以前、「元プロ野球選手が資格回復制度のために研修を多数受けた」と言うのを書きました。
その際に「高校野球の監督をやって、甲子園に出場を目指したのでしょう」とも書きました。
実は昨年の夏の甲子園出場校に3人の元プロ野球選手がコーチとしていたそうです。
まずは、選抜優勝校の龍谷大平安高(京都)を開会式直後に破った春日部共栄高(埼玉)。
ここには埼玉西武ライオンズや横浜ベイスターズ(当時)で活躍した土肥義弘さんが今年5月からピッチングコーチとして、指導しています。
土肥さんは1993年に春日部共栄高のエースで甲子園出場し、準優勝しています。
プロ野球選手時代は理論派ピッチャーとして活躍し、現役引退後は解説者として活動していました。
その技術論をピッチャー陣に伝授して、エースを中心にして技術を身につけたことで自信が生まれ、その自信が度胸と負けん気の強さに繋がったと言います。
技術的には足の歩幅をこれまで以上に大きくし、ストレートの威力をつけることを指導され、決め球としたそうです。
また、キャッチャーにはストライクを先行させることと、バッター心理を読んでウラを欠く配球を教えたとのことです。
これらが強豪ひしめく埼玉大会を勝ち上がった一因でもあるのでしょう。
バンビ坂本以来の一年生エースで登場した東邦高(愛知)。
ここでは北海道日本ハムファイターズ、中日ドラゴンズ、東京ヤクルトスワローズに所属していた木下達生さんが大学に通いながら、ボランティア指導しています。
木下さんは2005年春の選抜大会に東邦高のエースとして出場、ベスト8に進出に貢献しました。2012年オフに現役引退した後、東邦高森田泰弘監督の勧めで資格回復をし、コーチを務めています。
2013年から愛知東邦大の人間健康学科に在籍し、2014年4月から大学の授業後にピッチャーを指導。
現役時代の強気のピッチングのまま、一年生エースの藤嶋健人に「ストレートがどこまで通用するか試してこい」と言って来たそうです。
その東邦高を破り、ベスト4進出した日本文理高(新潟)には東京ヤクルトスワローズでプレーした本間忠さん。
本間さんはスワローズで7年間プレーした後、BCリーグのアルビレックス新潟でピッチングコーチを務め、2014年2月から日本文理高でピッチャー指導を開始しました。
元プロの視点から体の使い方、変化球をどのようにして織り交ぜていくか、コーナーをどうしたらついていけるのかという点などの技術指導を行い、エースの飯塚悟史選手は低めにコントロールされた力強いストレートと緩急を使ったピッチングによって、一皮むけたピッチャーとなりました。
この他にも元プロ野球選手コーチがたくさんいます。
まだ、監督として甲子園に出場した元プロ野球選手はいませんが、こうしてコーチとしてチーム強化している役割、手腕は今後さらに注目されていくと考えます。
また、自チームOBでなくても、予算の制限がある公立校でも指導を希望する元プロ野球選手も今後出てくることでしょう。
今年はどんな選手が出てくるのか、楽しみでもあります。