個人雑誌編集長兼雑用作家、

遣りたい事をやりしたい事をする。難しく考えず人生を楽しむ事を目指しています。※恋人募集中、稼げたらね!

齋藤務作[特殊超空母ルシファーハデス零型実験艦]

2015-06-18 05:57:10 | SF小説


特殊超空母ルシファーハデス零型実験艦

 3 天月美魔


天月闇大佐の部屋で、俺の入っている箱檻を、怪訝に覗く、その者に、俺は必死に懇願して、何とか入っていた檻から、やっと出して貰ったが、

俺の目の前にいたのは、天月闇大佐より、少し小柄の、美しい女性だった。

その人が、俺に言って来た。
「あなたは誰ですか?闇大佐の私物の様ですが、ここで、何を闇大佐としていたんですか?」

俺が答えた。
「俺は、ここで、天月闇大佐に殺されそうに為っていたんだ!」

その女性士官が言う、
「殺される?そんな遊びを、あなたは、闇大佐としてたんですか?」

なんだ?この女は、あくまでも俺が、あの大佐と遊んでいたと言う、

その女性に言わせれば、俺は、殺される危険な遊びを喜んでしていたと言うのか?

その女は、更に俺に言った。
「あなたの事は、不問にします。ここで闇大佐の戻られるまで、大人しく静かに仕手いなさい。分かりましたね!」

じょ、冗談じゃ無い、戻って来たら絶対に殺される。

俺は、何がなんでも、ここから逃げ出なければ命が無いのだ。

俺は何とかして、この女性に分かって貰って、俺をここから逃がして貰おうと、目の前のこの女性に縋ってしがみ付いていた。

俺は、目の前の女性に、必死に縋り付いて説明した。
「お、俺を、た、助けて呉れ!ここにいられないんだ。早く、助けて呉れ!何とかしてくれ!」

すると、この女性は、
「あ、ああ、ああーーつ!な、何をするんですか?や、やめなさい。やめろー!この変態!離せ異常者め!やめろって言っているんだ!分からないか?気違い男が、私を離せ!そこは触るな 変態!ああーーつ!やったな色きちがい!」

俺はちょっと、腕と肩と背中に、縋り付いただけだ。

なのに、この騒ぎだ、俺が言った。
「何を言ってんだ。俺は、触ってないぞ!変な事を勝手に言いやがって!」

「なにをー!人聞きのいい事を言いやがったなーー!この儘、私を犯す積りだなー!なら、見ていろよ、変態めーー!」

ここに人がいるのか?いないのに何を言ってんだこの女?

だがこの女は、俺に対して飛んでも無い事を 始めたのだ。

それは、縋る俺の足を払い除けて転がして、その上から馬乗りに為って、

あっと言う間に、俺の両脚を両脚で挟み込んで動けなくしてから、片手で両手を引き上げて、

もう一方の手で両手首を絡めて掴むと上で抑え込み、自由に為った右手で、俺の首を絞め始めたのだ。
「どうだ変態!嬉しいか?お前はこう言うのが楽しいのだろう!この儘、私が殺してやるから、喜んで死ぬがいい!さあ、死ねーー!死ぬんだよ、死ねえーーーーー!」

