個人雑誌編集長兼雑用作家、

遣りたい事をやりしたい事をする。難しく考えず人生を楽しむ事を目指しています。※恋人募集中、稼げたらね!

齋藤務作品[武器少女ガーネットスプリンガー] 

2017-02-23 04:49:47 | 新作テスト小説


武器少女ガーネットスプリンガー

 ー 第五話 ー

青い星の乾いた荒野

(酒場)

大きな街の賑やかな喧騒が、ガーネットの耳に聞こえて来た。

音楽や歌があちらこちらから聞こえて来る。

店店が飾り立てたショーウインドウや、道行く人々の着飾った様々な服が行き交っている。

そんな色とりどりの華やかな街の通りを、主の正也と武器馬に乗って歩きながら、ガーネットは胸が躍っていた。


高速輸送馬車を襲撃した犯人を追って、ガーネットと正也は、サウスエデンに着いた。

この広い荒野では、大きな街は限られている、ここは意外に大規模の街だった。

宇宙軍の戦闘騎兵隊の砦もあるが、正也の特殊空間騎兵隊は別組織に近かった為に、砦では、ここから数キロ離れた場所で、高速輸送馬車が何者かに襲撃されて乗員が殺害されていたと報告をしてから、自分の所属する本体への状況連絡を入れた。

その結果、正也は、暫くは、このサウスエデンに留まる事に為った。


砦の外に出て、休暇を楽しむようにして、正也はガーネットと通りを歩き散歩をしている。

すると、ガーネットが、武器用の服店で足を止めた。

前に正也が言った事を急に思い出したのだ。ガーネットが正也を振り返って見ると、正也は財布の中を仕切りに気にしているみたいだった。

武器店に入り、服を試着しているガーネット、ドレスや、ルミナスみたいなタイトな服とか、セクシーな物まで挑戦していた。

武器がセクシーな服を着ている、そんなおかしな光景だが、正也も楽しげに微笑んでいる。

だが然し、その値札を見ては、正也は顔を歪めていた。

何でこんなに高いんだと言わんばかりの顔で武器店の定員を見ると、定員は正也を無視してガーネットにどんどん服を持ってくる。
「お客様、これは当店自慢のアラミド繊維をナノサイズで特殊加工編みをした。贅沢な布地を最高のデザイナーがデザインしており、仕立ても軍事機密を含む特別性でございます。」

と、売り文句を並べて、更には、黒い上下の、ヤラチイー、ガーター付きの、正人も目を伏せる物まで進めている。
「これは特殊なカーボンファイバーで織り上げられた極上の下着でございます。これを、お客様が、身にお着けになれば、ご主人様も大喜びの品でございます。」

