年の瀬が近づいている。
この時期になると、毎年ミラノではとっておきの傑作を無料で見せてくれるイベントがある。
私はよく、ミラノ市主催のPalazzo Marinoというスカラ座の目の前に有る宮殿に行っていたが、先日みつけた記事はMuseo Diocesano Carlo Maria Martini di Milanoで行われるものだった。こっちも一度かな?行ったこと有るからたしか別イベントだと思う。
今年の傑作はこちら
写真:Wikipedia
現在カポディモンテ美術館(Museo e Real Bosco di Capodimonte di Napoli)にあるティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio)の”受胎告知(Annunciazione)”だ。
280×193 cmの大作で、ナポリのサン・ドメニコ・マッジョーレ教会(chiesa di San Domenico Maggiore a Napoli)のものだが、カポディモンテに保管委託されている作品。
作品には“Titianus f”とサインが入っていて、巨匠が一番脂が乗ってる時期の作品。
特徴的なのはなんと言ってもキラキラ光るような光の使い方。
特に天使の輝く衣装に注目してもらいたい。
金糸を織り込んだダマスカスのピンクと銀が輝く布地は、まるでその生地の質感まで伝わってくるようだ。
聖母の背後にある、絵の中の唯一の建造物である柱の存在感。
左の背景には青い空、茶色と赤の秋の風景が広がる。
聖母は胸の前で腕を交差させ、厳粛な面持ちで天使の告知を受けいれる。
片や天使のジェスチャーはダイナミックで、空からは天使たちが旋回し、光の矢が雲間から下りてきている。
1588年、ティツィアーのがピネッリ(Pinelli)家の為に制作、ピネッリ家はジェノヴァ(Genova)出身の銀行家で商人でナポリに移っていた。
1575年、コジモ・ピネッリ(Cosimo Pinelli)が家族のために聖母の受胎告知にちなんだ礼拝堂をナポリの教会サン・ドメニコ・マッジョーレ教会の翼廊にもった。
この教会は世界で唯一、ラファエロ(Raffaello,Madonna del Pesce,現在プラド美術館蔵),ティツィアーノ(Tiziano)そしてカラヴァッジョ(Caravaggio,Flagellazione di Cristo,現在カポディモンテ美術館蔵)を有する教会だった。
2017年のこの時期にもティツィアーノがミラノに来ていた。
その時は”聖なる会話(Sacra conversazione)” 、通称”ゴッツィの祭壇画(Pala Gozzi)”だった。
(その時の様子はこちら)
今回ティツィアーノの”受胎告知”は「ミラノで傑作2021(Capolavoro per Milano2021)」というイベントの第13回目で 2021年11月6日から2022年2月6日までミラノのMuseo Diocesano Carlo Maria Martiniに展示されている。
イタリアも再び感染者が増加しているという。
やはり向こうに行けるようになるにはまだしばらく時間がかかりそうだ。
日本もどうかこのまま乗り切って欲しいものだが…
参考:https://artemagazine.it/2021/11/08/
ナポリには行ったことがありますが、ほんのちょっと市の中心部を見ただけでした。卵城はよく覚えています。
ナポリは治安が悪いため、ツアーで寄ることはほとんどないですね。周りにもここで危険な目に遭った人が結構いるので、行く時は何より金目のものはもたないよう注意します。
良いところなんですけどねぇ…