俺は慌てた、これでは、まだ天月闇大佐の方がましな位だ。

この女の方が異常者に近かったのだ、しかも、楽しそうな顔をして、俺の首を絞めて来るのだ。

これでは堪った物では無い、俺は、徳利蜂に捕まった芋虫のようにもがきながら激しく暴れた。

すると、その女は両手で、俺の手を交差させた儘、左右に押え付けて絞め殺そうとするのだ。

こ、殺される、俺は反射的に、そう感じた。
「や、やめろーー、やめてくれーー!し、死ぬーーー、死んじゃうーーー!ぐへええーーーーー!」

「ど、どうだ!楽しいか?変態男め!この儘死んで仕舞えーー!アハハハハハハ」

その時、俺は、もがくのをやめて、押さかれていた両手で自分の頭を抱え込んだ。

そして、体も真っ直ぐに両脚を閉じて、棒の様な姿をしたのだ。

すると、乗っかった女が自分の重みで横倒しに為り、俺は、劣勢を挽回した。

上下が入れ替わり、俺が、その女の上に為ると、途端に女は、急に変な声を上げ始めたのだ。

「あ、ああーーー、い、いやああーーー!やめてえーーー、いやあーーーーー!きゃあーーーー!きゃーーーーー!ああーーーーー、」

こっちが力の抜けるような、声を出し始めたのだ。

それには、俺は、戸惑って仕舞った。
「な、何を言ってんだ。始めたのは、あなたの方でしょ?騒がないで下さい」

だが、俺の言葉など、全く無視したように、騒ぐのをやめないのだ。

「きゃあーーーーーー!や、やめてーーーー!きゃあーーーーーー!きゃーーーーーー、」

俺は仕方なしに、女の耳元に思いっ切り大きな声で叫んで言った。
「うわああーーーーーつ、騒ぐなーーー、いい加減に、静かにしろーーー!」

俺が怒鳴り声を出すと、すると、やっと女は静かに為った。

「あ、へえーつ?ああ、さ、騒ぐ、ああ、ああーー、いや、やめて、ああ、怖いの?私、怖いわ?ああ、何をするの?あ、ああ、ああーー」

何が怖いんだ?さっきまで怖かったのは、そっちの方だ。

俺が言う、
「騒がないで下さい、何もしませんから、いいですね」

女は、俺を変な目で見ながら、首を竦めて頷いた。

俺が、そっと手を離した、その瞬間だった。

女が急に豹変したのだ。自由に為った両手で、また俺の首を絞め付けて来た。

「アハハハハハ、バカ男め!離すのを待っていたんだ。私が、大人しくお前なんかに犯される物か!愚か者めーー!」

「ぐへえーーーーつ、ぐひいいーーーーつ、」

な、何て事をするんだ。
「ああーー、ああーー、」

やっぱりだ、この女は性無しのいかれ女だ。

俺は、首を絞められながら、そう思った。

そして、まだ自由な儘の手で、俺が、思い切って、その女の胸を掴んだ。

すると、途端に女は顔色を変えた。

「あ、ああーーつ!な、何をする?ああーーつ、いやあーーーーーーーん!きゃあーーーーーーーーつ!きゃあーーーーーーーー、」

何と、慌てた女は、俺の首を絞めていた。首から手を離して、自分の胸を必死に庇っていた。

「ああーーー、い、いやーーーん!きゃーーーーーーつ、ああーーーーーーん!ひいーーーーーーーつ、」

何だこの女は、俺なんか無視して、自分の胸や体を庇って撫で回しながら悲鳴を上げている。

意識過剰のいかれ女だ、でも、あー助かった。

俺は当然、無防備に為った女を簡単に捕まえて、

その危険な両手を後ろ手に押え付けていたのだ。

俺に捕まった、この女は、いじけながら愚痴を言っている。

「ああ、ううつ、汚い真似をしやがったな!この儘では済まさないぞ!うう、くそーーつ、」

まだ、負け惜しみを言っている、俺は、ほとほと呆れ果てていた。
「あなたは、何ですか?行き成り暴れ出して、俺は、ここから逃げたいだけですよ」

「に、逃げる?ここからか!はて?変な事しに、ここにお前から来たんだろう!」

「俺は来てなんかいない、捕まったんだ。天月闇大佐に、そして、ここで、遊ばれていたんだよ」

「お前は、遊ばれていたのか?艦長に、ああ、何てやらしいんだ。お前は、助かりたくて進んで遊ばれたのか?」

ああーーー、これだ!俺は頭が痛く為って来た。

そしてそこに、運悪く天月闇が来て仕舞ったのだ。
「おい、お前、今直ぐに、私の副官の、美魔中佐を離せ!命令だ!」

「あわわわわわ、仕舞った、帰って来ちゃったじゃないか、万事休すだ。」

俺は、項垂れながら言われた通りに、押さえていた手を離した。

すると、美魔中佐は、俺の足を足で払い、俺を転がして不敵に微笑んで見下ろしているのだ。

ああー憎らしい、床に転がった俺を見下ろした、天月闇大佐が言った。
「やっと新日本皇国軍の偵察部隊を、目くらましをして振り切ったんだ。副官の美魔の姿が見えなかったが?矢張りここにいたのか!」