などと、客の武器の気持ちを確りと掴んで売り付けている。主の正也を、ヤラチイー下着で追い払うようにして売り込みを掛けている。

そんな店の営業方針には文句は言えずに、楽しげなガーネットにも抗議できずに項垂れる正也、
「ガ、ガーネット、も、もう服は決まったかい?」

弱弱しい声を出して正也が言うが、向こうでガーネットは、何着か手にして悩んでいるようだった。

それを見た正也の魂が体から抜け出して、高い高い天で楽しげに舞い踊っているみたいに、地上にいる正也は財布を握り、抜け殻に近かった。

高い高い値段も高い、そんな桁数の多い値札が、そこの店には空の星のように無数にあるのだ。



結局、空の星を欲しがるように、ガーネットが欲しいと言う物を買ったのだが、正也は、ふわふわと宙に浮いて地に足が付かない、と言うよりは足が出ていた。

そんな事など気にもせずに、ガーネットは服を三着購入していた。

それで正也の給料とボーナスが吹き飛ばされていた、無残にも財布の中身に何もない荒野は広がっていた。






そんな正也とガーネットが、ある酒場の前に通り掛かった時だった。

そこから追い出された武器の少女が転がって出て来たのだ。
「何だ!バキャロー!アタシの電磁カッターで細切れにされたいのか?」

と、チッコイ武器が強がっている。

そして、正也とガーネットを見ると、
「何見てんだよ、見世物じゃあねーぞ!アタシャ列記とした武器だ!最高の武器なんだよ、うえーーーん!」

と、泣き出した。

それを宥めるガーネット、
「どうした?チッコイの、大きい武器にいじめられたのか?」

と、これまた気も使わない言い方で、チッコイ武器の気持ちを思いっきりに踏み付けた言い方をしていた。

「何だよ、着飾った武器が、形ばかりで満足に戦えない武器の癖に!」

ガーネットが、腕を電磁ソードにして見せ付ける。

すると、チッコイ少女はまた泣き出した。
「うえーーーん、これ見よがしに、大きな電磁ソードを見せ付けやがって、うえーーーん!」

その小さな武器は、良く賭博師や酒場で働く女が護身用に連れ歩く、小型の携帯武器であった。

接近戦や単独戦闘を得意にした武器だが、威力が小さく、戦闘力も限られていて、相手の意表を突いた一撃を仕掛けるだけの武器だった。

その小型武器の少女が、
「私は、デンジャラスな武器なんだ!触ると火傷じゃ済まないからね!」

と、強がり嘯いている。

だが確かに、この武器の一撃は人ひとりは簡単に葬れる。

正人は、酒場の中を覗くと、中では、賭博師たちがゲームの真っ最中だった。

それでちょこまか動き回る、この武器が追い出されたんだと理解した。

「まあ、ゲームが終わるまでは、大人しくしていた方がいいな!イカサマだと言って争いに為るからな?」

すると、顔色を変える武器、
「ま、不味い、相手のカードの手の内を覗かないと、主にこっ酷く叱られる。」

そう言って、小さな武器が酒場に飛び込んでいった。

それに驚く正也、
「ええつ、な、何だ!?」

チッコイ武器は、色んな角度から、ゲーム中の客の手元を覗いているのだ。

のけ反る正也、だが然し、そんなイカサマは直ぐに襟首を掴まれ、その主に突き出されて仕舞う、
「おう、これは何だ?リードさんよう」

カードを手にした派手な白い服を着た男が、チッコイ武器をチラリと見て言う、
「知らないな?俺の武器じゃないよ、誰の武器かな?」

と、見え透いた嘘を言い、恍けている。

然し、男たちは収まりが付かないようだった。
「おう、さっきから、テメーばかり勝ち続けてんじゃねーか?おかしんじゃねーのか?」

と、直ぐにイカサマだと分かりそうな物なのに、今頃、丸裸で文句を言っている。

だが、そのイカサマ男が、脇からこれまた派手な真っ赤なドレスを着た武器を膝の上に座らせると、その武器は腕をガトリングマシンガンに変化させて、男たちに向けていた。

それには、ビビる男たち、

「君たちは、僕に言い掛かりを付けているみたいだが?文句が有るならカードの勝負で勝って言いなさい!」

と、勝てないから文句を言っているのに、理屈にも為らないセリフを堂々と言っていた。

それを正当化する為に、膝の上の武器が強力な武器を見せ付けている。

文句もそこそこに男たちは、その儘の姿で退散していく、それを不敵に微笑み見送るイカサマ男だった。

外に出ていく男たちが、いこうとするのを、正也が止めた。
「その子は、どうするんだ?」

男たちは、正也の空間騎兵隊の制服を見て、仕方なしに、襟首を掴んでいたチッコイ武器を地面に投げ捨てていく、

投げ捨てられたチッコイ武器は、
「あいたたた、泥まみれに為っちまった。お前の所為だぞ!」

と、正也に向かって文句を言っていた。

そんな後に、酒場の裏道に出てきたイカサマ男は、自分の武装馬に赤いドレスの武器と一緒に跨っていこうとしていた。

そこへ、正也とガーネットが、チッコイ武器を連れて現れる。
「この子は、あなたの武器でしょ?」

男が振り向く、
「あん、ああ、スズランか?もうそいつは、俺の物じゃあ無いよ、武器としては使いないガラクタだからな!」

「ガラクタ」

「そうだ、電磁発生器もいかれてるし、二発撃てる電磁ショットも撃てないガラクタさ!」

その主の冷たい言葉に項垂れるスズラン、

「いらないのか?この子は、」

「ああ、いらないよ、お前が捨てて置いて呉れ!礼はしないがね。ハハハハハ」

呆気に取られる正也とガーネット、捨てられた武器には行き場所など無い、廃材再生施設で破壊されて、跡形もなくなる、それが運命だった。


正也は、砦に戻り、武器の機械の修理の出来る工兵を探した。

そして、スズランを修理して貰ったのだが、

「こいつは酷い、電磁発生器が抜き取られている上に、両足の電磁ショットも中身が無いんだ!」

「はあ?無い、何も無いんですか?」

「そうだ!こいつにそれを入れるなら、新品を買った方がお得な位だな!」

全くイカサマ師は、自分の武器からも必要な物はかすめ取っていた。

抜け目が無いと言うか、スズランに残されていたのは、頭の小型AIと外装の体だけだった。

溜息を吐く正也、次の給料まではスズランは砦に置いておく他は無かった。


宇宙軍の戦闘騎兵隊の砦の、正也の部屋の窓辺で、椅子に座り外の街を見ながら、ガーネットは何かに思いを募らせていた。

悲しげに遠くを見詰めている、だが、足音が近付きドアが開くと、そこに立つ正也を見て、自然に微笑むガーネットだった。





2017、2、23、個人雑誌グラス編集部、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、

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齋藤務作品[武器少女ガーネットスプリンガー] 

2017-02-23 04:21:29 | 新作テスト小説

武器少女ガーネットスプリンガー

 ー 第四話 ー

青い星の乾いた荒野

(お尋ね者、)

