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イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

茂木家本家美術館ー野田

2018年09月15日 13時50分19秒 | 日本の美術館

前回芳年展の話でちらっと触れた野田にある茂木家本家美術館のお話です。

今年の4月こちらでも「月岡芳年展」がありました。今年は押しですかね?

実はこの新聞記事で初めて芳年の存在を知ったんです。
そして初めてこの美術館の存在も知ったんです。

茂木本家美術館はキッコーマンでもしられる茂木家の十二代当主茂木七左衞門が、若い時にコレクションしていた作品で成り立つ私設美術館で2006年1月開館。野田駅から歩いて10分くらいの場所にあります。駅を降りたらなんとなくお醤油の臭いがするようなしないような…臭いはさておき、醤油工場が駅前にどんと。
外国人は日本の空港降りると醤油の臭いがすると言いますが、そこは日本人なので分かりませんな。

こじんまりした美術館です。
入ったらすぐ美術品、という感じ。

この窓も額縁のよう。
私が行ったのは平日で、天気もあまりよくなかったので、辛うじて1カップルがいましたが、私が見ているうちにその人達もいなくなり、完全プライベート状態になりました。日本では珍しい…
そうそう、こちら予約制なんですよね。当日でも大丈夫でしたが。

私設の美術館でもよくあることですが、こちらも係の人が一通り説明、案内してくれます。
説明後は適当に泳がしてくれるので助かります。
写真もOkなので、バシバシ撮りまくりましたが、何せスマホなので結果はいまいちでした。

常設展は

富士山かと思ったら筑波山、と言っていたと思うのですが、とにかく山ばかりのお部屋。
横山大観、片岡球子、中島千波と言ったかなり新しめの日本画家の大家の作品。
記憶が確かなら、確か建物(窓?)が筑波山方向に向いているとか、いないとか…

こう書いて有るので見てみたら

わぉ、月が見えました。

肝心の「芳年展」の方は、昨日紹介した作品と大差は有りませんでした。
違っていたのは


昔話の挿絵。これ桃太郎。

こんなのとか

こんなのとか。
全部影が映り込んじゃってますけど…


アップで撮ってみた。


ここだけしっかり照明、室温の管理がされていました。
ここを独り占め~贅沢。でも1人にしておいていいのでしょうか?

これだけで結構面白かったのですが、実はもっと面白いものを発見。
この美術館、お庭にも出られます。

4月なのに寒くて、風が強い日でした。
でも係の人が是非というので、外に出ましたよ。
お庭、すごく広くて更に神社が有るんです。


結構古そう。
実はここ、国指定登録有形文化財になっている稲荷神社と水屋


ちょっと変わった狛犬がお出迎え。


なんだろこの表情は?人面犬?

これが水屋。いわゆる手を洗う場所なのですが、近づいてみてびっくり!!
何これ~!!

「狐の嫁入り」だよ。素晴らしい。こんなのかつて見たことない!!
一人で超興奮してました。
この水屋「文化財オンライン」によりますと正式には「茂木本家住宅稲荷神社水屋 (もぎほんけじゅうたくいなりじんじゃみずや)」というらしいく
”社殿の東南に、南北棟で建つ。桁行一間梁間一間、切妻造銅板葺。内転びに建つ几帳面取の方柱を頭貫と台輪で固め、柱上三斗組とし、軒は二軒繁垂木。木鼻は唐獅子、中備や懸魚は神狐の彫刻で、西面は狐の嫁入りのモチーフとする。稲荷神社に彩りを添える。”とのこと。

これ個人の神社ですよ。すごいですね~
茂木家は1600年代に野田で醤油の醸造を始め、その後水運の利を生かし江戸と商売するようになって莫大な利益を得ました。
こんな説明は必要ないかもしれませんね。現在も経済界、政財界大きな影響を与えているキッコーマンですからね。
水屋にこの装飾

なんですかねぇ…







唐獅子牡丹



詳しい資料がないので、まともな説明ができないのですが、とにかく見事!!
これ見ただけでもわざわざ行った甲斐があったってもんです。
ちなみに近場だと浦安の唐代島稲荷でも「狐の嫁入り」の彫刻が見られるようです。
よしっ、行ってみようかな!!

余談ですが「狐の嫁入り」は北斎も描いています。

このシーンは”天気雨のときにはキツネの嫁入りがあるという俗信に基き、キツネの嫁入り行列と、突然の天気雨に驚いて農作物を取り込む人々の様子”が描かれています。
”このように、空想上の情景としてキツネたちと現実の農村風俗とを同時に絵画の中に描くことは珍しい例と指摘されている。
そのほかに1785年(天明5年)の『無物喰狐婿入』(北尾政美画)、1796年(寛政8年)の『昔語狐娶入』(北尾重政画)、1799年(寛政11年)の『穴賢狐縁組』(十返舎一九画)などの江戸時代の草双紙や黄表紙、『祝言狐のむこ入』『絵本あつめ草』といった江戸時代の上方絵本にも、擬人化されたキツネが嫁入りを行なう「狐の嫁入り」が描かれている。
これらは擬人化された動物の嫁入りを描いた「嫁入り物」と呼ばれる種類の作品だが、キツネたちに江戸の具体的な稲荷神の名前が付けられているという特徴がある。このことは、稲荷信仰と嫁入り物の双方が江戸の庶民に深く浸透していたことを示すものと見られている。”(Wikipediaより

美術館内には他にも

カフェがあります。
周囲の棚にはコレクションの塩コショウの瓶のセットが並んでいました。
こちらのカフェでは、2人以上予約で野田で評判のお蕎麦屋さんが出張してきてそばを茹でてくれるランチも出来るそうです。

茂木本家美術館
http://www.momoa.jp/index.html



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