すると、美魔中佐は、
「ああ、艦長、わ、私は不覚にも、急に襲って来た。この少年の汚い手段で、捕まって仕舞って、申しわけ有りません。」

な、何なんだ。俺は、襲ってなんかいない、それに汚い手段なんかも使ってもいない、だがそれを、闇大佐は、こう言った。
「ああ、この少年は、口が汚いし使う 手も汚いようだな、一応、檻に入れて置いたが、お前が出して、遊んでいたのか?」

ギクリとする、美魔中佐、
「あ、ああ、いえいえ、そんな、事は、あ、アハハハハ、その、あの、ああ、ハハハハ、」

ああ、そうだ、俺は、檻の中にいたんだ、襲える筈も無い、俺の無実は証明されたのだ。

「もういい、部署に戻っていろ!」

「ああ、はいつ、」

俺を、流し目で見ながら、美魔中佐が行って仕舞うと、闇大佐が、俺の方を見ながら言った。
「貴様は、汚い口を使って檻から這い出て来たのか?凄いなその口は!」

感心しているのか?バカに仕手いるのか?良く分からない言い方で、俺の口の上手さを誉めていた。

だが、そんな俺に対して、天月闇大佐が、改まって、俺に言って来た。
「貴様は、何処から来たんだ!」

俺が答えた。
「俺は、次元爆発の有った地下都市から、地上に出て来たんだ。」

「ほーーう、それで、どこにいくんだ。お前は?」

俺は、答に困っていた。

行く冪場所も、目指す所も無く、只、地上に出て来たのだ。

それは、息苦しい地下にいたく無かったからだが、
「そ、それは・・・」

俺の、行き場のない状況を、察したように、天月闇が言った。
「行くべき所も、行く当ても無しか?そうか、なら、丁度いい!」

何が丁度いいのか?俺には、天月闇大佐の言っている事が、その時には、全く分からなかった。



2015、6、18、個人雑誌グラス、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、
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齋藤務作[特殊超空母ルシファーハデス零型実験艦]

2015-06-18 05:40:09 | SF小説


特殊超空母ルシファーハデス零型実験艦

 2 特殊潜入型バトルシップ、クリヤーシールド


俺の仕掛けた策略に、まんまと乗った天月闇は、両腕を抑え込まれて、身動き出来ない姿に為って仕舞った。

そして、その天月闇に、俺は、迫って言っていた。
「俺と、キスしましょう!そうすれば、俺を殺すのを、気が変わって、やめるかもしれない!」

俺の交渉には、一歩も引かない、天月闇が言う、
「いや、お前の死ぬのが、一秒でも早まる、絶対だ!」

この交渉は、難航しそうだった、一筋縄では行きそうもない、

そこで俺は、交渉材料の切り札を捨てて、別の物を使って、新たな交渉を試みる事にしたが、

今の交渉ネタを、次の交渉を、有利にする為の苗床に仕様としたのだ。

そして俺は、脅しで無いと言う事を実証していた。
「う^ううう、むぐぐ^ぐぐ、ぐ^えええーーーーつ、ぐひ ひ^ひひいいいーーー!」

俺の熱い行為の、次の瞬間、天月の歪んだ顔が、そこに有った。

そして、箱に入れていた両手だけでなく、天月闇は、両脚も突き入れ、中の俺を、蹴り殺そうとしたのだ。
「うう、この、このこのーー!動くな、上手く殺せない、動くんじゃない!この 吸い付き毒虫が!踏み殺してやる、このこのーーー!」