真っ暗な空が、地平線から横一面に輝くように光りが広がり、赤く燃えた太陽が荒野の大地から昇ってゆく、

人の温もりのように、ガーネットの頬を暖かな光が包み込む、心地よさそうにして、正也の背中に顔を埋めて、目を閉じるガーネット、


ガーネットと正也は、朝日が昇る荒野の中を、武器馬に跨り平原を進む、広がる大空と大地の、そんな地平の境界線で、何かの爆発と煙が立ち上り、

正也とガーネットの行く手の、その遥か向こうで、街と街を結ぶ高速輸送馬車が襲われていた。

それに気付き、正也がガーネットと共に、高速輸送馬車の救援に向かった。

然し、高速輸送馬車は無残にも破壊されて、その乗員たちも息絶えていた。

正也は、高速輸送馬車を襲った犯人たちを追う事にしたが、走る武器馬でガーネットが正也に聞く、
「何で、犯人を追うんだ。目的地にいくのに反対方向だぞ!」

正也、
「仕方ないんだ。僕は、特殊空間騎兵隊の准尉だから、見逃すわけにはいかない!」

ガーネット、
「空間騎兵隊!?あの連邦宇宙軍所属の戦闘騎兵隊か?」

正也、
「まあ、僕の所属は、特殊空間騎兵隊なんだ。惑星の街の警備や治安とか見て回るんだ。」

ガーネット、
「惑星保安官なのか?」

正也、
「違うよ、宇宙軍の騎兵隊だから、敵とかと戦うんだ。」

ガーネット、
「敵!?」

正也、
「そうだ、敵だ。僕たちは、あらゆる敵からの攻撃を阻止して、移民惑星を守っているんだ。」

ガーネット、
「あらゆる敵か?サーデュラス、私の敵・・・」

正也、
「んん!?何か言ったか?ガーネット、」

「何でもない、独り言だ。」

「独り言ね。そうか、ならいい!」

ガーネットが口にしたサーデュラス、正也は顔を曇らせた。


正也たちが追う、高速輸送馬車を襲った犯人らしき者は、大きな岩場を回り込んで迂回して、サウスエデンに向かったらしい?

この付近では一番大きな街だった、正也とガーネットは、サウスエデンの数キロまでの所で、野宿をしているらしい煙を見付けた。

武器馬から降りて、その焚き木の場所に、そっと近付くと、焚き木の場所には人の姿は無かった。

だが然し、付近を調べている。正也の背後に回った男が、正也の背中から電磁ライフルを突き付けた。

そして、
「こんな所まで、俺を追って来たのか?その制服は、空間騎兵隊の服か?」

正也、
「そうだ!僕は、空間騎兵隊の准尉、藤城正也だ。貴さまは何者だ!」

「んん!?俺を追って来たんじゃないのか?小僧、」

「僕は、高速輸送馬車を襲った犯人を追ってここに来たんだ。貴さまが高速輸送馬車を襲った犯人だな?」

「違うな、俺は、ここにいただけだ。人違いだな、小僧」

「だが、追われているお前も、犯罪者には違いない、誰だ!お前は?」

「まあ、名乗る程の者では無いと言っておくよ、小僧」

「僕を小僧と言うのはやめてくれ、これでも空間騎兵隊の士官候補だ。」

「ほう、若い隊長殿か?で、部下はどこだ?准尉と言ったな、なら小隊か?五人だな!」

「今はいない、僕だけだ」

「嘘を言え、指揮官候補でも部下はいる、お前は部下とはぐれたとでも言うのか?」

「単独行動中で、一人だよ」

「ランドルフ、ここにもいました。その隊長さんの武器でしょう、さあ、こっちに来なさい!」

「なに!?ランドルフだと・・・」

ガーネットが、男の武器に捕まって引き摺られて来た。

「な、何だ!?あのガーネットを捕まえたのか?ガ、ガーネット、ガーネット、」

正也が、ガーネットを呼ぶ、すると、引き摺られたガーネットが、正也に答える。
「正也、こいつ汚い真似をして私を捕まえたんだ!」

「汚い、真似!?」

「そうだ!正也の姿に化けたんだ!骨格可変型武器だ。姿も変えられるやつなんだ!」

正也が、ガーネットを捕まえた武器の主に向かって言う、
「そう言う事か!ランドルフ、お尋ね者、元戦闘騎兵隊少佐、ユスカ星系、荒山前哨砦を全滅した男か?」

ランドルフ、
「まあ、そう言われているな!ルミナス、その武器の小娘を押さえて置けよ、新型みたいだ!」

「はい、ランドルフ」

正也は、ガーネットに目配せをする。

すると、ガーネットも正也に頷き答えた。

そして、ガーネットの腕が突然電磁ソードに為りしばいていた合金ワイヤーを切断して、ランドルフの武器のルミナスを電磁マシンガンの足で蹴り上げる。

ルミナスは軽く、ガーネットの攻撃をかわしたが、ガーネットを離して自由にして仕舞った。

猛然とルミナスに突進するガーネット、両腕の電磁ソードでランドルフの武器のルミナスに切り付ける。

だが、柔軟に体を反らし、ガーネットの攻撃をことごとくかわして仕舞う、頭にくるガーネット、
「この武器女、こんにゃく見たいにぐにゃくにゃしやがって、田楽にしてやる!」

