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創造の魅力

機械設計者としてのものづくりの魅力を共通のテーマとしていろいろな人と語り合う場を造って行きたいと思っています

機械製図(鋳造・鍛造図面)

2005-11-15 11:53:06 | Weblog
 鋳造(鋳物)製品図面といえば一昔前では機械設計製図の教育用サンプル図面としてよく利用されていた図面ですが、現在では多量生産品でない限り、あまり見られなくなりました。

 鋳造・鍛造は製品図面の製図だけでなく、製品を作るための金型設計が重要です。製缶図面と異なるのは隅又は角部にRを設けることと肉厚の選定がポイントといえます。鋳造製品や鍛造製品の隅や角を鋭角にすると強度上の問題だけでなく、製造過程で欠損や欠陥製品となるため、Rの大きさや肉厚のバランスに気をつける必要があります。
 詳細については鋳造技術、鍛造技術のほか冶金学、塑性力学の専門書などから知識をつけることが大切です。

 鋳造・鍛造はともに機械化、自動化が著しく発達して、大半は量産製品が対象となっています。代表的な業界としては自動車メーカーおよび傘下の鋳造・鍛造会社があります。
 手作業による鋳造や鍛造は特殊な用途、形状で生産量が非常に少ない製品を扱っている鋳鍛造会社で専門的に行われています。

 鋳造、鍛造製品は設計図面の形状寸法に対して、加工技術の経験と試作の繰り返しの結果から形状が見直されることが多くあります。

 鋳造・鍛造ともに製品の形状・寸法によって、製造方法が異なりますので、簡単に述べることが出来ませんが、何れにしても製造する鋳型・金型が製作できる形状にする必要があります。

 鋳造製品は鋳型に溶融金属を流し込んで製造します。鋳型は一般的には上型、下型、中子という型構成となりますが、これらの型の組み合わせで製造できる製品図面にする必要があります。つまり、鋳造方法、鋳型構造などを念頭に入れた設計製図が大切となります。

 鍛造製品は主に鍛造機械で製造します。金型は上型と下型があり、下型に素材を供給して上型を押しつけて塑性加工します。素材から製品になるまでの変形量に応じて、素材の加工温度や型打ち工程数が異なります。工程数とは金型の数で、素材から少しずつ変形させて、最終工程で製品形状にします。
 鍛造は一般的には1000℃~1250℃に素材を加熱して鍛造する熱間鍛造を指しますが、常温で鍛造する冷間鍛造や中間温度で鍛造する温間鍛造などの方法もあります。

 鍛造機械の種類・容量は素材の温度、大きさ(重量)と変形量に応じて選択されます。製品の大きさ、形状、寸法が変わるごとに金型が製作され、場合によっては鍛造設備ラインの新設まで計画することもありますので、既存の鍛造設備の能力を考えた製品設計をすることが大切といえます。

鋳造製品の例では自動車用エンジンカバー、鍛造製品の例ではクランクシャフトなどが代表例といえます。

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