イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

フェラーリの寄付で”夢の城”修復ーCastello di Issogne, Aosta

2021年11月14日 15時50分56秒 | イタリア・美術

フェラーリと言えば、イタリアを代表する国際的な企業の1つだが、社会貢献度も非常に高い。
地方行政がアオスタ(Aosta)に有るイソンニェ城(castello di Issogne)の中庭、そこを取り囲む回廊の天井と半月形の部分に描かれたフレスコ画を含む、の修復しようと決め、およそ468,000€(6000万年超)の資金が必要だと考えた。
そしてそのうちの180,000€(約2300万円)がフェラーリの寄付で補われた。
2018年6月、会場はアオスタ州(Valle d'Aosta)と国境近くがその会場となり行われたフェラーリ・カヴァルケード(Ferrari Cavalcade)で寄付は集められた。
フェラーリ・カヴァルケード(Ferrari Cavalcade)は、創業者エンツォ・フェラーリ(Enzo Anselmo Ferrari)かつて「世界で最も美しいレース」と称えた”ミッレ・ミリア(Mille Miglia)”(1927年から1957年の間にイタリアで行われた伝説的な公道自動車レースで、イタリア北部の都市ブレシアを出発して南下しフェラーラ、サンマリノを経てローマへ。さらにローマから北上してブレシアへ戻るというルートで、イタリア全土を1000マイル、イタリア語で mille miglia = ミッレ・ミリア、走ることから名づけられた。現在はクラシックカーレースとして毎年開催。)のオマージュとして毎年開催されている。

このプロモーションは2018年に亡くなったセルジオ・マルキオンネ(Sergio Marchionne)がフェラーリの最高経営者として行った最後の仕事だった。

写真:https://www.lastampa.it/
当時の市井の様子が描かれた優れたフレスコ画は見事によみがえった。
1400年代末期、フレスコは色々な技術を用いて制作された。
注文主はフランス人、Giorgio di Challant、画家はコリンのマエストロ(Maestro Colin)と呼ばれている。(半円形部に"Maître Colin pintre”とサインが残っている)
Giorgio di Challantはこの城を全サボイア王国の中で一番気品のある城にしようと考えた。
回廊の入り口は非常にリアルな市井の情景から始まり、宗教的な絵へと進んで行く。
兵士、パン屋、肉屋、果物屋、八百屋が並び市場は人が溢れている。

生地、スパイス、チーズを売る店を行儀よく眺める客などが絵の主人公たち。
チーズ店にはFontina(フォンティーナ)というヴァレ・ダオスタ州(Valdosta)の典型的なチーズと見られるものもあり、これはこの地方の伝統的なチーズが描かれた最初の作品と考えられている。

半円形部分の修復で最も重要なミッションは、家の紋章を探すことだった。
これによって結婚によって結ばれたアオスタ公国の重要な家々のことが明確になった。

この宝の城は何世紀にも渡り多くの芸術家が訪れ魅了された。
中でも中世に魅了されていたピエモンテ出身の画家、Vittorio Avondo(,ヴィットリオ・アボンド)はこの城を手に入れ、ここで暮らすために修復した。
彼やここを訪れた芸術はこの城を「夢の城( il Castello dei Sogni)」と呼んでいた。

回廊だけでなく、城の中には「フランス王の部屋(Camera del Re di Francia)」と呼ばれ、フレスコ画の装飾が残る豪華な部屋があるらしいので、是非時間をかけて訪れたい。
この辺は車がないと行き難いのだが、魅力的な城が数多く残っている。 

Castello Issogne
開館日時:10月から3月ー10時から13時、14時から17時
休館:月曜日、12月25日から1月1日
4月から9月ー毎日9時から19時まで
料金(2021年7月1日から2021年12月31日まで)
城のみ: € 5,00
割引あり

参考:https://www.lastampa.it/aosta/
写真・詳細:https://www.guidaturisticaosta.it/castello-issogne/



最新の画像もっと見る

コメントを投稿