ガーネットが電磁ソードを最大に伸ばし、激しく突きを繰り出す。

ルミナスは下がりながら体を回して、隙を突きガーネットの脇から肉薄して格闘攻撃をしてきた。

その腕と足でガーネットの首や腕をへし折ろうとする。

だが、ガーネットの体はビクともしない、
「はん、そんなもの、蚊に刺された程も感じない!」

ガーネットは両足を電磁マシンガンに変化させて、ルミナスに連射する。

地面を蹴り宙を舞うルミナス、ガーネットの単純な攻撃を難なくかわし切っていた。
「くそー、ちょこまかと動き回りやがって、」

ここまで来るとガーネットは、やけくそにマシンガンを連射しながら、両腕の電磁ソードでめちゃくちゃに空を切り、背中のニードルダガーを一斉に発射する。

更に目から高エネルギーレーザーを発射、ガーネットは胸を開きハイパー電磁キャノンを撃ち出した。

当たり一面爆風と閃光が走った。

正也とランドルフは、その凄まじい狂乱したガーネットの攻撃に度肝を抜かれていた。

かわしていたルミナスが、一瞬、体制を崩すと、ガーネットの電磁キャノンと電磁マシンガン、高出力レーザーに追い詰められて仕舞った。

そこへランドルフが、正也を離して、ガーネットとルミナスの間に入り、ランドルフはルミナスを両腕で持ち上げ、ルミナスの体を大きく回して、ガーネットの体をルミナスの両足で地面に叩き付ける。

彼らは軽やかに踊るように二人の攻撃が、ガーネットに襲い掛かった。

ルミナスの両足が電磁マシンガンに変化し連射を始める、二人は、ガーネットへ次々と攻撃を仕掛けてくる。

電磁ソードで切り、電磁マシンガンをガーネットの体に浴びせる。

そして、体を回しながら、全方位攻撃をするランドルフとルミナス、ガーネットは正也の前に立ち、腕を盾に変え、ルミナスの攻撃を弾き返す。

だが、直ぐにランドルフとルミナスの姿が、大きな爆風と共に消え去って仕舞った。

「あのヤロー!私たちを煙に巻きやがったな?追跡して粉々にしてやる!」

ガーネットが、ランドルフたちを追おうとするのを正也が止めた。
「よせ!ガーネット、格が違いすぎる。」

振り返るガーネット、正也が言う、
「ガーネット、お前の体を良く見ろ、もう限界だ!再生が追い付かない、ガタガタだ!」

ガーネットが自分の両手と両足を見る。

電磁ソードはスパークしてエネルギーが不安定に為っている。

足の電磁マシンガンもオーバーヒートで煙を上げていた。
「くそー、初めからフルアタックを掛けていれば良かった!」

正也は、そんなガーネットの頭を撫でていた。

不図、顔を上げるガーネット、

「もういいよ、僕は、ガーネットに助けられた。君は凄いな、あいつらをあそこまで追い詰めたんだ。」

正也が、地面を指差す。

ガーネットがそれを見ると、ルミナスの腕が転がっていた。

それは、主を守るためにガーネットの高出力レーザーを受け止めた物だった。

ガーネットは、正也に抱き付いた。

その顔は悔しさを浮かべていた。

戦いで負けた事にガーネットは、悔しさを感じたのではない、ルミナスとランドルフ、あの息の合った戦いを見て悔しさを感じたのだ。

正也も、そんなガーネットの気持ちが分かっていた。
「ガーネット、僕も、あんな風に君を守れたらいいな?」

ガーネットが顔を上げ、正也を見る。
「私は、あいつ見たいに、何が有っても正也を守ってやる。絶対だ!」

武器の少女は、主に抱き付いて泣いていた。
「くそー、あいつは、粉々じゃあ済まさない、溶かしてトイレの便器にしてやる!」

ガーネットの言葉に、正也がのけ反っていた。


日の傾いた荒野に、二つの影が寄り添って歩いていた。

遠くから黒色の武器馬が駆け寄ってくる。

武器とあるじは武器馬に跨り、地平の遠くへと走り去る。

そんな反対方向で、大きな街を目指し、ゆっくりと進む武器馬に乗った正也の後ろで、ガーネットは、再びあるじの背中に頬を当てて、

その温もりを感じている。ガーネットが目をそっと瞑る。

今まで以上に、それは前よりも温かく優しく感じていた。





2017、2、23、個人雑誌グラス編集部、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、

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齋藤務作品[武器少女ガーネットスプリンガー] 

2017-02-21 22:33:44 | 新作テスト小説

武器少女ガーネットスプリンガー

ー 第三話 ー

青い星の乾いた荒野、

(囚われの街、)

