昨日近所のスーパーに行ったら、非常に懐かしいもの発見。
思わず写真撮らせて頂いちゃいました。
いや~
Mukki(ムッキ)のマスカルポーネじゃないですか!!!!!
牛のマークとこの水色、懐かしい。
このMukkiはトスカーナの乳製品を扱う代表的な会社で、私は牛乳を買うときはここのにしていました。
このキャラクターもかわいくて、時々牛乳2本買うとグッズプレゼンと、なんていう時には一人だからそんなに消費できないのに買っていました。
まさか日本で、それも近所のスーパーでお目にかかれるとは…
https://www.mukki.it/
しかし、マスカルポーネかぁ…
私の乏しい料理の知識ではティラミス作るくらいしかないから購入はできんな。
とか考えていたらあることを思い出したんです。
もしかしたら以前も書いたことが有るかもしれませんが、マスカルポーネは危険です。
依然、友人の旦那さんが「ティラミスは人を殺せる」と言っていたのを思い出し、ちょっと調べてみた。
1996年8月30日、15歳と12歳の兄弟が友達の家で昼食に招かれ、友達の家で作られたティラミスを食べた。
その夜、弟と友人吐き気を訴え、病院に搬送。翌朝兄も同じ症状を訴え病院へ。
原因はボツリヌス菌中毒。
すぐに処置は施されたものの、残念ながら15歳の兄は36日後死亡した。
1996年8月から9月Campania(カンパーニャ州)と Calabria(カラブリア州)で起きたボツリヌス菌中毒は全て同じ会社が造ったマスカルポーネでティラミスを作ったのが原因と判明した。
調査の課程で、いくつかの店に売れずに残っていたマスカルポーネからもバクテリアが検出された。
マスカルポーネは元々寒い時期にしか生産されなかったチーズなのに、時代の流れで夏にも手に入るようになったのが一因と言える。
バクテリアの発生を抑えるためには必ず3.3℃以下で保存すること。
もしそれが守れなかった場合には必ず80℃以上で10分は温めること。
ということで、”生マスカルポーネ”が必要なティラミスには使用しないこと!
ボツリヌス菌中毒というのは稀なケースだが、毒性は強いらしい。
化学にも弱い私なので、今知ったのだけど、ボツリヌス菌は地球上で最強の毒素と言われている。
日本では2017年ハチミツを摂取した5歳児の死亡例があるようで、それ以来厚生省でも1歳未満の乳児にハチミツを与えないよう注意喚起している。
お国柄マスカルポーネでの感染例は日本にはないようだが、詳細は国立感染症研究所のサイトを見るとよい。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/7275-botulinum-intro.html
地下鉄サリン事件を引き起こしたオウム真理教は、ボツリヌス菌を培養させこれで大量殺人を計画していたという。
これは幸い失敗に終わり、オウム真理教は生物兵器の使用は諦め化学兵器を使ったという。
イタリアではボツリヌス菌中毒がヨーロッパ内で一番多く、1986年から2015年までの間466件が確認されていて、うち421件は料理から発見されていて、16件は死者も出ている。
80%のケースは中央・南イタリアの田舎に集中しているという。
中でも特出しているのはCampania(カンパーニャ州)、Puglia(プーリア州)、 Lazio(ラッツィオ州), Sicilia(シチリア)、Calabria(カラブリア州)で、1996年のケースもカンパーニャ州で起こった。
実はこの地区というのは、未だに家で料理をする家庭が多いことが原因とされていて、昔ながらの調理法や保存方法が生きている地域に起こっているというから皮肉な話だ。
最も可能性が高い中毒の原因はオイル漬けや塩漬けの野菜、中もキノコ、オリーブ、cime di rapa(チーマディラーパはアブラナ科アブラナ属の菜の花の一種)は危険。
お酢や塩に漬けてあるんだから大丈夫でしょう、と思いがちだが、酢漬けの場合は酸性化が十分でない場合起こりやすいし、塩漬けの場合は塩が足りない場合に起こりやすい。塩分は10%くらいは最低でも必要。
サラミやサルシッチャから感染することは稀だが、自家製のオイル漬けのツナは中毒性が高い。
最近10年北イタリアでもボツリヌス菌中毒が増えている。
特にEmilia Romagna(エミリアロマーニャ州)、 Lombardia(ロンバルディア州)、 Piemonte(ピエモンテ州)で、こちらのケースは9割が南出身の大学生で、実家で家族が作ったものを食べたというケースで、これも何とも悲しい。
