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イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

母強し

2011年05月22日 13時07分17秒 | イタリアのテレビ・ニュースから

8日、ある大学教授が学校へ向かっていた。
午前中の授業を終え、車に戻ると、朝保育園に送るはずだった娘(22ヶ月)が車に残されていた。
ここ数日外気が既に30度近いイタリア。
車内はどれほどの気温だったか。そんなところに5時間。
彼女はこん睡状態で病院に運ばれ、父は警察に出頭した。

昨晩、小さな命の炎は努力の甲斐もなく、あっけなく吹き消された。
脳死
彼女の小さな体、その中のもっと小さな部分が移植を待つイタリアの子供たちの元へ運ばれた。
肝臓の移植を待っていた男の子は、昨日重態に陥り、一刻を争うところだった。
彼女の小さな心臓、肝臓と腎臓が他の命を救った。

朝、彼女の母がテレビで
「彼は模範的な父親です。
最愛の娘を失ったことで夫は罪を償いました。どうか、今は私たちに静かな時間を与えて下さい」と訴えた。
(これはあくまでも私が会見を聞き、感じたものです。決して発言に忠実に訳してはいません。)
涙が出た。
娘を車に残した父、不注意だとは思う。
でも・・・

「22ヶ月、2歳にも満たない少女の臓器を移植することは非常に困難だった」
それでも「この死が生につながることを願う両親の気持ちを汲みたいと手術に挑んだ」と医師は語る。
彼女の死を悲しむよりも、彼女の”生”を望んだ両親。

日本でも必ず夏になると同様に事故が起きる。
しかし、それは大抵パチンコをしていたとか、親の否を簡単に責めることが出来るケース。
いや、仕事だからいいのか、遊んでいたら駄目なのか?
子供を炎天下の車内に残すこと自体が間違いなのは確かだ。
でも・・・

小さな女の子は最後に「パパ」と呼んだ、と。
彼女は父の罪を許したのではないだろうか?
そんな父を誰が裁くことが出来るのだろうか?

ニュースでは最後に近年イタリア各地で起こった幼児(すべて女児)殺害事件の被害者の母親たちにスポットを当てていた。
母は強い。
そしてすべての母へ、エールを送りたい。

(このニュースに興味がある方はこちらを)



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