お久しぶりです。たこ魔女です。
今回は、荒川チョモランマの劇がどのようなものなのか、僕の言葉で伝えさせてください。
荒川チョモランマの脚本家長田莉奈がえがく舞台は、一言で言えば”浄化”の舞台だと感じています。荒川チョモランマの舞台を客として始めてみたとき、肌がフィジカルに震えていたのをいまでも覚えています。
皆さんには、”具合の悪いこと”というものはありますか?
電車に乗ったり、街を歩いたり、家族や恋人と会話したり。そうやって日常生活を送る中で気づいてはいるんだけども、気づいていることを認めてしまうとなんだか心に、ぐじゅ、と苦味が広がってしまうのであえて気づかないふりをしているようなことです。
荒川チョモランマの劇は、その”具合の悪いこと”をあえてお客さんへと突きつけます。勿論、彼女のもつとびっきりの甘辛いユーモアとセンスを添えて。
ときり、と跳ねる心臓。
ふる、 と揺れる肌。
くしゅ、と波打つ顔。
ちょっぴり毒々しく、そして切に清清しい彼女の芝居。
”具合の悪いこと”を突きつけられたはずなのに、その毒は彼女が創る劇のなかで癒しの力をもった薬へと変化してゆきます。医学部で精神療法を学ぶ僕ですが、これはまさにカウンセリングに他ならないと強く感じました。「顔で笑って、心で泣く」、そんな感情をお客さんに与える彼女の芝居は、まさに祝福の力を秘めています。
怒鳴り声をあげて、はたまた号泣しながら、もしくは顔を真っ赤にしながら胸につかえていたことを吐露したあとに訪れる”浄化”の瞬間。社会の喧騒の中で疲弊し、痩せ細る方に少しでも、そんな浄化を感じて欲しい。
明日からは、少しだけ微笑を浮かべながら生きていって欲しい。
そんな願いを込めながら作品をつくっています。
たこ魔女