仕事だといっていたので
(私が話しかけたのは8時半)、
心はすっかり、「帰る体制」に入っていて、
食べる食べない、売る売らない、
どうでもいいって状態になっていたのかもしれない。

その気持ちもわからなくない。

私も、ガラス玉の目、一本調子の声のトーンの時は、
繰り返すけど、同じようによくやっている。

「こんな気持ちになるのか。気をつけよう」と、
まじめな気持ちで思った。

でも、どんなお客さんに対しても
というわけではなく、
お客さんを見極めながら、ずるくしたたかにね。

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