斯く語りき

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素直に『政治信条は関係なかった』とは思えない3つの理由

2022-07-10 20:15:00 | 政治関連
まさかの【白昼堂々の暗殺事件】となってしまった。況してや拳銃という飛び道具を用いての犯行。そして犯人は“たった2発”で仕留めてしまった訳です。報道及び動画に拠れば1発目は外れ気味だったとのことですが、2発目は確実に急所に一撃を加えたのですから、犯人が元自衛隊員だったのは間違いないと言えるでしょうね。

どれだけ腕前があろうと、相手が相手であれば、況してや警備・警護の隙を突いて犯行に及ぶのは一般社会で生活する人間では難しいと思います。そもそも日本は銃社会ではありませんから真っ当に触る機会は勿論のこと、練習する場所だってないのですから尚更です。

その点、自衛隊員であれば嫌というほど銃器や火器を扱います。そして幾度となく実戦に近い形での射撃をしてきている訳です。的を外せば逆に自分が倒されてしまうという危機感を常に持ち、一切の感情を圧し殺して相手を倒すことのみという状況下を何度となく繰り返してくれば、白昼であっても全く動じなかったと思うのです。

そんな犯人の彼は供述で『政治信条はなかった』と話しているそうですが、どうも俄に信じられません。その理由を3つ掲げてみたいと思います。

①週末に参議院選挙を控えている

与党勢力が優勢になれば一気に改憲へと突き進むと云われている参議院選挙の投票締め切りが10日に迫った、選挙運動の最後の平日を(週末となれば多くの人出があり遂行の妨げになる可能性が高いから)選んだと思います。勿論、安倍晋三元総理が急遽訪れることになったのは想定外だったでしょうが、それでも簡単には動じない神経が備わっている彼には関係なかったでしょう。

②専守防衛とは真逆の立場になり、且つ戦地での陣頭指揮を任される

憲法9条が改憲されれば自衛隊が専守防衛の立場から敵基地攻撃という立場へと切り替わります。確かに防衛であろうと攻撃であろうと銃器や火器を用いることに代わりはありませんが相手の国へ訪れるとなればアウェイであり、専守防衛で培った経験値が全て役立つとは限りません。

また、彼らは経験者であるだけに現地での陣頭指揮を任される可能性があります。否、素人の国民(が徴兵されることも確実でしょうから)が乗り込んでも話になりませんから任されるのは避けられません。そんな未来像を彼も他の自衛隊員も納得できるでしょうか。

③余りにも安易且つ稚拙な思考で物事が決められていることへの憂慮

今回の改憲への危機感を有権者が真剣に捉えていません。そもそも今回に至るまで有権者の半数近くが幾度も権利を放棄、即ち棄権を繰り返してきた訳です。野党がだらしない、信任できる人材がいない云々という理由にならない理由で政治に背を向け続けてきた結果、改憲前夜の状況にまで至ってしまったんです。

現状を考えれば、残念ながら間違いなく改憲へと向かうでしょう。安倍元総理の死去による香典票も加わって実現してしまうでしょう。とにかく危機感がないのですから仕方ありません。

然し乍ら、そうした余りにも安易且つ稚拙な思考により改憲され戦地へと送られてしまう自衛隊員の気持ちはどうなりますか。とても穏やかにはいきませんよね。たとえ現在の彼に当時の仲間たちとの繋がりがなかったとしても、彼がデスペレートな行動に走ってしまったことを純粋に非難できる人間はいないと思いますね。

以上が理由です。

半分は祖父である岸信介元総理大臣の悲願でもありましたが、自衛隊を外国と戦える組織へと変えたい気持ちが近年の総理大臣の中で誰よりも強かったのが安倍元総理です。だからこそ彼は2度の政権運営の中で虎視眈々と堀を埋め、改憲一歩手前まで漕ぎ着けてきた訳です。

然し乍ら、最もな当事者である自衛隊員の気持ちを汲みきれていなかったことが今回の凶弾で倒れる結末となってしまったと思うのです。

警察では既に犯人による動機についての発表がありましたが、その警察組織にまで自身の影響力を示していた安倍元総理です。果たして某宗教団体だけが理由だったのでしょうか。下手に本当のことを公表して自衛隊員への影響力が出てしまったら改憲への妨げになると忖度したとは思えないのでしょうか。