俺は、箱の中で、必死に天月闇の足の攻撃をかわして、何とか両足の抑え込みに成功したが、

だが、その時に、俺の入っていた箱が転がって、俺は横倒しに、天月闇は箱の中に、両手と両足を突き入れた。

何とも無様な格好に為って仕舞っていた。

そして、顔を真っ赤にして、檻越しに、俺を睨む天月闇に対して、俺は恥じらうように視線を逸らして俯いていた。

行き成りに、俺の熱い行為を受けて、その怒りで、俺を見る目が 前よりも増して、更に恐ろしい目付きに為った天月闇大佐だった。

交渉が上手く運ぶ所か、この状況では、矢張り俺の命が危なそうなのだ。

だが、俺に、まだ両腕を 押さかれていて、身動き出来ない、天月が唸るように言う、
「貴様!この儘で済むと思うなよ、その首を捩じ切って、ズタズタにして遣る。それに、私に吸い付いたんだ。それだけでも、楽に死ねると思うなよ、ヒヒヒヒヒヒヒ」

どうも、この人工人類の女性指揮官は、可なり別の世界に行っちゃってる方の人だった見たいだ。

俺は、この人にキスした事を、今更に為って後悔し始めていた。

そして、それを口に出していた。
「あ、ああーー、キスするんじゃ無かった!あなた見たいな、綺麗な人とすれば、後悔しないと思っていたのに、しない方が良かった見たいだ。」

俺の言い捨てた言葉に、檻の向こうの天月闇が反応した。

「な、何、なにーーー!私とキスしたのを、後悔しているのか?貴様は!そんなに殺して欲しいのか?」

「さっきから、するって言っているでしょ、」

「確かに言っている。だが、聞き 捨てに出来ない。私とキスした事を、死ぬほど喜んでも、後悔などする筈が無いのだ!」

何と言う、自信過剰な確信的な言葉だろう、それ程、絶対的に自分を、特別な高い存在と思い込んで、高い自尊心を持って、それを更に強く自負して滲み出るような虚栄心まで垣間見える。

それを又、鏡に映して自己満足してもいるのか?この女指揮官は・・・

それなら全く手におえない、いかれた女だ!俺はそう思った。

自分の事を、まるで天使か女神のように思って自負している。

そこには、悪魔で鬼のような姿である事など、見えない程に、自分を見る視力すら悪い、自分は全く誤りも汚点などないと思い込んでいる。

そんな自分善がりの身勝手極まりない独善的な天月闇に対して、それを俺が言った。
「俺は、あなた見たいな美人と、キスしたのは、確かに嬉しい。蹴れど、あなたは、心が酷く醜く歪んでいるように感じるんです。まさか俺の、感じた通りなんですか?天月闇大佐は、どうなんですか?」

そんな俺の言葉に、座った目の天月闇が言う、
「うむ、顔以外ならば、心は、そうかも知れん」

「ああ、ああーーつ、そんなに簡単に、それを認めると言う事なら、自分の事を自分でもそう思っていると言う事に為りますよ、そしたら大佐は、本当はそれが嫌で、実は、優しい心を心の奥に隠しているんですね。そうなんだ!でも、言葉の上では、俺を、殺すと言う事も、本当は助けてもいいと思っているんだ!そうなんでしょ?なら、その本当の、自分の気持ちに素直に従えばいい。そうすれば、大佐は、顔だけじゃ無く、顔も心も同じ位に完璧な、最高の女性に為れます。そうですよね。ねつ!」

俺の、心理分析演説を黙った儘聞いていた、天月闇大佐が、徐に口を開いた。
「結構な名演説だったよ、だが、私は、貴様を許さない。分かったか!」

「な、なぜです?」

「それはだな、貴様の、口が臭くて汚いからだ!オホン、それだけだ。」

その天月闇大佐の言葉に、俺は、地獄に叩き落とされていた。

上手く説得出来たのに、自分の口臭で話を壊して仕舞ったのだ、俺の話していた口が一番、臭くて悪かったのだ。

俺は、次の瞬間、微かな望みと希望が消えて、ガッカリと仕手いた。

俺は、押さえていた天月闇大佐の手足を離して、その代わりに、自分の足を手で抱えて小さな檻の中で、小さく蹲っていた。

そして、その向うでは、自由に為った天月闇大佐が、ピョンピョンと体を軽く動かして、姿勢の歪みを直していた。

だが、その後に、鏡の前で念入りに、髪を撫で付け、化粧を直して付けているのだ。

やっぱり虚栄心が可なりの物らしい・・・

時間を掛けて満足すると、やっと俺の所に来たのだ。
「おい、正義!貴様を、今殺してやる、然しだ!私は、今は忙しいんだ。もう少ししたら、殺してやるから、そこで大人しく待っていろよ、いいな!」

