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創造の魅力

機械設計者としてのものづくりの魅力を共通のテーマとしていろいろな人と語り合う場を造って行きたいと思っています

読んで判る機械設計(6)ボルト・ナットの不思議

2010-05-17 18:30:40 | Weblog
ブログを休んでから久しいが、かれこれ2年以上になる。
話が突然変わるが、先日、テレビで放映されたもので目についたものとして、ナットを1個挿入した棒ねじを垂直に立てた状態で、軸端に電動歯ブラシを当てると、当て方によって、ナットが上昇したり下降したりする現象が紹介されていた。
しかし、これを実験する場合はナットが軽く回るくらい遊び(ガタ)がないとできない。

この原理をねじの専門家に聞く場面があり、それなりに説明がされているが、もうひとつ的が得た回答がなかった。素人考えから言えば、振動でナットが下降するのは何となく理解できる範疇にあるが、上昇するのはまったく不思議な現象と言える。
しかし、私はむしろ、専門家が説明できなかったのが不思議である。

棒ねじを展開するとリード/(π×中心直径)で表す傾斜になることは知られている。
ナットが傾斜上で滑らないのはナットの重力がナットとねじ面との摩擦抵抗力より小さいから滑り落ちないことも比較的簡単に理解できる。
ナットが下降するのは振動によってナットとねじ棒のねじ部の遊びの隙間だけ上下振動することで、ナットと棒ねじ間の摩擦抵抗が小さくなり、ナットが下降することも理屈では判りやすい。

しかし、ナットが上昇する原理を説明することは簡単にはできない。言葉で説明すれば、振動方向が糸口となるが、ねじのリード角より少し大きめの角度で上り傾斜方向に振動させることにより、ナットに上方向の推進力を与えて上昇させることができる。

この原理を応用したものにボウル型パーツフィーダ(自動部品供給装置)と称する産業用製品がある。「パーツフィーダー」というキーワードでネット検索すれば製品のメーカーが判るので各メーカーのホームページで製品が紹介されている。
実物は毎年開かれている産業機械の見本市で必ず展示されている製品であるので、興味のある方は出向かれたらいかがですか?


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