”ボツリヌスの語源はラテン語のbotulus(腸詰め、ソーセージ)であり、19世紀のヨーロッパでソーセージやハムを食べた人の間に起こる食中毒であったためこの名がついた。
ハムやソーセージに発色剤として添加される硝酸塩は、発色作用よりもボツリヌス菌の繁殖を抑える目的で使用されている。
1896年、ベルギーの医学者エミール・ヴァン・エルメンゲム (Emile van Ermengem) により発見・命名された。”(引用:Wikipedia)
ちなみにしわ取りに有効といわれる「ボトックス注射」、このボトックスも実はボツリヌス菌。
勿論生理食塩水で薄められ、人体に影響がないようにして使われてはいるそうだが…
と書いたのですが、ここでご指摘頂いたので訂正。
正確には
「菌じゃなくて、ボツリヌス毒を薄くしたり加工したりして使うものみたいですね。」
「毒性学の父」パラケルスス(Paracelsus、本名テオフラストゥス・(フォン)・ホーエンハイムTheophrastus (von) Hohenheim)は「すべての物質は毒である。毒でない物質は存在しない。ある物質が毒となるか薬となるかは用いる量による」とは言っていますが、女性の美へ対する執着心には頭が下がりますわ。
ということで、マスカルポーネを使用する際はくれぐれもお気を付けを!というお話でした。
p.s.この記事書き終えたあと、ちょっと気になったので再度書きますが、Mukkiのマスカルポーネとボツリヌス菌とは全く関係がありませんので。あしからず!
参考:http://bressanini-lescienze.blogautore.espresso.repubblica.it/2019/05/03/il-botulino/
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コメントありがとうございます。
そういえば、最近見かけないですね。
お力になれずすみません。
近所のスーパーさん、まだムッキのマスカルポーネを取り扱っているのでしょうか?
訳あってムッキのマスカルポーネを探しております…(^^;;
お礼が遅くなって申し訳ありません。
嬉しい情報ありがとうございます。コロナがあるので、期待せず待ちたいと思います。
今年に入ってまだ一度も展覧会には行っていません。どこも予約制などで入場を制限しているので、いつもよりはゆっくり見られるとは思いますが、そこまでの行程が首都圏は不安です。早く普通に出かけられるようになって欲しいです。(入場制限はこのままで良いので)
ただ、まだ予定みたいですね。。最近は予定がでてはコロナでポシャりを繰り返してますからね。
私も数年前安倍文殊院、大山崎山荘美術館に桜の時期に行きました。お近くで羨ましいです。
朝早ければ嵐山でも人は少ないようですね。
私も芸術新潮4月号を立ち読みしてMetが来ることは知っていましたが、詳細は知らなかったのでありがとうございます。
ただこれ大阪だけなんですかねぇ…コロナ感染が落ち着いていて欲しいです。
2016年にNYを訪れた時は駆け足だったので、コロナが発生していなければ、2020年NYをゆっくり再訪しようかと思っていたのですが、ワクチン証明がなければ海外にもいけないとなると、再訪はいつになるのか皆目分かりません。
金曜は嵐山に行って、土曜は奈良県桜井市に行ってきました。どちらも、桜が見ごろでした。京都ではいくつか現代の日本画の画家の襖絵が見られました。大山崎山荘美術館にも寄ってきました。
かなりのビッグネームがきそうです。
オーストラリア プリスベンからの巡回展だとすると、そうとうすごそう。
URLのブログで教えてもらいました
コメントありがとうございます。
・「パニックが起こせなかったから中止」ってひどい話ですね。
・rapaは蕪のことですが、これは本当に菜の花とよく似ていて、葉、茎、花を食べます。オリーブオイルで炒めて、パスタにあえたり、そのまま付け合わせとして食べたり、時期になると束で買ってきてよく食べていました。
・しわは年輪だと思っているので(単に面倒なだけですが)しっかり調べませんでした。訂正します。ご指摘ありがとうございます。
炭疽菌 散布はやったそうです。パニック起こせなかったので中止(ref 極秘捜査)
>cime di rapa(チーマディラーパはアブラナ科アブラナ属の菜の花の一種)
これって、カブの葉とばかり思ってたんですが、日本のカブとは違うんですね。どちらかというと、菜花にちかいのかな?? italia独自の野菜みたいですね。
>このボトックスも実はボツリヌス菌。
菌じゃなくて、ボツリヌス毒を薄くしたり加工したりして使うものみたいですね。