昨日の記憶

大学5回生による酒とネタのエッセイ。あだ名は『飛ばし屋』。送信メールの6割は、「昨日の情報求ム!!」

初体験

2007-07-29 15:47:14 | 聞き取り調査
今度の聞き取り調査はシャレにならない。
シャレにならないから書かないでおこうと思ったけど、今後二度と忘れないように、反省の念を込めて書こうと思う。

今回は「ききたくない」と本気で思って、リアルに旅に出る支度までやった。説得されて思いとどまったけど。

朝、目覚めると、研究室の友人M野さんのアパートで、M野さんの布団で、一人で、転がっていた。
M野さんの気配はない。探しても居ない。
そして左の後頭部が痛い。嫌な予感がする。

「なんで?」「なんで?」「ホントに意味わからん」と連発しながら部屋の中をぐるぐる廻る。

ひょっとして…M野さんと、家をとりかえっこした…?
なわけないか。連絡を取ろうにも携帯電話が見つからない。

とりあえず自分の家に戻り、シャワーを浴びて、ベッドに寝転がっていると携帯電話が震える音がした。必死で探したらカバンの底から出てきた。

私「もしもし?」
M野さん「あ、起きた?今、私んちやんな?」
「…自分ち。ゴメン勝手に出てきた。」
「え?鍵あったの?」

もうこの時点でわけがわからない。鍵なかったの!?

「すべてにおいてゴメンナサイ。…旅に出るわ。」
「え!?いや、ちょっ昨日のは本気でシャレんならんから、とりあえず研究室来て。」

…シャレにならない?…情報が不足し過ぎていてもう何がなんだか分からない。

「嫌だ!会いたくない!M野さん、昨日…何があったん?」
「それは4人で話したほうがええと思うねん。いろいろ渡さなあかんもんあるし、昼からでえーし来てな。」
「嫌だ!もう何も聞きたくない!…今から旅に出ます。M野さん…元気でな。ホンマに。短い間だったけど、楽しかったわ。」
「ちょっダメやって!サバに代わるな!」
サバ君も同じ研究室の子です。
サバ君「姉さん、とりあえず、一回来なさい。」
私「サバ君!?嫌です。私は旅に出るけん。…ってか左の後頭部が痛いんやけど、なんでかな?」
サバ君「…。とりあえず、、一回来なさい。」
「っやだやだっホントにゴメンな。もう消えるな。」

すると電話はまた違う友人に代わった。
Tさん「大丈夫やってフタガワ。来なよ、研究室。」
私「Tさん!?…私またとんでもないことやらかしたんやろ。もう、顔を見せる前に旅立ちます。」
「どこ行くの?」
「とりあえず北に。」
…電話はまたM野さんに戻った。
M野さん「ゼミ始まるから切るね!旅に出る前でもいいけん、絶対来てな!」
私「…わかった。今から着替えて行きます。」

地球一周に持って行ったバックパックに荷物を詰め、旅の決意強固に家を出た。

研究室に着いた。
おそるおそるドアを開ける。恐怖の瞬間。

「…おはようございます」

すぐに椅子に座らされ囲まれ事情聴取、されるじゃなくってさせられる。

サバ君「姉さん、昨日アンタ山科まで行ったんやで。」
私「山科!?…もう全ッ然意味わからん。もういいわ。旅に出ます。じゃ。」

すると別の部屋からM野さんが来て、

M野さん「診察券できてま~す。」
私「ハア!?」

真相はこうだ。
飲み会の後、彼らが私を家まで連れて帰る途中、
突然、私は後ろに倒れた。
カーンっと頭を打つ凄い音ともに、大の字で道に倒れた。
どんなに呼んでも意識は戻らず、
焦って脈まではかったそうだ。
「葬式とか、マジ無理やと思った。キャパ越えとる。」…M野談。
そして救急車で山科の病院まで運ばれた。
同乗は一人までなのでM野さんが乗り、一緒に飲んでたサバ君とS君はタクシーで追いかけた。
「救急車の人がどんなに顔叩いても、名前呼んでも、意識は戻らんかった。」…M野談。

病院で無意識のままレントゲンを撮られ、CTも撮られ、「救急医療室」に入れられた私。
「窓から、フタガワさんの脈拍のモニターが見えとって、ピッピッって波打ってたソレがいきなり、ピーってまっすぐになって、えー!!?ってもう本気で…。でも指につながっとったヤツが外れただけやった。」…M野談。
それからサバ君とS君も到着し、並んで座って待っていたら、
「何時間も待つと思ってたら、意外と早くに『フタガワさんの付添いの方~』って呼ばれて行ったら、そこに、いつも通りのフタガワさんが酔っぱらって看護婦さんに『大丈夫ッスよ~』ってからんどった。意識戻っても酔っ払いやった。」M野談。


それからタクシーで私を家まで送ったのだが、鍵が見つからず、やむなくミズノさんちに連れて帰って寝かせた。

以上のような出来事がつい4日前に起こったそうだ。


それを聞いた私は、
「ホントにゴメン。そしてありがとう。もう、迷惑はかけられん。もうここ(研究室)では飲まんな。旅に出ます。…M野さん、これ、まだ見せてなかった面白い本達…。ほんとは小出しにしようと思ってたけど、全部渡すわ。これ読んでその腕磨いてな。」
「それでフタガワさんがスッキリするんならええけど、帰ってきてな。」

