イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

印象派への旅ーBunkamura ザ・ミュージアム

2019年07月01日 16時27分30秒 | 展覧会 日本

もう、毎日じめじめ、むしむし嫌な日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
早いもので、今日から7月。今年も既に後半戦に突入です。

さてさて、先週は私の大嫌いな街、渋谷へ行って来ました。
昨日までBunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた「印象派への旅」を見に。


また印象派?と思われてしまいそうですが、印象派の展覧会って、世界中どこでも一番お金になるんですよ。
特に日本人は好きですからね。
閉会間際だったので、混んでるかなぁと思いきや、まぁ我慢できるくらいの人込みでした。
多分上野より宣伝してなかったからではないでしょうか?
私も全然チェックしてなかったので、このタイミングになってしまいました。

更に「バレル・コレクション?」と聞いても全然ピンと来なかったんです。
スコットランド・グラスゴー出身のウィリアム・バレルは、「海運王」と言われるほど紛拍の売買で大成功をした人。
ん?今似たような日本人がいませんか?
こちらは少年のころから美術に興味が有り、15歳で最初の絵画を購入した時、父親には「そんなものよりクリケットのラケット買った方が役に立つ」と言われたそうです。
24歳で家業を継いだバレルは、1890年代から1920年代にかけて、画商アレクサンダー・リードから様々な絵画を購入するようになります。

とこの辺りもあの人に似てる。
そう、それは松方幸次郎。こちらも現在国立西洋美術館で特別展開催中ではないですか。
これってわざとなのかな?
松方コレクション展

コレクター自身に専門的な知識がなくとも、優れた画商に出会えれば、質の良いコレクションが形成される。
アレクサンダー・リードはその点では非常に優秀だった。


ゴッホが描いた、その画商の肖像。
彼がスコットランドにフランス美術を紹介した立役者。
バレルは「リードは良質な絵画とそれを愛でる心をスコットランドにもたらした功労者である」と言っています。
この作品を描いたゴッホとその弟テオとわずかな間ではあるが、一緒に暮らしていたこともあるといいます。

バレルは1944年、数千点もの作品をグラスゴー市に寄付することに決めます。
寄付の条件は2つ
1つ目は産業革命により、急速な大気汚染が心配されたイギリス、スコットランドにおいて、その被害に美術品があうことがないように、美術館を郊外に作ること。
この約束は守られ、現在バレル・コレクションはグラスゴーから5Kmの郊外の住宅地に有ります。
ただ実際バレルは町から16マイル(26キロ)以上離れた場所と言っていたらしいですが、市当局は20年以上も条件に合う場所を探していたのですが、なかなかそんな土地には巡り会えず、1966年マックスウェル家から寄贈された現在の土地に美術館を建ててしまいました。
1958年にバレルは亡くなっていたので、その辺は大目に見てね、ということでしょうか。

そしてもう1つは「コレクションを英国外に持ち出さないこと」
ということで、こちらは約束が破られ、今回多数の門外不出の作品が日本へやって来たのはほぼ奇跡だとか。
こういう美術館数か所有りますが、たいていきっちりお約束守られていて、そこへ行かないと見られないというパターンのせいであちこち行きましたけどね。
経済的な理由ですかね?2つとも約束破っていいんですかね?

この”奇跡”が実現した詳しいいきさつは分かりませんが、現在美術館は改修工事中。
こういう時に作品を外へ貸し出すのは良くあるなので、まぁバレルさんも許してくれるでしょう。
9000点にも及ぶコレクションから選りすぐりの80点(同市のケルヴィングローヴ美術博物館所蔵のルノワールやセザンヌ、ゴッホなど7点含む)が来日しているそうですよ。

そもそもバレル・コレクションに絵画は50点くらいしかなく、東洋の仏像や甲冑なども多く所蔵しているようです。
なんか来日数が合わないような気もしないでもないのですが…
ほぼ全部来日してるの?まぁ閉館中だから全く問題はないでしょうけど。
来日している作品以外にも、レンブラントやボッティチェリ、ベッリーニ(「ジョバンニ」だろうね)などの作品も持っているというから、やはり画商の才能が良く分かります。
The Burrell Collection

マネやセザンヌ、ドガなど印象派セリエAの作品や、先日見て来たドーミニーなど小粒だけど良い作品が揃っていました。
会場は3部構成。
第1章:身の回りの情景
第2章:戸外に目を向けて
第3章:川から港、そして外洋へ

私が展示の仕方が気に入ったのは、クールベ、セザンヌ、ルノアールが同じ主題で描いた、サイズもほぼ同じの静物画。

こちらはセザンヌですが、3作が1つの壁に並んでいるのが非常に興味深かったです。

第3章の最後の1室は撮影可能だったので、お気に入りの作品をご紹介。

モネの師匠と言われるブータンの「トゥルーヴィルの海岸の皇后ウジェニー」です。
この作品どこかで見たことがあるような気がするんですよね。
確か、どこかのモネの特別展だったような…
と思ったらブータン、このトゥルーヴィルの海岸の絵を何枚も描いていたんですね。
この時期には相応しい1枚かな。

混んでいるわりにあまり不快感がなく、じっくり見ることが出来て、満足満足の展覧会でした。
「印象派への旅」はこの後静岡、広島へ巡回するそうです。

https://burrell.jp/index.php



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