恥ずかしいことだ。夜眠れずにベッドで布団を蹴り上げることは。男性は別れた女性のことを考えている時以外は、布団を蹴り上げることはあまりない。女性も大きく違わない。このように、過去の恋は布団の中で炸裂するキックとして残った。
真夜中の布団蹴りの数の分残ったのは、過去への後悔だけだ。「あの時どうしてああしたんだろう」「引き止めるべきだったのかな」「もっとよくしてあげればよかったのに」男女いずれも、20歳の恋がとても真剣で、とてもみっともなく、とても熱かったことを、やっと思い知る。その時の言葉と行動が自身の表現できた悩みの最大値だったことを知ると同時に。
誰もが自分の年齢以上のことを成し遂げるのは難しい。20歳で使える経験とは、19歳までの人生だけだ。恋をする方法、心の傷を克服する方法、いずれもそうである。相手の気持ちを理解できる自分の器もまた、そこまでだ。相手を完全に受け入れることができず、器は常にこぼれている。残るのは焦っている自分だけだ。2012年 「シンイ 信義 DVD-BOX1-3」
その熱病のような20歳の恋が、真夜中の布団蹴りで緩和される過程には、気恥ずかしい未成年者ならではの成熟していない対処方法が全て使われる。そうでなければ、まだ恋という感情を1度も感じたことがないか、または、他人とはまったく違う次元の愛情を経験したかだ。
20歳の恋は、そのように信頼と疑心、無関心と冷笑、情熱と絶望の間を急いで行き来する。どれだけ気を配ってもミスが生じ、頭では分かっていても心は爆発してしまう。結局、何を選択しても後悔は避けられない。2011年 「シティーハンター in Seoul DVD-BOX 1」
そのため、20歳の恋はグラウンドのゴールキーパーのようなものだ。一生懸命に飛んでも防御できるシュートには限りがある。何もかもが予想できないところから、半拍子ほど早く飛んでくる。そのためそのような恋が、後で真夜中の布団蹴りとして残るのは、宿命のようだ。tvN「応答せよ1994」のエピソードと現実の恋を区別する基準もまた、その宿命の有無だろう。
恋の前でもみっともなくならないキャラクターたち…本当に20歳だろうか?
「応答せよ1994」では、ヘテ(ソン・ホジュン)を除いて誰も恋において試行錯誤しない。特にチルボン(ユ・ヨンソク)は、高校を卒業したばかりの20歳なのか疑わしいほど、成熟した心を持っている。「応答せよ1997 DVD-BOX1+2」
なぜ足を引きずりながら迎えに来たのか、なぜありもしないジンクスを口実に試合に呼び出したのか、何のために6時間もバスに乗り三千浦(サムチョンポ)まで行って、またソウルに戻る馬鹿な真似をしたのか、ナジョン(Ara)にいちいち説明しない。ナジョンを好きでいる間ずっと「僕の気持ちに気づいてほしい」と愚痴すら言わない。果たして世の中に存在するのだろうかと思われる男性だ。
チルボンだけではない。恋を実らせる過程だけは、お互いに死ぬほど戦っていたサムチョンポ(キム・ソンギュン)とユンジン(Tiny-G ドヒ)さえも成熟しており感動的だ。
ナジョンの恋を未熟だと言う人もいるかもしれない。心を込めた「愛している」という言葉は、エイプリルフールになると同時に嘘になり、居酒屋でビール4、5本を飲んでも来ないスレギ(チョンウ)は、常に人の心をもてあそぶ。2013年 「となりの美男 イケメン DVD-BOX1+2」
しかし、ナジョンもまた、自身のことを思ってくれる天才医大生と、黙々と献身する大学野球で最高の有望株の中から1人を選ばなければならない立場にある。まったく思いやりのない男性に振り回されたり、毎日のように喧嘩したり、すべてを捧げたにもかかわらず裏切られたり、またはあまりにも簡単に飽きてしまい付き合ってから100日足らずで別れる現実での同年代の女の子の姿が、ナジョンの恋にはない。
結局このすべてがファンタジーだ。実際にできそうに見えるファンタジーだ。しかし、現実ではありえない。「応答せよ1994」の“実現できそうに見えるファンタジー”はそのため、現実では永遠に実現できなさそうなSBS「王冠を被ろうとする者、その重さに耐えろ-相続者たち」のファンタジーより残酷だ。なにしろ現実での恋は、これより遥かにみっともなく、窮屈であるだろう。現実では男女共に、20歳、21歳と時間が流れ20代が過ぎて行く間、何度も布団を蹴りながら青春を送るであろうから。2009年 「美男(イケメン)ですねDVD-BOX1 +2」
実現できない想像が、手が届きそうな姿で近づいて来る時、現実の自分を取り巻く価値は、その分だけ低く見える。しかし、価値が低くても高くても、我々は現実を生きる。そのため恥ずかしい過ちが繰り返されることを恐れ、恋をしないことは愚かだ。今、これを読んでいるあなたが20歳ならなおさら。誰かの言葉通り、世の中のすべてのものは、いつかは全部消えるのだ。時間が経てば何も残っていないだろうから。
しかし、どうしたら恋をせずにいられるのだろう。二度と戻らない1994年のその時のように、2013年の20歳も残り1ヶ月だ。2011年 「オレのことスキでしょ」