JFK-World 世界の撮影・取材地トピック

Freelance Film Director
TV-CMおよびTVドキュメンタリー番組のディレクター & カメラマン

リドに死す

2013年03月30日 | ヨーロッパ
(映画 「ベニスに死す 」 より )
リド島で出会った美少年への想いを秘めたまま、
やがて主人公の心は解き放たれ、肉体は死期を迎えます。


(映画 「ベニスに死す 」 より )
トーマス・マンの原作には、こんな一節があります。

『彼が海を愛するには深い理由があった。
 まず困難な仕事をつづける芸術家の休みたいという欲求。
 様々な出来事や人物を多種多彩に描き出すという
 課題の難しさのために、
 単純で巨大なものの胸に隠れたいと思うのである。 』

注: 原作では主人公は文筆家




(映画 「ベニスに死す 」 より )
遠く海 ・・
そして美少年を見つめる主人公に最期の時が訪れます。


(映画 「ベニスに死す 」 より )
自らの意志で施した死化粧のまま ・・




(映画 「ベニスに死す 」 より )
ぽつんと小さく描かれる偉大な音楽家の死は、
命の儚さを象徴しているようにも感じられます。
観る者によって、様々に違った思いが交錯するラスト シーン ・・
難解な物語りは、さらに難解な結末で幕を閉じます。



映画 「ベニスに死す 」 の主要な舞台となった
『Holel Des Bains ホテル デ バン 』 は、
2010年にアメリカ資本の企業に買収されました。
ホテルは、
高級マンションに生まれ変わるそうです。
(もう既に生まれ変わっているかも知れません )


(映画 「ベニスに死す 」 より )



1996年のアメリカ映画
『The English Patient イングリッシュ ペイシェント 』 でも、
『ホテル デ バン 』 は、
エジプト カイロの病院という設定で使われました。

『Belle Epoque ベル エポック 』 と呼ばれる
20世紀初頭の華麗な時代 ・・
2度の世界大戦 ・・
『ホテル デ バン 』 は、激動の世紀の目撃者です。
また、名作映画の舞台となり、ベネチア国際音楽祭では
世界中のセレブをゲストとして受け入れてきた名門ホテルの歴史が
静かに幕を下ろしました。

jfk-world













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