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創造の魅力

機械設計者としてのものづくりの魅力を共通のテーマとしていろいろな人と語り合う場を造って行きたいと思っています

機械製図(加工記号と寸法公差)

2005-10-04 21:51:46 | Weblog
 機械製図では必要な加工方法を指示し、適切な加工記号、寸法公差を指定することが大切です。機械製図を学んだ人にとっては当たり前のことですが、加工記号「▽」の示す意味を理解して図面を描いている人はどれだけいるでしょうか。
「▽」は具体的には加工面の粗さを▽の数で表しています。粗さを数値で示すより「▽、▽▽、▽▽▽」で示せば一目瞭然で必要とされている加工面の粗さがわかります。つまり、記号化によって文字よりも正確に加工する人に設計者の意思が伝わることになります。

 加工記号は加工面の粗さを示していますが、実際の機械加工現場では、加工記号は加工する機械名や機械加工能力を示すことになります。たとえば、平面加工の場合は「▽」であれば平削盤、「▽▽」であればフライス盤で加工することになります。
 それだけではありません。それぞれの機械には加工できる部品の寸法限界があります。「▽▽」の面粗さを要求されても要求どおりに加工できる機械がないこともあります。
 一般的には保有機械で加工できない場合は加工現場から問合せがありますが、まじめに考えて要求にこたえようとして、プラノミラといった大型で精密加工ができる機械を保有する工場(会社)に依頼するかもわかりません。当然でありますが、加工コストは大幅に高くなります。

 このように製図者が▽記号を安易に1つ増やすだけで加工費用は大きく変動することになります。製品に要求される性能・機能を満足させるために必要な加工記号の選択は設計製図者にとって重要です。一つ一つの選択の差の積み重ねで製品価格は大幅に異なることもあります。

 加工面粗さとともに大切なのが加工の寸法交差です。寸法公差は加工誤差の許容値を指定するものですが、一般的には標準的な寸法公差があります。製品が出来てからのトラブルを避けるためには標準寸法公差表というものを図面に記載しておくことが無難といえます。

 標準寸法公差表とは図形に記載した寸法数字に公差を付記しない場合はすべて表中の公差内に加工することをルール化したものです。つまり、標準寸法公差よりも厳しい公差が必要な寸法部分のみ図形の寸法数字に公差を付記するという方法です。製図者の手間を少なくするひとつの方法と言えます。

 寸法公差の事例として機械加工の場合を述べましたが、製缶加工でも鍛造・鋳造でも同様に寸法公差というものが存在します。もし、標準寸法公差表もなく、図形寸法にも寸法公差を指示しなかった場合はどのような公差で物が作られるのでしょうか。

 標準的な作業でそれぞれの加工機械を使って加工した場合に得られる加工精度が決められています。設計・製図をする人はある程度の一般的な加工精度を知っておくことも大切です。一方では作業者の計測誤差も含まれる加工法もあります。ものづくりにはいろいろな製造法・加工法に応じた加工精度というものがあります。設計・製図者は自分が描いた図面の部品がどのように製造され加工されるかを理解して、加工記号・寸法公差を指定する必要があります。

加工記号、寸法公差は部品の用途、期待される性能・機能によって決められますが、製造法・加工法を知ることにより、自分が描く図面の部品コストを知ることは設計・製図者にとって非常に大切なことといえます。

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