斯く語りき

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奥さんに先立たれた旦那さんは長続きしない~野村克也氏の死去について思うこと~

2020-02-12 01:30:00 | 社会部
数年前に奥さんを失くしてからは、それまで備わっていた“毒”の部分が消え去り、本当に腑抜けの様になってしまったと思います。やはり彼は奥さんを本当に愛していたのでしょう。

さて、彼の様に奥さんに先立たれてしまった場合、余程しっかりとしたもの(意志の強さ)がなければ旦那さんは数年しか生きられないのではないでしょうか。

というのも、彼の様に入浴中に亡くなってしまった人が身近にいたからです。仮にAさんとしておきましょうか。

Aさん夫妻が私の実家のある団地に越してきたのは彼此8年くらい前でしょうか。ちょうど実家がある部屋の隣に越してきたので、それからは会えば挨拶するというスタンスで接してきました。

そんなAさん夫妻ですが、旦那さんは綺麗好きで、物事を率先してやるタイプではあるものの家族以外の人と付き合うのが苦手なタイプでした。他方で奥さんは体躯が細く、年齢以上に老け込んだ印象でした。

夫妻には娘さんがいて近所に住んでいるのですが、その子供(つまり夫妻にとっての孫)の長男が高校生で野球部に所属していたらしく、その度に旦那さんは応援の為に奥さんを連れ立って出掛けていた様です。

然し乍ら、先述した様に奥さんは身体が強い方ではなかったので、真夏の炎天下に応援に行ったりしていたのが祟ったのか、まもなく身体を壊してしまいました。

それからは入退院を繰り返す様になりますが、そうこうしているうちに認知症をも患ってしまったのです。

さすがの旦那さんも認知症にはショックを受けたのか、程なくして近所のグループホームに入居させることになりました。ただ、旦那さんは一緒に入居しなかったのです。つまり一人暮らしを選択したのです。

Aさん夫妻には生活苦がある様には見えず、逆に余裕がある風でしたから思い切って夫婦で入れる特養ホームを選択するとばかり思っていました。それなのにどうして旦那さんは事実上の一人暮らしを選択したのか未だに謎です。

もしかしたら娘さん夫婦と一緒に暮らすのが嫌だったかもしれませんし、グループホームという環境が許せなかったのかもしれませんが、結果的には其れが運命を分けてしまったのです。

それから暫くも旦那さんとは挨拶する程度の付き合いでしたが、明らかに窶れていきました。そもそも旦那さんは掃除などは得意でも、料理に関しては完全に奥さんに頼っていたからです。

あれは2年前の1月の夜でした。実家に立ち寄っていた私が、隣からただならぬ音や声が聞こえてきたのを耳にしたのです。玄関前の廊下を慌ただしく走る音、泣き叫ぶ声……尋常ではないものだと直ぐに理解しました。

直接その後の話を耳にはしていませんが、旦那さんは入浴中に亡くなった様です。今回の野村克也氏と同じ症状が原因で亡くなったかもしれません。

一人暮らしを選択した理由は判らないですが、旦那さんとしては愛する奥さんが認知症を患ってしまった時点で魂は死んだも同然だと感じたのではないかと思うのです。

そんな中で意志を強く持って生きていくと決意したものの、やはり寄る年波には勝てなかった、どこかで無理をしていたと思うのです。況してや料理の手助けすら求めなかった訳ですから、プライドが邪魔をしてしまったのかもしれません。

やはり奥さんが残った方が物事は上手く回ります。それは切り替えの早さもあるでしょうし、旦那さんが外で働いている時に周囲と接することで培ったネットワークがあったりして寂しく感じないのかもしれません。勿論、個人差はありますが。

今更ではありますが、Aさんの旦那さんの選択ミスは本当に勿体ないと思うばかりです😔