goo blog サービス終了のお知らせ 

ファイナンシャル・プラニング事務所 インテレクタス 

事務所連絡先:☎047-353-1908 ✉dresdenso@jcom.home.ne.jp

国民年金基金(2)

2012年01月19日 | 年金
一番目の問題点として、終身年金2種類・確定年金5種類計7種類の中から、

加入する1口めは必ず終身年金(A型、B型のどちらかを)を選択しなければならない事が挙げられます。

終身年金は、年金受給前又は受給後亡くなった場合年金受給権が消滅しますので、前もって年金受給合計額を把握できません。

その受給権の消滅のリスクをある程度カバーするのが保証付終身年金です。

A型は支払いを15年間保証しており、仮に保証期間15年の間に加入者が亡くなった場合、その残存保証期間の年金受給権の代わりとして遺族に遺族一時金が支払われます。

ただし、ここで注意しないといけないポイントは、残存年金受給権に対しての遺族一時金の金額です。

後で詳しく検証します。


B型の場合、保証期間はありませんので、年金受給前の加入者の死亡の場合、遺族一時金は10,000円のみで、年金受給後の加入者の死亡の場合、遺族一時金の支払いはありません。

B 型は掛金ほぼ全額又は一部が掛け捨てになる可能性がありますが(当然同額の年金額に対して、B型の掛金はA型の掛金よりも低いですが)、A型は保証期間が15年確保されていますので、A型を選択される方が多いと推察されます。

それでは、A型に絞って検証していきます。

終身年金A 型の各加入年齢別に(30歳・40歳・50歳)掛金金額、年金金額、利回り(年率)及び遺族一時金を検証していきます。

なお、掛金金額・年金金額・遺族一時金は一律に決められています。

以下の資料をご参照下さい。

資料はこちらから:国民年金基金終身年金A型の利回り(年率)及び遺族一時金(割引率)

上記の資料の様に

1.所得控除前利回りは、各平均余命時において非常に低いレベルになっており、所得控除後利回りでも1%前後です。

なお、所得控除前利回りが、予定利率(1.75%)を超える時期は各加入年齢共89歳時です。

2.それに反して、遺族一時金を算出する割引率は高く設定してあり、遺族一時金は割安になっています。

割引率が低い程、遺族一時金の金額は高くなります。

当事務所は、以下の理由により現在国民年金基金には加入すべきでないと判断しています。

1.一口めの加入年金を確定年金ではなく終身年金しか選択できないこと。

終身年金は、あらかじめ年金受給合計額の把握が困難であり、不確実性を内包しています。

もちろん、その不確実性をある程度補う方式として保証付終身年金があり、国民年金基金A 型は15年保証終身年金になっています。

ただし、この保証付き終身年金は、残存年金受給権に対する遺族一時金への割引率を確認する必要があり、国民年金基金A 型の割引率は、年金受給の利回りに比較して高く設定されており、遺族一時金は割安になっています。

2.年金受給利回り(年率)が低いこと。

平均余命までの期間においての国民年金基金A型の利回りは(年率)は、非常に低いレベルであり、現在の予定利率(1.75%)を超える利回りを達成する時期は年齢89歳時(男性)です。

3.不確実性がありそれを完全に拭えない状況で(終身年金の場合の加入者の生存期間と死亡)且つその状況を完全に補える条件が整っていないこと(遺族一時金が割安)

国民年金基金(1)

2012年01月19日 | 年金
まず、国民年金基金の概要です。

1.国民年金基金は、第1号被保険者独自の上乗せ年金で、各都道府県ごとに設立された「地域型国民年金基金」と、同じ職種ごとに全国規模で設立された「職能型国民年金基金」があります。

2.加入資格: 20歳から60歳になるまでの間の人で、国民年金の保険料を納めている第1号被保険者

3.加入者数: 約55万人(平成22年度末)

4.給付の種類:給付の型は「終身年金」(A型・B型)と「確定年金」(I型・II型・III型・IV型・V型)の7種類。

給付は「老齢年金」と「遺族一時金」です。

終身年金: 加入者本人が亡くなるまで受け取れる年金

確定年金: 年金を受けられる期間が決まっている年金

5.掛金の上限:1ヶ月の掛金の上限は、個人型確定拠出年金の掛金と合わせて68,000円

6.掛金は、全額社会保険料控除の対象です。

7.受け取る年金には「公的年金等控除等」が適用され、また遺族一時金は非課税です。

8.加入する1口めは、終身年金A型、B型のどちらかを必ず選択しなければなりません。

2口めは、終身年金A型、B型及び確定年金I型、II型、III型、IV型、V型の7種類の中から選択できます。

ただし確定年金の受取年金額は、終身年金(1口めと2口めのA 型、B 型)の受取年金額を超えることはできません。

なお、加入時の年齢が50歳1月以上の方は、確定年金IV型、V型に加入することはできません。

9.国民年金基金は積立方式の年金で、物価スライドはありません。

従って加入時の予定利率(現在1.75%)は固定利率です。

それでは、次回国民年金基金(2)で問題点を検証していきます

国民年金 付加年金

2012年01月13日 | 年金
1.付加年金は、第1号被保険者独自の上乗せ年金で、付加保険料(月額400円)の納付期間のある人が老齢基礎年金の受給権を得たときに(現在は65歳時)老齢基礎年金に加算して支給されます。