私、顔をそむける。
「…うん。」

この時はしばらく帰らないつもりでした。
凹み過ぎて泣きそうでした。

しかし研究室の偉大なる酒飲みK先生に「フタガワさん、ちょっと来て」
と呼ばれ、諭され、とどまりました。

昨日、オープンキャンパスの後、研究室メンバーで飲みに行ったが、
私は「飲まない」と言ってウーロン茶。二日前に神奈川であった内定者懇親会でもちょっと飲んだけど(救急車で運ばれたから控えているなんて言いたくなかった)。そこは旅先の緊張感があるのであまり酔っ払わないだろうということで飲んだ。
研究室はもうホームになってしまっているので、ウーロン茶。もうこれ以上彼らに迷惑をかけてはいけないからウーロン茶。ここで飲むとダメなんです私。

「この店だったら家近いし飲んでいいで」
とM野さんに言われても
「いや、いい。もう飲まないって決めたから」

と言ったらなんか心が痛んだ。間違ってることをしてる気がした。
ビール4対ウーロン茶1で乾杯。
こんな切ない気持ちを味わったのは生まれて初めてです。拷問やな。帰ろうかな。

長年、夕飯とビールはセットだったので、お茶では食欲もわかず、食べながら話しているとだんだん胃が痛くなってきた。

…帰ろうかな。帰って一人でビールを飲もうかな。そこなら誰にも迷惑かけまい。
と一瞬思ったけど、それってかなりヒドイんじゃないかと思って我慢していた。

うーん、結構テンション上げて喋ってはいるけど、なんか空気が重いのは気のせいか?重いのは私だけか?

「フタガワさん、軟カラ頼まんでええの?」M野さんが気を遣っている。
「いや、いい。あ、いや、頼みたかったら頼んでやっ。」

げっなんか嫌な言い方になってる。
っていうか、
そんな目で私を見るなっ!寂しそうにするなっ!やばい、なにか面白いことを言わないと、頭のネジを一本抜かないと。引き出し引き出し。なんのネタでいこう。

ちょっと待て。一体、これは、なんなんだ?最初から行くの断るのも気まずいから来たけど、しかしそこでビールを頼むのはダメだと思ってお茶にしたけど、すんげえしんどい。
昼間はフツーに楽しいけど、この状況で、一人だけ飲まないとか、しんどい。



彼らにとって、私を家に連れて帰るのはそりゃあ面倒だろう。
しかしこの状況で、一人ウーロン茶を飲んでいる姿を見せるほうが、よっぽど迷惑なのではないか?私の性質がわかっている人にとって苦痛なのではないか?
だからといって帰るのもかなり失礼。
この状態を脱するには、もう、私に残された選択肢はひとつしかないんじゃないか?
と、
かなり自分に都合のいい状況判断をして、一言。

「ゴメン、1杯、頼んでもいい?」

その瞬間、隣にいたS君が
「飲め飲め~」
Tさんが
「っていうかフタガワ、人生楽しまなきゃ意味ない!って言ってたじゃん!」
M野さん頷く。

「だよね!っていうかこの先飲まないとか、ほんと、死んだほうがマシ!三日前に頭打って死んでたほうがマシ!…あ、M野さんが苦笑いしてる」
「違うで~ほほ笑ましいっていう笑みやで。」

3時まで飲んで、ちゃんと意識を持っていたのにもかかわらず、
やっぱり、念のためにか、部屋の前まで送られて、

「キミタチ毎回こんなことを…」

と、初めて彼らの行為を目の当たりにした。

迷惑かけるのが嫌だから、もう研究室では飲まないなんて、お門違いの大馬鹿者です。失礼にも程がある。

…ちょっと感傷的になってるな。おかしいおかしい。そんなBLOGじゃなかったはず。私いまオカシイ。
頭でも打ったんかな。打ったな。

第一回聞き取り調査

2007-07-22 21:32:36 | 聞き取り調査
 久しぶりに地元に帰って、幼なじみと飲んだ。
海沿いのビアガーデンをはしごして歓談、そして例によって、気付いたら朝だった。
「ここはどこだろう?」
畳敷きのきれいな和室、隣ではふとんで幼なじみがまだ眠っている。
「まさか、帰れなくなってその辺の旅館に泊まった!?」
とうとうやってしまったショック。とりあえず外に出ようと脱出を試みる。
出口を探して片っ端から襖を開けながら、部屋をぐるっと一周していると、幼なじみが一瞬だけ目を覚ました。
「トイレは、そこのふすまを開けて左やからノ」
ふすまを開けると、そこは見慣れた間取り、彼女の家でした。
「和室…あったんだ。」