吹き荒ぶ風が、ガーネットの頬を撫でる。目を細め何かを思うガーネット・・・

広い荒野を、二人は武器馬に跨り、その旅は続く、正也の背中に抱き付いているガーネット、正也が言う、
「君の動力は何だい?超粒子崩壊電池かな、それとも空間粒子発生器なのかい?」

ガーネット、
「主は、もう少しロマンチックな事は言えないのか?こんなに広い場所に二人っきりだと言うのに、」

正也、
「武器の君に、いったいどんな話をすればいいんだ?」

「あーー、それそれ、君とかじゃなく、ガーネットって呼んで欲しい」

「じゃあ、ガーネット、君に何て言えばいいのかな?」

「んーーー、月よりも綺麗だとか?」

「今は、昼だよ!」

「んん、あそこに、二つ見えているけど・・・」

「あれは、昼間の月だよ、ロマンチックって言うなら、夜の月だよ」

「昼間の月じゃだめなのか?」

「まあ」

「まったく、武器を相手に何を囁くんだ。」

「何かいったか、主?」

「あーー、それそれ、僕の事は、正也でいいよ」

「そうか、じゃあ正也、私は月よりも綺麗だろ?」

「まあ、昼間の月よりは」

「そうか、ありがとう」

「ああーー」

武器馬の上で肩を落とす正也、

そんなガーネットと正也は、荒野を抜けて、やっと小さな街へ入った。

だが目的地は、まだ遠いらしい、ここで必要な物を補充して行くと言う、

正也から、少しの間、街を見物していてもいいと言われて、ガーネットは楽しげに街の中を見ている。

すると、そこに、街の厄介者たちが現れた、武装馬に引かせた装甲馬車に何人も男たちが乗っていた。

その中の男は、両手に美しいドレスを着た二人の武器を携えていた。

道の脇から見上げるガーネットを見下げて、ドレスを着た武器たちは、ツンとお澄ましをしている。

ガーネット、
「何だ、あの着飾った武器は?」

武器たちを抱いた男が、下にいるガーネットを見て言った。
「何だ?武器を放置して、どこの間抜けだ!」

ガーネット、
「私の主は間抜けでは無い、バカなくらい優しいだけだ!」

男、
「んん、バカなのか?」

ガーネット、
「違う、バカな位だ!」

男、
「バカに近いのか?」

ガーネット、
「そうだ!」

男、
「なら、バカなんだ!」

ガーネット、
「うううう・・・」

ガーネットは言葉に詰まった。

そこへ、その、正也が、
「どうした?ガーネット、何をバカな事をしているんだ。」

正也は、両手に着飾った武器を持つ男を睨みながら言った。

男は、正也を見て大笑いをした。
「グハハハハハハ、まだ小僧のバカか!グハグハ、ハハハハ」

正也、
「行き成り、人をバカ呼ばわりはしないで欲しいな!」

男は、ガーネットを指をさしている。

正也がガーネットを見る。

いじけているガーネット、正也は、
「もういいよ、あんな服が欲しいなら、買ってやるから、そんな態度はしなくていい」

「あの服、高いぞ!」
正也が、少しのけ反った、だが、ガーネットを連れて、ガラの悪い男たちから離れようとする正也、すると、男たちが、正也の行く手を塞いだ。

「どいてくれないか?」

「いやだね、這いばって通りなよ」

方向を変えていこうとする、正也に、装甲馬車の男が言う、
「おう、ご挨拶だな、そっちから絡んで置いて、詫びもなしかい?」

「絡む、何だ!」

「そこの武器のお嬢ちゃんが、俺に絡んで来たんだ!」

「ああ、すまない、これでいいか?」

「すまないじゃ済まないな、武器が絡んだケンカだ!武器で勝負するのが、この星の法律だ!分かってんだろ小僧!」

「まあ」

「なら、武器を使え、いいー余興になる。ウヘヘヘヘヘ」

男は、装甲馬車から、両手の武器を地面に下ろした。

ドレスを纏った武器たちは、微笑みを浮かべて、両手を剣とマシンガンに変える。

軽やかにドレスのスカートを翻して、足のマシンガンを高く上げて構えた。

正也が言う、
「こっちには、武器を使う意思はない、武器を使わなければケンカには為らないだろう!」

「確かに、だが、使わざる負えない状況なら、使うだろう小僧!」

そう言って、男は、マシンガンを乱射した。

正人とガーネットの周りで銃弾が地面や壁を抉り付けて跳ね上がる。

だが、それに少しも動じない正也、戦おうとするガーネットを抱いた腕で押さえ付けている。

