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創造の魅力

機械設計者としてのものづくりの魅力を共通のテーマとしていろいろな人と語り合う場を造って行きたいと思っています

読んで判る機械設計(4)ボルト用穴

2007-04-04 10:31:45 | Weblog
 ボルト穴の等級は1級から4級まであります。穴の等級によって大きさが異なり1級がもっとも小さな穴で精度の高い穴となっています。
 一般的には2級、3級の穴の大きさがよく用いられます。たとえばM12ボルト用穴の2級はφ14mmで、3級はφ15mmとなっています。通常、中小物部品は2級、比較的大きな部品には3級がよく用いられます。
 市販で販売されている機器・部品の多くの取付穴は1級となっています。これらはで主にNC機械などで大量生産加工された部品が多く、また、組立精度も高いため、取り付け穴のピッチ精度が高くなっています。

 ボルト穴の大きさは組み合せる部品の穴の相対的な位置精度に関係するもので、穴が1個だけの場合は問題が少ないですが、ボルト穴が複数個ある場合は集積誤差や角度誤差などが加わり、穴のずれが大きくなってきます。

 ボルト用の穴加工はハンドドリルあるいはラジアルボール盤などで加工されることが一般的ですが、この場合、準備作業として罫書き針で穴の位置を罫書いて、中心位置にポンチでくぼみをつけた後、ドリル加工します。
 罫書き精度は穴と穴のピッチ距離や測定具の精度、罫書き作業者の技量などによって差異がありますが、一般的に±0.3mm程度のばらつききが罫書き精度の限界とされています。
 罫書き作業の場合、2個以内の穴の場合であれば大きな問題となりませんが、3個、4個と穴が増えるたびに罫書き精度が穴と穴の中心間距離の精度誤差だけでなく、角度誤差が加わり、位置のばらつきの差異が大きくなります。したがって、4個以上になると、罫書き作業による穴あけ加工は組合せ部品を別々に穴加工できないと考えておく必要があります。

 多数穴を有した合わせ部品加工は原則としては手作業が介入しない加工法、つまり、機械精度で加工する方法を採用しています。

 機械加工に頼れない部品などで、手作業で穴を開ける場合には、穴を明けた片方の部品を相手側の部品に合わせた状態で穴の中心部にマーキングして加工する手段をとります。これを現物あわせ加工と呼称しています。
 カバーなどのボルト穴の加工はこの方法で加工します。しかし、同じ形状寸法のカバーが複数ある場合はカバーに番号をつけるなどして、取り付け個所を指定しないとカバーが入れ替わった場合には取り付けが出来ないことになります。

 これらの問題の解消法としては、あらかじめ穴を開けた型板を作っておき、型板に合わせて部品に加工する方法があります。取り付ける部品が複数個あって、交互に交換して使用する場合や予備品のように互換性が要求される部品の穴加工などに用いられます。この方法をテンプレート加工と呼称しています。

 その他の加工法としては、位置決めピンを打ち込むような精度が要求された穴加工場合は、部品を組合せた状態で一括して加工する方法があります。これを同時加工と呼称しています。

 その他には小判穴と呼称する長い穴を設けることによって、長手方向のピッチ公差のばらつきに対応できるようにした方法もあります。この小判穴の角度を90度にずらして組合せることによって、組み合わせ部品を別々に穴加工した部品でもボルトのセットが容易にできるため、広く利用されています。

「設計上のポイント」
ボルト穴は製品機種や業種によって使用される穴の等級がまちまちで、各企業で適用基準が取り決められています。設計に当たっては各企業の基準に従った選択で使用することが重要ですが、製品の要求や加工法によって穴等級を見直して選択することも大切です。


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