幼なじみが完全に起きるのを待って、恒例の聞き取り調査。以下、幼なじみ→sato

私「昨日のことを教えてください」
sato「なっちゃん、ケータイに、おでんの辛子味噌つけてかじっとったで。」
私「嘘やろ!?…それ、今までで最強かもしらん。」
sato「うん。最初、ケータイに味噌つけた時はかじる寸前で『なにしとんっ!?』って取り上げてタオルで拭いたけど、そこでちょっと、いや、ここは、『ケータイに、辛子味噌つけて、かじった』ってエピソードにしたほうが絶対面白いと思って、後で責任持って拭こうと思って、『はい』って手渡して、ゴメン、泳がせた。」
私「英断やと思う」
sato「かじって、『かたい』って言っとった。しかもその後フツーにケータイいじとった。」
私「そのケータイ、恐ろしいほど発信履歴があるんやけど。」
sato「ああ、ミノさんに電話しとったで。島に誘おうとして。」
私「ミズノさんやな。」
sato「いい人やね。4回も電話に出てくれるなんて。フツー電源切るよ。」
私「後で詫びのメールを。」
sato「なっちゃん、『皆に電話して起こしてやる~』って、夜の10時半くらいに口走っとたけど、っていうか、起こすっていうか、まだ起きとる時間やから。」
私「アホ過ぎるな…なんか3軒目って、屋台村みたいなとこやなかった?」
sato「うん。車でフェリー乗り場に行こうとして、私が道間違えて、右折二回したらそこを発見して、ここは行くべきやろって、乗り入れた。」
私「その辺から覚えてないねんな…私酔うと告りグセがあるらしいんやけど、やっぱり告ってた?」
sato「うん。メッチャ。何回も。電話でI love you.とか言ってたよ。しかもメッチャ引っ張って。3分割くらいして。」
私「恥ずかしい。死にたい。」
sato「しかもミズノさんと電話しとる時、何回も私にピタってケータイ付けてきてて、何回も私しゃべったで。
『~私、なっちゃんと同じテンションですけど、大丈夫です。ちゃんと車運転できますから、法的にも。一滴も飲んでませんから。今、何飲んでると思います?バヤリースですよバヤリース!果汁20%ですよ。』
ってしゃべっとった。」

satoちゃんは下戸なんです。飲まずにそれもスゴイけど。

sato「あと、ミッちゃん(地元の友達)も誘おうとして、間違えてまたミズノさんにかけて、しかもその時…ゴメン私がミッちゃんと電話しとった。そして聞き捨てならないことに、電話口でなっちゃんは『ミカミさん』って呼んでて、また私の耳にピタッてケータイつけるから、『今、ミカミさんって呼びましたよね?』ってきいたらミズノさんも、『呼んだ呼んだ~』って言ってたよ。」
私「唖然とするわ」
sato「電話で最初、ミズノさんも飲みに来い来いって誘ってて、でもだんだんと、隔たっていることに気付き始めて、私に『さとちゃんここドコ?』ってきくから、『そーとー香川だよ』って答えたら、『そーとーカガワだってー!!』って言ってた。」
私「アタマ悪い…」
sato「そんで『ミズノさんどこにいんの?』『……キョウトー?え!?右京区?左京区?上京区?』ってきいてた」
私「ウザイ極みですな。」
sato「で、8月4日(よっか)の島が、電話しとるうちになっちゃんの中でだんだんと8日(よおか)になっていって、私も『やばい』と思って、『なっちゃん、4日だよね。』って言ったら、『あ、そっかーっ。ちょっと今から整理するね!8月4日、島!8月5日、まだ島!8月6日…8月7日…ちょっとその気になる!』とか言ってたよ。」
私「へえ~、っていうか、ミズノさん、カナヅチなのに、なんで島に誘ってんの私…。」
sato「えーっ!?」
私「うーん。」
sato「で、帰りの車ん中で、だいぶ落ち着いたと思ったから、『なっちゃん、ケータイ噛んでたよ』って言ったら、そこでなっちゃんはまた聞き捨てならないことを…」
私「…え。なに。」
sato「『なっちゃん、ケータイ噛んでたよ』って言ったら、
『え!?まじで!?そっかーあ、私、ミズノさんと噛んだんだ。』
『いや!なっちゃんミズノさんは違うから!それは違うから!ケータイ噛んだの。』」
私「ケータイ=ミズノさん?だったんかなあ。その当時。」
sato「『硬かった』って言ってたで。」
私「もう会わせる顔がないなあ」
sato「そんで車が家に着いたら、なっちゃんメッチャきょろきょろして、『ここどこ?』ってなってて、『え?私ここで降りていいの?』とか言ってて、ていうか『降りてください。』って。」
私「ありがとう。ほんとに、ありがとう。ってか、凹むわ~」
sato「大丈夫やって~。それで友達とか離れていくわけじゃないやろ~?」
私「…うん。」
sato「才能やって。飲んどる時も楽しくて、しかも翌朝エピソードを聞いてまた面白いって、二度オイシイ。」



友人は離れていくどころか、より近づいたり、むしろ増えたりしているので、

これは、昼間はシャイで不器用な私に、神様が与えたもーたアイテムなんだと考えることにしました。

はあ、しかし、
ケータイに辛子味噌つけて食べようとするとわ…前代未聞やな。