そう言うと、さっさと、部屋を出て行き、俺は一人、天月闇大佐の部屋に、置き去りにされていた。

その直ぐ後の事だ、俺のいる。部屋が、大きく振動し始めたのは、

「な、なんだ、何なんだ!ああ、あああーーーーー!」

窓の外を見ると、何かが空を飛びまわり、そして、黒煙が立ち上っている。

俺は、更に慌てていた、それは今迄、休戦状態で治まっていた戦闘が、再び始まったからだ。

大きな爆発の振動が、何度も起って、俺のいる部屋もガタガタと、大きく揺れた。

これじゃあ、天月闇大佐に殺される前に、俺は、勝手に死んで仕舞いそうだったのだ。

俺が叫んだ。
「うわああーーーーーー!死んじゃうよ、死んじゃうよーーーー!あああーーーーーーー、」

だが、俺の叫びは空しく、誰にも届かなかった、ある一人の者を除いて、

そして、ソイツは、俺の所にやって来た、転がった俺の入った檻の前まで、ソイツは来ると、俺の檻を覗き込んで来たのだ。

そして、徐に、俺に言って来た。
「お前は、誰だ!なぜそこにいる?ここは、艦長の部屋だぞ!お前は、艦長の私物なのか?」

俺は、その変な事を言う者を見上げた。

そこには、人工人類同盟軍の軍服を着た、一人の若い女性士官が、俺の檻の中を覗いていたのだ。

俺は、形振り構わず、その女性に縋って言った。
「じ、地獄に大仏、いや、地獄に天使だ!だ、だから、だ、出して呉れ!ここから、早く出して呉れ、お願いだ!ああ、」

そこにいた女性士官を見て、俺は、地獄に仏だと、その時は思えたのだ。


2015、6、18、個人雑誌グラス、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、
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齋藤務作[特殊超空母ルシファーハデス零型実験艦]

2015-06-18 05:15:45 | SF小説

齋藤務作[特殊超空母ルシファーハデス零型実験艦]

最終世紀 

ー 序章 ー
超時空の裂け目 (人工人類同盟軍、天月闇大佐)

深い闇の広がる宇宙空間に浮かぶ青い惑星、其処に存在する元素物質に、強い電気放電と長い時間の末に、

水素や窒素から構成される有機体が、幾つもの偶然に寄って生まれるアミノ酸、

そこから、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、四つからの塩基で出来た集合アミノ酸からなる、基礎構造塩基配列、