2.付加保険料:400円(月額)

3.付加年金の年金額(年額)=200円×付加保険料納付月数

例)付加保険料を10年間納めた場合:200円×10年(120月)=24,000円(年額)

従って、年金受給合計額は2年間で支払った保険料と同額になります。

4.付加年金はスライド調整の対象外で、定額支給です。

なお、老齢基礎年金の繰上げ支給や繰下げ支給を選択した場合は、付加年金も老齢基礎年金の請求月に応じて同率で減額または増額されます。

5.第3号被保険者、国民年金基金加入者は付加年金は利用できません。

6.申し込みは、市町村の国民年金担当窓口でおこなえます。

それでは被保険者が死亡した場合の遺族給付金はどうなるのでしょうか?

1.年金受給前に死亡した場合:

付加保険料を納付した期間が3年(36月)以上ある場合で、且つ遺族が “死亡一時金”を受け取れる場合は、一律8,500円が支給されます。

それ以外は遺族給付金等は支払われません。

死亡一時金は、被保険者の死亡により遺族基礎年金を受けられる遺族がいない場合に、死亡者と死亡当時に生計を同一にしていた遺族のうち一人に支給されます

2.年金受給後に死亡した場合:

被保険者が死亡した時点で年金受給権は消滅し、遺族には遺族給付金等は支払われません。

従って被保険者が死亡した場合、掛金払込合計金額の全額又は一部が掛け捨てになるケースがあります。

最後に加入年齢30歳、40歳及び50歳のケースにおいての付加年金の受取額及び利回りを以下の表に纏めましたのでご参照下さい。

資料はこちらから:付加年金受給額及び利回り(年率)について

自分自身が死亡した場合のリスクはありますが、国民年金 付加年金は金額自体は大きな金額ではありませんが、非常に有利な利回りを享受できる公的年金制度です。

民間個人年金保険と個人型確定拠出年金について

2011年12月19日 | 年金
現在民間個人年金保険の主流は、以前の変額年金に代わって定額年金(加入時に年金額が固定される)が占めています。

定額年金には平準払い(月払・年払で保険料を支払う)と一時払い商品がありますが、今回は平準払いを取り上げます。

定額年金の特徴として、次の点が挙げられます。

1.途中解約をしなければ、加入時に固定される年金額が元本割れすることなく受け取れる

2.個人年金保険料控除として最大所得税5万円、住民税3.5万円の節税メリットがある(介護医療保険料控除の新設に伴い、2012年1月以降所得税4万円、住民税2.8万円に法改正がなされました)

次に、個人型確定拠出年金についてですが、第1号被保険者(自営業者等)及び企業年金に加入していない第2号被保険者が拠出限度月額68,000円及び23,000円でそれぞれ加入可能です。

個人型確定拠出年金の特徴として、次の点が挙げられます。

1.運用は自己責任で行い、将来元本割れする可能性があります。

しかし元本割れするリスクを避ける為に、100%元本確保型(預貯金・生損保年金商品)に運用することも可能です。

2.拠出額全額が、所得控除の対象で節税のメリットがある

それでは次に運用利率についてですが、個人型年金保険及び元本確保型運用に絞った個人型確定拠出年金の共通の問題点は、利回りが非常に低いことです。

しかしながら、両商品には節税メリットがあり、税軽減後のネット受取額と利回りの改善を以下の資料に纏めました。

詳細はこちら「民間個人年金と個人型確定拠出年金の比較

資料から理解して頂ける様に、掛金が全額所得控除になるネット受取額及び利回りへの影響は非常に大きく、元本確保型運用に絞った個人型確定拠出年金の優位性は群を抜いています。

加えて、税制面では、民間個人年金保険では年金受取の際には雑所得として、一括受取の際には一時所得として課税対象になります(課税されない場合もありますが)。

個人型確定拠出年金では、年金受取の際には公的年金等控除、一括受取の際には退職所得控除(掛金拠出期間が勤続年数と見なされます)の対象になり、非課税で年金または一括金(併用も可能)を受け取れる可能性があります。