正也に抗議の顔をするガーネット、マシンガンを乱射した男が怒鳴る。
「手元が狂って、間違えで当たる事も有るぜ!小僧、いいのかそれで?」

周りの男たちが、一斉に、マシンガンを構える。
「この街じゃあ、間違って当たっても誰にも罪を咎められねえんだ!ハチの巣に為っててもだ!」

正也が、腰のサーベルライフルに手を掛ける。

それを見るガーネット、正也が小声でガーネットに言う、
「あの武器を何とかしてほしい、君なら出来ると思うが?」

ガーネット、
「私には命令するだけでいい、ガーネット殲滅せよとな、」

「まあ、そうだな、」

男たちがマシンガンを撃ち始めた瞬間、正也が電磁シールドを張った。

無数の弾丸がはじかれる、そして、
「今だ!殲滅せよガーネット!」

「了解、マスター!」

ガーネットが、正也の脇から飛び出し、ドレスを着た武器へと突っ走る。

ドレスを着た武器たちは、飛び込んで来るガーネットを、マシンガンで狙い撃ちにするが、

地面を大きく蹴りながら右へ左へと方向を素早く変えて、猛スピードで向かって来るガーネットを、全く捉えきれない、

アッと言う間もなく接近戦に持ち込まれた。

剣とニードルでガーネットを引き裂き貫こうとする。

だが、ガーネットも腕を電磁ソードに変え、ドレスの武器の女を両断する。

止め切れず地面ごと引き裂かれる武器、もう一体の武器が狂ったように両手の剣で、ガーネットの体を切り付ける。

だが、盾と変化した腕が攻撃を弾き返していた。
「お前は、旧式の武器だ!私には敵わない」

ガーネットの電磁ソードが、ドレスの武器の女を横一文字に引き裂いていた。


一方、正也は、電磁シールドを張りながら、片手でサーベルライフルを構え、男たちのマシンガンを持つ腕を吹き飛ばしていく、

慌てた装甲馬車の男が、電磁マシンガンを取り出し、正也を狙い撃ちにする。

電磁シールドごと吹き飛ばされる正也、だが、地面を転がり、電磁サーベルライフルで装甲馬車を引き裂いた。

ガクリと地面に傾く装甲馬車、武装馬が頭をマシンガンに変えて正也に銃弾を浴びせて来る。

そこへ、ドレスを着た武器を倒したガーネットが、武装馬の胴体を両手の電磁ソードで引き裂いた。

二体の武装馬はもがき暴れながら、地面に倒れ込む、装甲馬車の男が再び電磁マシンガンで正也やガーネットを仕留めようとするが、

どこにも姿が見えない、然し、男の背後で、正也の電磁サーベルライフルが男の腕を切り飛ばしていた。




街で揉め事を起こした正也とガーネットは、直ぐに街から放り出されて仕舞った。

再び荒野を、二人は武器馬に跨って、遠い目的地へ向かって旅をっするが、ガーネットが正也に言う、
「何だ?街の連中は、私たちが、あのごろつきを片付けてやったのに、早く出ていけって言いやがって」

「まあ、ああ言う連中は仲間が一杯いるし、仕方が無いんだろう」

そんな、正也とガーネットを追い駆けて、あの厄介者の仲間が大勢で向かって来た。

正也は、
「ガーネット、あいつらをやってくれないか?」

「分かった!」

「くれぐれも、殺したりしたらダメだぞ!」

「了解、マスター、虫の息位で止める。」

ガーネットが真っ直ぐに突っ走っていく、それを正也が、
「あああ、ガー、ガーネット、ガーネット、ああーー、もう、ダメか・・・」

正也も、武器馬を戦闘隊形を取らせ、電磁サーベルライフルを構えて、突進していく、
「突撃ーーーー!」

そんな正也の武器馬には、高らかに特殊空間騎兵隊の紋章の旗が表示されていた。


風を切って走るガーネット、ガーネットの頬を風が流れていく、

今、かつて聞いた風の音をガーネットは思い出していた。

そんな夕暮れに近付く、赤い空の下で、男たちの悲鳴が、何時までも木霊していた。





2017、2、21、個人雑誌グラス編集部、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、

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2017-02-21 19:36:28 | 新作テスト小説

武器少女ガーネットスプリンガー

ー 第二話 ー

青い星の乾いた荒野

(荒野に二人)

