何、言ってるのか、さっぱり分からないんですけど――。
とりあえず、笑って誤魔化そう。
「が、がんばります……?」
我ながら、とっても微妙な返事だったと思うんだけど、ラーニャさんは満足げに笑顔で頷く。
一応、応援してくれているみたいだから、いいんだよね……?
なんか、すごく選択を間違った気もしないではないんだけど――。
気を取り直して、私はユニーさんに事の次第を端的に話した。
地下の謎の空間については触れず、万象の律の手がかりを確かめるために行かなきゃならないところがあって、それで何かあった時のための用意をお願いしたのだ。
「はい、承りました。すぐに整えますわ」
何度も言うようだが、ユニーさんは優秀な女官だ。
彼女が「すぐ」と言ったら、「すぐ」だ。
待ち時間は紅茶の抽出時間もなかった。
つまるところ、三分もなかったということだ。
呼ばれて、別室に行ったら、私は三人ほどの侍女さんに取り囲まれ、あっという間に着替えさせられた。
……どっかのライブの早変わりですか。
「いかがでございましょう?」
指示は予めしてあったのだろう。
着替えが終わるまで黙って見守っていたユニーさんがしとやかな笑みを称えて尋ねてくる。
「生地には妖精族の燐粉を叩き込み、神族の織女が使う糸で縫い取り致しました」
「えーと?」
首を傾げる私に、ユニーさんは微笑んだ。
「妖精族の燐粉には魔法を拡散される効果がございます」
ふーん、ってことは魔法防御力UP?
こんな感じで、色々と説明を受けながら、準備をされた私。
元より、戦力にならない私には徹底的に防御力を優先されたようだ。
うん、当然だよね……!!
人並みの運動神経しかない一般人の私だ。
万象の律の『鍵』とか、特殊なポジションだけど、特殊な力が与えられた訳じゃない。
本当に、主人公とかありえないから。
「いかがです?」
「うん」
両腕を伸ばして、くるりと回る。
基本は普段着のスタイルと変わらない。
白を基本として、赤・青・緑・黄のアクセントがさりげなく配置されている。
ちょっとだけ、いつもより、豪華な感じだ。
加えて、至るところに、細やかな縫い取りがあり、それが魔方陣やら呪文になって、私を守ってくれる。
更に軽く屈伸をしてみるが、突っ張るところもない。
「うん、いつもより身軽な感じかも?」
私の言葉に、ユニーさんは口元を綻ばし、その背後で控えていた侍女さんたちが思わずと言った様子で手を取り合う。
「ありがとうございます」
笑ってお辞儀をすれば、ユニーさんが柔らかな笑い声を紡いだ。
「いいえ。少しでも、サリ様もお役に立てれば何よりですわ」
私は顔を上げた。
微笑を浮かべたユニーさんがそっと私の手を握る。
「本当に、お気をつけ下さいませね」
ユニーさんが心配してくれるのが嬉しくて、私は笑顔で頷いた。
「はい、もちろん」
私の身の安全はアディファさんとかがちゃんと守ってくれるだろう。
どんな役どころか、分からない以上、『鍵』である『私』を損なう危険を、あの王サマが見過ごすはずがない。
できるだけ、足手まといにならないよう努力はするけど、不可能なところはあっちに任せてしまってもいいだろう。
そして、私はびしっと敬礼の真似をした。
「じゃあ、行ってきます!!」
とりあえず、笑って誤魔化そう。
「が、がんばります……?」
我ながら、とっても微妙な返事だったと思うんだけど、ラーニャさんは満足げに笑顔で頷く。
一応、応援してくれているみたいだから、いいんだよね……?
なんか、すごく選択を間違った気もしないではないんだけど――。
気を取り直して、私はユニーさんに事の次第を端的に話した。
地下の謎の空間については触れず、万象の律の手がかりを確かめるために行かなきゃならないところがあって、それで何かあった時のための用意をお願いしたのだ。
「はい、承りました。すぐに整えますわ」
何度も言うようだが、ユニーさんは優秀な女官だ。
彼女が「すぐ」と言ったら、「すぐ」だ。
待ち時間は紅茶の抽出時間もなかった。
つまるところ、三分もなかったということだ。
呼ばれて、別室に行ったら、私は三人ほどの侍女さんに取り囲まれ、あっという間に着替えさせられた。
……どっかのライブの早変わりですか。
「いかがでございましょう?」
指示は予めしてあったのだろう。
着替えが終わるまで黙って見守っていたユニーさんがしとやかな笑みを称えて尋ねてくる。
「生地には妖精族の燐粉を叩き込み、神族の織女が使う糸で縫い取り致しました」
「えーと?」
首を傾げる私に、ユニーさんは微笑んだ。
「妖精族の燐粉には魔法を拡散される効果がございます」
ふーん、ってことは魔法防御力UP?
こんな感じで、色々と説明を受けながら、準備をされた私。
元より、戦力にならない私には徹底的に防御力を優先されたようだ。
うん、当然だよね……!!
人並みの運動神経しかない一般人の私だ。
万象の律の『鍵』とか、特殊なポジションだけど、特殊な力が与えられた訳じゃない。
本当に、主人公とかありえないから。
「いかがです?」
「うん」
両腕を伸ばして、くるりと回る。
基本は普段着のスタイルと変わらない。
白を基本として、赤・青・緑・黄のアクセントがさりげなく配置されている。
ちょっとだけ、いつもより、豪華な感じだ。
加えて、至るところに、細やかな縫い取りがあり、それが魔方陣やら呪文になって、私を守ってくれる。
更に軽く屈伸をしてみるが、突っ張るところもない。
「うん、いつもより身軽な感じかも?」
私の言葉に、ユニーさんは口元を綻ばし、その背後で控えていた侍女さんたちが思わずと言った様子で手を取り合う。
「ありがとうございます」
笑ってお辞儀をすれば、ユニーさんが柔らかな笑い声を紡いだ。
「いいえ。少しでも、サリ様もお役に立てれば何よりですわ」
私は顔を上げた。
微笑を浮かべたユニーさんがそっと私の手を握る。
「本当に、お気をつけ下さいませね」
ユニーさんが心配してくれるのが嬉しくて、私は笑顔で頷いた。
「はい、もちろん」
私の身の安全はアディファさんとかがちゃんと守ってくれるだろう。
どんな役どころか、分からない以上、『鍵』である『私』を損なう危険を、あの王サマが見過ごすはずがない。
できるだけ、足手まといにならないよう努力はするけど、不可能なところはあっちに任せてしまってもいいだろう。
そして、私はびしっと敬礼の真似をした。
「じゃあ、行ってきます!!」