又、民間個人年金保険の定額年金は、加入時に年金額が固定される為、将来のインフレ対応商品ではない事が個人型確定拠出年金の元本確保型にも当てはまるのではないかという点ですが、個人型確定拠出年金の元本確保型の利率は長期金利の動向により毎月見直されていますし、10年の元本確保型商品を選択すれば10年後にはその時における長期金利を反映した新しい利率が適用されますので、ある程度インフレには対応できる商品と言えます。

では、これほど有利な個人型確定拠出年金の知名度が低く、企業型確定拠出年金の加入者340万人に比較して、個人型確定拠出年金の加入者11万人と少ないのは何故でしょう?それはひとえに、通常の投資信託・個人年金と個人型確定拠出年金を両方取り扱う金融機関が、手数料が分厚く取れる通常の投資信託・個人年金の販売を最優先するからです

金融商品の常で、販売金融機関には旨味がない商品は、個人投資家にはメリットがあります。

公的年金には全て頼れる時代ではなく、個人が自分自身の年金を築いていく時代に突入しています。

反面、年金商品は、一度加入すると長期運用が目的ですから簡単には解約出来ませんので(民間個人年金保険は途中解約すると元本割れになり、個人型確定拠出年金も60歳になるまで引き出せません)加入前に慎重に考慮する事が必要ですが、その際個人型確定拠出年金も是非候補の一つして検討して頂ければと思います。

小規模企業共済制度において掛金を減額した場合の対応策

2011年11月29日 | 年金
まず、小規模規模共済制度の掛金を増額及び減額した場合の共済金の計算方法は以下の通りです。

途中で掛金を増額している場合の共済金の額は、増額前の掛金月額による掛金納付月数と増額部分の掛金納付月数について、それぞれ計算を行い、それらを合計した額となります。

従って、増額の場合、完全な複利計算は行われません。

また途中で減額している場合も、それぞれの掛金月額による掛金納付月数について計算を行い、それらを合計した額となります。

従って、減額の場合、複利計算及び積立期間の通年計算も行われません。


以下の資料に掛金の増額及び減額した場合の共済金の受取額の計算方法を記載しました。

詳細はこちら:掛金増額・減額の場合の共済金の試算例

掛金を減額した場合、受け取れる共済金の額は非常に少なくなります。

従って、減額は絶対に避けるべきですが、もし減額してしまった場合は、出来るだけ早く前の掛金と同額にする為に増額する事をお勧めします。

ただし、実際に増額される際には取扱金融機関において前もって確認される事もお勧めします

以下の資料にその根拠を示しました。

詳細はこちら:掛金を減額した場合の対応策

次に他の注意点についてコメントします。

1.共済金の共済事由

共済金の一括受取りには「共済金A」・「共済金B」・「準共済金」・「解約手当金」の4種類があります。

一括金を受取る際に事由が決まり、利率が高い順に「共済金A」・「共済金B」・「準共済金」となっています。

「解約手当金」の場合、掛金納付月数が20年未満の場合は、掛金合計額を下回ります。

「共済金A」及び「共済金B」を受け取るにはそれぞれ条件があります。

「共済金A」の受取り:個人事業の廃止・個人事業主の死亡・会社等の解散

「共済金B」の受取り:

老齢給付、ただし65歳以上で15年以上掛金を納付した人が請求することにより受給権を取得します・会社役員等の死亡

それ以外の事由の受取りは「準共済金」になりますが、「準共済金」の利率は非常に低く設定されています。(拠出期間20年未満では一切金利が付与されません)

従って、事由をはっきり自分自身で確認して共済金を受け取って下さい。

2.予定利率について

予定利率は、これまで次のとおり変更が行われています。

平成8年4月~それまでの「6.6%」から「4.0%」に変更

平成12年4月~それまでの「4.0%」から「2.5%」に変更

平成16年4月~それまでの「2.5%」から「1.0%」に変更

将来、経済情勢や金利が大きく変化した場合には、同様の検討がなされ、今後も変更されることがあります。

ここからが重要なポイントなのですが、以前予定利率が変更になった際、変更までに拠出した掛金については、共済金が支払われるまでその予定利率が適用される事になりました。

従って、平成12年4月以前に拠出された掛金分については、共済金が支払われるまで予定利率6.6%で計算され共済金が支払われます。

視点を変えれば、まだ決定した訳ではありませんが、今後予定利率が引き上げられても、引き上げられる前の平成16年4月以降に拠出された掛金分については共済金が支払われるまで予定利率1.0%で変わることなく計算される可能性が極めて高いという事です。

当然、予定利率が引き上げられた以降に拠出された金額については、引き上げられた予定利率で共済金は計算されますが、インフレに100%反応する金融商品でないことは確かです。


しかし、掛金全額が所得控除の対象になり、実質掛金の負担額は減り実質利回りはかなり上昇するメリットは大きいのだと感じておられる方々もいらっしゃるでしょうから、考え方は色々あり、注意点をご参考にしていただければと思います。