アメージング アマデウス

天才少年ウルフィは成長するにつれ、加速度的に能力を開発させて行きました。死後もなお驚異の進化は続いています。

戦争は犯罪か?

2016-12-16 03:54:07 | 反戦
「戦争は犯罪ではない。戦争法規があることが戦争の合法性を示す証拠である。戦争の開始、通告、戦闘の方法、終結を決める法規も戦争自体が非合法なら全く無意味である。国際法は、国家利益追及の為に行う戦争をこれまでに非合法と見做したことはない」
これは東京裁判(極東国際軍事裁判)で、アメリカ人弁護人ベン・ブルース・ブレイクニーが弁護側反証の冒頭で語った物です。
 つい最近、NKKで東京裁判が放映されました。四部作からなる大作でした。
 私が眼を覆いたくなるほど驚いたのは、取材に基づいた再現だという良いわけがましい一言が付いていた事です。このような歴史上重要で有名な事象をワイドショウ並の再現ドラマのように扱う意図はどこにあったのでしょう。むしろ、フィクションとして描くべきです。
 NHKの東京裁判の主人公はオランダの判事レーリンクですが、彼に密着した訳で無く、大勢の判事団を登場させた群像劇になっていました。その為、主人公が登場する度に紹介テロップを付けざる得なくなり、極めて内容とテーマの掴みづら代物になっていました。
重ねて断言します、東京裁判をフィクションとしてなら兎も角、薄っぺらで中途半端な再現ドラマとして制作するのは間違っています。
 考えて下さい。判事達が導き出した被告達への求刑とその理由が正義として記憶されて終います。若い方々が見た場合その懸念は顕著に成ってしまいます。日本やナチスドイツが起こした戦争は犯罪で、アメリカの起こす戦争は正義。というような事が刷り込み、集団催眠が起こったら大変です。今後が思いやられます。
 裁判というのは、裁判長を含む判事団、被告、被告を糾弾する検事団、弁護団ず揃って初めて成立します。判事側だけから見た再現ドラマ、私は禁断の果実だと思います。

 ブレイクニーの東京裁判での反証の続きを見てみましょう。
「国家の行為である戦争の個人責任を問うことは、法律的に誤りである。何故ならば、国際法は国家に対して適用されるものであって、個人に対してではない。個人に依る戦争行為という新しい犯罪をこの法廷で裁くのは誤りである。戦争での殺人は罪にならない。それは殺人罪ではない。戦争が合法的だからである。つまり合法的人殺しである殺人行為の正当化である。たとえ嫌悪すべき行為でも、犯罪としてその責任は問われなかった。
(以下の発言が始まると、チャーターで定められている筈の同時通訳が停止し、日本語の速記録にもこの部分のみ「以下、通訳なし」としか記載されなかった)
キッド提督の死が真珠湾攻撃による殺人罪になるならば、我々は、広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。投下を計画した参謀長の名も承知している。その国の元首の名前も承知している。彼らは、殺人罪を意識していたか?してはいまい。我々もそう思う。それは彼らの戦闘行為が正義で、敵の行為が不正義だからではなく、戦争自体が犯罪ではないからである。何の罪科でいかなる証拠で戦争による殺人が違法なのか。原爆を投下した者がいる。この投下を計画し、その実行を命じ、これを黙認したものがいる。その者達が裁いているのだ。彼らも殺人者ではないか」
 アメリカ陸軍出身のブレイクニーの勇気ある発言でしたが、虚しくも無視されて終いました。

 では、何故アメリカは原爆を投下したのか? 及ばずながら検証して見ましょう。
 まず、当時の状況です。ソ連が参戦したのが八月八日(アメリカはヤルタ会談でこのことを知っていました)、広島への原爆投下が十日です。アメリカが戦争終結を早めるためにという良いわけは通用しません。
 広島に次いで長崎にも原爆は投下されました。当に留めを刺したのです。
 原爆など使わなくても、ソ連が参戦した時点で、日本の無条件降伏は見えていましたし、戦争終結の為の内閣も組閣がすんでいました。ただし、終戦が十五日より遅くなったのは(おそらく一二週間)は確かです。それは、日本列島が東西に分割される事も意味していました。朝鮮半島やベトナムのようにです。
 アメリカはそういう事態を怖れていました。原爆はソ連にその威力を見せつける意図があったのかも知れません。
 アメリカ政府は、第二次時世界大戦のその後をみていました。ソ連を初めとした共産諸国との死闘をです。アメリカには民主主義国家としての日本の再生は不可欠だったのです。
 朝鮮戦争、ベトナム戦争、・・・以後の歴史が何よりも雄弁に物語っています。
 決して欺されてはいけません(わたしの発言もふくめて)。自分で調べて、自分で考えて、戦争が犯罪なのか? どうしたら戦争の無い地球を実現出来るのか。誰かが始めなくてはいけません、その最初の一人にあなたが成る事を祈っています。
2016年12月16日   Gorou


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