古代の生命から進化を遂げた人類が、地球の地上で繁栄して、幾千年の歴史を綴った。

そして、人類の歴史は、高度な科学文明を築き上げて、その自ら生み出した。

新たなる生命たちとの壮絶な戦いの果てに終焉を迎えたのだ。

壮絶な戦いの果て、多くの人の消えた街や都市が無残な姿をさらしていた。

地球上の繁栄して来た人類たちは、遂に破滅的な戦争の為に滅び掛けて、幾つもの大国が消え去って仕舞った。

見渡す限り何もない地上に吹きすさぶ激しい砂嵐が物悲しく唸りを上げている。

そこには、何もかもが破壊され尽くした瓦礫の残骸だけが広大に広がっていた。

最終世紀、今は、そう呼ばれている、人類最後の大戦争の生き残りたちの、先の見えない闇の不安から、そう呼ばれているのだ。

戦いの果てに残ったまわしき生命体がいる、その見えない闇の中で、秘かに人の手で産まれた者達が、再び全世界を、恐怖の底に叩き落としていた。

彼らは、人工人類たちだった、今、世の中に忽然と現れた、忌み嫌われる者たちだった。

それは、彼らの姿は、科学技術に引き摺られた、人の罪の証のような存在だったからだ。

自らの過ちを正そうとして、その為に、人類は新しい人類の人工人類と、大戦争をしたのだ。

夥しい人と、人で無い人の血が流れ、そして、その激しい戦争は、地上の人類が滅びかけて終結した。


人類の生き残りの、ある少年がいた。

その少年は、日本の閉鎖された、かつて大首都と呼ばれた、旧東京の街を彷徨い歩いていた。

そこは、時空爆発の為に、時空が歪み、得体の知れない時空の魑魅魍魎が出現して仕舞い、時の政府が結界を張って、都市と連なる国土を封鎖して仕舞った。

そして、その代わりに、近海沖洋上に、新生した大帝国の皇国の国家の下で、新しい大首都を建設していたのだ。

だが、捨てられた街に、残された者たちがいた、それは、大規模な汚染と、化物の殺戮から地下に逃れた、見捨てられた人々だった。

その一人の少年は、地上へと這い出して来て、頭上の空を、久しく見詰めていた。

それは、彼がかつて見た記憶の中の青空とは違い、黒く淀んだ別の空だった。

言葉もなく空を見上げた、そんな少年の前に、忽然と現れた、時空の魔物が襲い掛かって来たのだ。

少年は叫び声を上げていた。
「ギャアアーーーーーーーーーーツ、ヒイイーーーーーーーーーーツ、く、食われるーーー!」

最後に発した絶叫を残し、少年は気絶して仕舞った。

次に目覚めた時には、少年は、見た事も無い。医務室の治療ベットの上に寝かされていた。

「お、俺は、し、死んだのか?いや、死んだんだ!多分、あの時に、魔物に食われて、死んだんだ!だ、だが、手も足も有るぞ!大事なとこも・・そ、それに、ここは何処だ。天国なのか?それとも・・ああ、ああーーー、」

そんな、独り言を言う、少年の前に、黒く長い髪をした、この世の者とわ思えない、妖艶で美しい女性が現れたのだ。

そして、その赤く美しい奇麗な唇を開いて言った。
「目覚めたか?人間!抹殺処分する前に、念のために聞く、お前は、どこから来たんだ!ここにはもう、人はいない筈だが、自分の名前を言うんだ!」

その美しい容姿とは、反対に態度がきつく、そして、厳しい棘の有る言葉を言う、その女性を、少年は見上げて、息をのみ見詰めていた。

そして、その女性の問いに、おずおずと答えて言った。
「お、俺の名前は、嵐山正義、あなたは誰ですか?ここは・・・」

捕まえた捕虜に、反対に質問されて、憮然とした、その女性が答えて言った。
「私の名は、天月闇だ!そして、ここは、特殊潜入型バトルシップの、クリヤーシールドだ!序でに教えてやろう、私は、ここの指揮官なのだ。正義とやら、分かったか?」

その美しい天月闇と言う女性は、冷たく鋭い視線の目で、治療ベットの正義を睨み付けていた。

治療用のベットの上で、怯えたように、正義が言う、
「潜入型、バトルシップ!?ま、まさか?あの人工人類同盟軍の殺戮マシーンなのか?」

天月闇は、不敵に微笑みを浮かべて答えた。
「そうだ!正義、お前をここで今直ぐにでも、殺す事も出来るんだ。心して口を動かすんだ、私の機嫌を損なうなよ、一秒でも早く死ぬぞ!いいか、分かったら、返事を返すんだぞ!それも、一度だ!何度も言うな、いいな!」

