2008年 是枝裕和監督作品。
今まで何回か見てるんだけど、今回、お正月映画としてTV放映されていたのを録画して、もう一度観た。
やっぱりすごかった。
田舎に住む老いた父と母。
都会に住む息子と娘。
それぞれが家族を連れて帰省する。
たぶん、誰もが自分の家族を思い出すであろう、そんな、日本のありふれた一家の、ありふれた夏の一日を淡々と描いている。
親子、夫婦、姉妹、嫁姑。
人間関係が丁寧に切り取られている。
人間関係がリアルで怖いくらい。
その人間関係を通して見えてくる、若さと老い、生と死。
何度見ても、胸が痛くなる。
この映画の老夫婦(原田芳雄、樹木希林)を見て思い出すのは、田舎に住んでいた祖父母だ。
おそらく、あと10年くらい経ったら、父母を思い出すのかもしれない。
その一方で、共感してしまうのは夏川結衣が演じる嫁だったりする。
他人の中で、意識的・無意識的な周囲の悪意を感じつつも、笑顔で嫁としての役割を演じ続け、疲れて部屋で休んでるシーン。
家でも、社会でも、多かれ少なかれ、こういうことってあると思う。
原田芳雄も、夏川結衣も、阿部寛(息子)、YOU(娘)も、それぞれ名演ですが、樹木希林の演技がものすごいです。
普通のやさしいおばあちゃんの、心の底に潜む押し殺した思い、狂気。
この人は、大女優だ!
そして、本筋とは関係ないんだけれど、お料理シーンがお気に入りです。
音が!美味しそうなの。
枝豆をざーーっと、ざるに茹であげて、じゃっじゃっと湯を切る音。
茗荷をじゃくじゃく、と刻む音。
とうもろこしの天ぷらを揚げる時の、パチパチとはねる音。
たまりません!!
あとは、濃いピンク色の百日紅が、要所要所に効果的に使われているのもお気に入り。
鮮やかで美しいんだけれども、田舎の夏の暑苦しさ、人間関係のうっとうしさをも表現しているような気がする。
録画してあるので、また観ると思う。
でも、ちょっと苦しくなるので、少し、間を置いてからにしよう・・・・。