ならず者に囲まれた少女を助けようとした少年の前で、たった一人で、ならず者たちを一掃した。

武器少女と呼ばれる少女は、呆然とししていた少年を見ていた。

成り行きとは言え、自分の新たなあるじに為った少年、

そして、行きずりに主に為って仕舞った、その少年が、岩陰に隠していた機械馬を見ながら言う、
「これを使うまでも無かったな、ハハハハハ」

それは地上や空中を駆ける事が出来る。白銀の機械馬だった。

「武器馬か?これは長距離支援には使えるな、お前、この距離でコイツを使う気だったのか?」

「まあ」

「確かに、こいつなら、あいつらを殲滅出来るな、だが、何分も掛かるぞ!私ならば、あの通り数十秒の秒殺が可能だ!」

「秒殺ね。君はこれからどうするんだい?もう安全で自由だし」

「いや、もう私に自由はない、主に服従するだけだ!」

「主?僕は、もう君の主では無いよ、だから自由だよ!」

「主との契約は絶対だ!私は主の武器なのだ!」

「契約は解除する。だから君は自由だ!」

「私が、主から解放される時は、主が死んだ時だけだ!お前は死んで、私を解放するのか?」

「そうか・・・それなら僕は、ここで死ぬわけにいかないから、この儘、契約は続行と言う事だね。」

「まあ、そう言う事だ!」

ひょんな事から、少年は少女と旅をする事に為って仕舞った。

少年は、荒野の真ん中で、武器馬からテントを出して張り、その中で一晩、野宿をする事にしたが、

その後、太陽が地平に沈み、星々が空一面に撒かれると、荒野の夜も更けていき、

小さなランタンの灯りのテントの中で、少女が言う、
「お前、眠る時は、私を抱いて眠るんだ!」

「ええつ!?武器の君を抱いて眠る?」

「そうだ!武器を抱いて眠れば安心だ!何かあれば、私がお前を守ってやる。」

少年は、言われた儘に少女を抱いて眠ったが、少年の腕の中ですやすやと眠るその顔は、幼い少女そのものだった。
「然し、何でこんな姿の武器が、人のいない荒野にいたんだ?」

漠然と考えながら、少年は、何時しか眠りに落ちていた。


次の朝、少年が目覚めると、少女の姿は無く、テントの外に出ていくと、少女が食事を作っていた。

それを見てのけ反る少年、どこで捕まえたのか?蛇やカエル、禿鷹の丸焼きと、荒野のフルコースが出来ていた。

「な、何なんだ!これは?」

「んん、私は良くできた武器だろ!主の為に、食料を集めてきた。まあ、味の保証は無いかも知れないが?食べても死なない!」

唖然とする少年、取り敢えず、少年は武器馬から携帯食料を出して、食べる事にしたが、
「君は、なぜ?こんな荒野に一人でいたんだい?」

少年を睨む少女、
「私の主がここで死んだ、それだけだ。」

少年が黙り込むが、
「君の前のあるじは、どんな人だい?」

「それを聞いてどうするんだ?弔い合戦でもしてくれるのか?」

「弔い合戦って・・・」

「敵と戦って死んだ、それだけだ!お前も同じ敵と戦えば、前の主よりも早く死ぬ事に為る、いいのか?」

「そ、それは困るな、僕には行かなければ為らない所が有るんだ。」

「なら、自分のするべき事をすればいい、今はお前が私のあるじだ!」

「そ、そうか」

暫く先にいくと、小さなオアシスが有り、少年は、そこで休憩をする事にしたが、

小さな池で、少年が水浴びをしていると、少女が入ってきて言う、
「私の主なら、私の手入れをちゃんとするんだ!武器は大切に扱うんだぞ!」

「はあ!?」

大胆な武器の少女の行動に、少年は呆気に取られていた。

「ちゃんと隠して置けよ、じゃないと手入れしないぞ!」

「分かった、一々うるさい主だ!」

「で、聞いてなかったが、君の名前は有るのかい?」

「ある、最高の名前だ!小型武装兵器人体、ガーネットスプリンガー」

「ガーネットって言うのか、いい名だな、俺は、藤城、正也だ!」

「藤城、正也、日本人か?私の体も日本製だ。何かの縁かも知れない」

「君は、日本で作られたのかい?」

「そうだ!日本で生まれた。」

「そうか、遠いな、ここからじゃあ、遥か彼方の星の向こうだ。」

少年が手をかざして、青い空を見上げて言う、
「いつか帰りたいだろ、生まれた場所に」

それを見て、少女が空を見上げる。

どこまでも青い空が、二人の頭上に広がっていた。

ガーネットスプリンガー、彼女は、自分の生まれた遠い地に思いを馳せていた。



2017、2、21、個人雑誌グラス編集部、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、

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齋藤務作品[武器少女ガーネットスプリンガー] 

2017-02-21 19:14:12 | 新作テスト小説


人型の武器少女ガーネットスプリンガー

  ー 第一話 ー
青い星の乾いた荒野(荒野の少女、)

「ガーネット、ガーネット・・・」

誰かが遠くで、ガーネットを呼ぶ声がする。

ガーネットは立ち上がり声の方に向かう、だが、激しい閃光、爆風が体を引き裂く、

彼女は何度も倒れ、何度も立ち上がった。

そして、その激しい戦いの果てに・・・

彼女は、崩れるように倒れ込む、もう立ち上がる力が無くなっていた・・・



壊れた回路を迂回して、再充電と再起動に、長い日にちと時間が掛かり、やっと起動したが・・・

ガーネットは、乾いた大地の上で目覚めた。

当たりを見回すが、もう誰の姿も無く、只、風が吹いているだけだった。

青い空が広がる、空と不毛の大地の地平線、荒涼と吹き荒ぶ砂嵐、荒れ果てた荒野がどこまでも続く、小さな生き物すら姿を見せない、

そんな原野の中を一人彷徨う少女、彼女はどこから来たのだろうか?

その行く手に行き先など見えない、永遠と続く赤く乾いた大地が広がっていた。


少女が不図、気付くと、そこへどこから現れたのか?