「は、はい、分かりました。や、闇、」

「あ、はあーーー?今、私の名前を呼び捨てに言ったのか?」

「あ、いいえ、ちゃんと言いました。聞こえませんでしたか?」

「んん、聞こえなかったが、本当に言ったのか?」

「言いました!僕の声が、小さくて聞こえませんでしたか?」

「んん、確かに聞こえなかった。言い逃れでは無いのか?」

「言いました。完全に言いました!」

「では、仕方あるまい。もう一度言え!」

「ああつ、はいつ、天月闇さん」

「んん、さんと言ったのか?大佐と言え、分からないのか?愚か者め!」

「はいつ、分かりました。」

「なら、もう一度、言って見ろ!」

「はいつ、天月闇大佐さん」

「コイツ、私をからかっているのか?さんを外してちゃんと言うんだ!冗談なら承知はしないぞ!」

「ああつ、いいえ、からかって何ていません、天月闇大佐、ちゃん!」

「うう、ああ、お前、肝が据わっているのか?それとも命知らずのバカなのか?いい加減にしろよ、おい!」

「そんなー、さんは外して、ちゃんと言いました。だめですか?天月闇大佐ちゃん、」

「よし、分かった!」

天月闇は、正義の首を両手で絞めていた。

そして、もう一度、正義が目覚めると、そこは、暗く狭い箱の檻の中に入っていたのだ。
「うう、ここは、せ、狭い!ああ、」

そのトランクケース二つ分の箱の中に、見事に納まっていた嵐山正義がいたのだった。

それを、横から覗き込んで、薄ら笑いをしている、天月闇がいたのだ。
「クククク、いい姿だな、その儘、死ぬまでそこにいろよ、クククク」

正義が、箱の中から叫ぶ、
「どうして俺を、こんな所に仕舞っているんだ!俺はもう、天月闇大佐ちゃんの、大切な宝物なのか?」

それを聞いた、天月闇は、その箱に両手を入れて、もう一度、正義の首を、容赦なく思いっ切り絞めようとしたのだ。

だが、今度は、正義が、その天月闇の両手を抑え込んで、動けなくした。

もがく天月、
「うう、くううつ、は、離せ、せ、正義、貴様、殺してやる。く、くそう、離せ、離すんだ!」

「いやだ嫌だ、離せば、首を絞められて殺される。ああーー、それなら、あなたとこうして・・・」

正義は、その先を言うのをやめた。

そして、俯いていた。

それを、天月が、聞き返して聞いた。
「私と、こうして・・・なんだ?言え、こうして・・・その続きを言うんだ!正義、言わないと、殺すぞ!いいのか?」

「言ったって、殺すでしょ、」

天月が言う、
「そうだ!言わなくても殺すし、私を離しても殺す。必ずお前を殺す。それだけだ!」

正義は、天月の両腕を抱えて泣き出した。

天月闇の両腕を押さえ込んだ儘、泣き出す正義、
「うう、うわあーーーーーーー!ああーーーーー、ああーーーーーー!」

そして、泣きながらも正義は、急に目付きを悪くして、天月の両腕を、思いっ切り引っ張って、天月の体を引き寄せると、

その檻越しに顔を押し付けた。天月の赤い唇目掛けて唇を付き出したのだ。

それには、仰天する天月、
「う、ううつ、うわあ^^ああ^^ああーーーーー、な^^にを^^、するん^^だーー!この変態がーーー!」

「だって、殺す殺すって言うから、そしたら、じゃあ俺も、キスするキスするってしたら、凄く嫌でしょー、」

身動き出来ない。いじけた天月が言う、
「う、うう、い、嫌だ!」

「ほーらね!じゃあ、殺す殺すって言われる。俺も、嫌なんですよ、分かったでしょう!」

「わ、分かった。何も言わずに、やってやる!」

「ああつ、ああーーー、そう言う事を言うんですか、なら、俺も、言わずにしますよ!」

唇を尖らせる、正義、

「うう、うあああーーーーーー!よせ、よせーー!その口をやめろー!キス、キスをしたら殺してやる。」

「じゃあー、しなくてもそうでしょ、」

「そ、そうだ。やってやる!」

「じゃー、した方がいい。しないよりもよっほどいいーよ、早くしましょう!」

「し、しましょうだって?私に、同意や、了解を取っているのか?この変態男が、私が、そんな事を承知も同意もする物か!愚か者め!」

両腕を抑え込んでいた正義に対して、天月闇大佐は、そうは言っているのだが、

然し、はて?その目は喜んでいるようにも見える。

どっちだろう?どうにも、正義には、この天月闇大佐は、本当に嫌がっているようには見えなかったのだ。



2015、6、18、個人雑誌グラス、副編集長兼雑用、主力作家の齋藤 務、
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