複数の黒い影が不意に姿を現す。

そこに荒野に屯する無法のならず者の集団が現れる。

薄いマントを握り締め、目付きを鋭くして身構える少女、

そしてそんな、その光景を丁度そこに通り掛かった、一人の少年が、遠くからならず者に囲まれた少女を見付けた。
「んん!?何だあれは・・・」

ならず者の一人が、少女の行く手を塞ぎ、声を上げた。
「お嬢ちゃん、主なしの、野良かい?俺たちがお前の主に為ってやろうか!」

男の言葉に、少女は顔を見上げて鋭い視線で、ならず者を睨み付ける。

だが、少女が周りを見回すと、いつの間にか、複数の男たちが少女を取り囲み、しかも、男たちは人数が多い上に、強力な武器を持っていた。

ぼろきれを羽織っただけの、少女の手には武器は無く、じっと自分の細い手を見詰めていたが、

然し、少女は怯む事なく、男たちを睨み付け、不敵に微笑んでみせる。

それを見た男が怒鳴り声を上げた。
「何だ?このガキ!ぶっ壊してやろうか?」

振りかざした大ナタを。少女へと振り下ろそうとした。

その時、
「おい!その子に何か用かい?その子は俺の連れなんだ!」

男が振り返ると、そこには、マントを着た少年が立っていた。

「んん!?ガキの小僧か?余計な口出しすると、この荒野で屍をさらす事に為るぞ!」

そんな男に対して少年は、腰からサーベルライフルを取り出した。

銀色に輝く長剣型電磁ライフル、それを見た男が、上目づかいに少年に言う、
「ふん、ガキの癖して、護身用には、ごつい物を持ってるじゃあねえか?」

男が顔をしゃくると、直ぐに男たちは、少年を取り囲んだ。

それに少年は少し困った顔をしたが、ニコリと微笑んで、
「おじさんたち、痛い思いをしない内に、引き上げてください、無駄な殺生はしたくありませんので」

少年の言葉に、男が嘲笑う、
「そいったーいいや!俺たちは、その無駄な殺生が大好きだぜ!おい、やれや」

そう言うと、男たちは一斉に、少年に襲い掛かった。

と、そこへ少女が、少年と男たちの間に割り込み、

その中の男の一人を地面に叩き付ける。

そして、
「おい、お前!私の主になれ、そうすれば私が助けてやる!早くしろ、主の資格を私に差し出せ!」

少女の発した言葉に戸惑う少年、
「あ、主の資格??」

もがく男の首を抱えた、少女が言う、
「そうだ!お前の体の一部でいい、引き裂いてこっちに投げろ!」

「体の一部って、」

「つべこべ言うな!」

少女は、抱えた男を蹴り飛ばし、素早く少年の腕を取り、思いっきりに噛みついた。
「ぎゃああーーーーーー!!」

荒野の地平に、少年の叫び声はこだまする。

次の瞬間、少女が少年に言った。
「私の武器を解放しろ!武器召喚、敵を殲滅せよ、そう言え!」

「早く言え、馬鹿者め!」

少女は、群がる男たちを体で押さえ付けながら叫んだ。

少年は仕方なしに少女の言う通りに、武器召喚をする。
「武器召喚、敵を殲滅せよ、こう言えばいいのかな?」

その少年の言葉に、微笑みを浮かべた少女は、
「そうだ!良く言った。了解、マスター!」

と、言うが早いか、少女は、両手から電磁ソード、両足がマシンガンに変化した。

アッと言う間に、男たちならず者たちを、瞬時に一掃する少女、少年に襲い掛かる男のマシンガンの銃弾を腕と胸で弾き返す。

更には少年の腕を取り、その腕に絡まるように、その儘、重マシンガンと盾に変化する。

驚いている少年の体は、一瞬に少女の体を纏っていた。

そして、体が武器と変化した少女は、少年の瞬く間に、ならず者たちをことごとく、荒野の塵にしたのだ。

轟音を轟かせて、一陣の砂塵のように、荒野の大地が大きく振動して震えた。

激しい爆風と土煙の中から、少女を纏った少年の姿だけが大地に立っていた。

あれほどいたならず者たちは、一瞬の閃光と爆風の中で引き裂かれ、砂ぼこりの中で無残な姿を大地に晒していたのだった。

何事も無く静まり返った平原、風が吹き荒ぶ荒野の大地に立つ 人影は、直ぐに二つに分かれ、その二つの人影だけが風の中に立っていた。


ガーネットが、風の音に振り返る。

懐かしい声が聞こえたような気がした。

だが、誰の姿も、そこにはもう見えなかった。

砂の混ざる風音の中で、ガーネットの目には、目の前の少年以外は、誰もいなかった・・・


今回、テストで書いた作品を少しだけ書いて行こうと思います。

不定期な連載ですので、どうなるか分かりませんが、ガーネットスプリンガー人工少女と少年の、武器アクションの楽しい作品なので書きたいと思います。





2017、2、21、個人雑誌グラス、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、

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