中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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新緑の小諸;懐古園と島崎藤村ゆかりの場所を周遊

2014年05月20日 03時28分35秒 | 関東・伊豆箱根・上信越

                              <懐古園から浅間山連峰を望む>

      新緑の小諸;懐古園と島崎藤村ゆかりの場所を周遊
              (単独散策)
         2014年5月17日(土) 晴

<ルート地図>



<小諸駅前散策>


■何時も懐かしく感じる小諸駅
 懐かしい小諸駅に降り立つ.
 小諸駅の駅舎の基本構造は,私が中学高校時代に上田まで汽車通学をしていた頃と殆ど変わっていないような気がする.長野新幹線が開通して以来,小諸駅周辺も随分閑散となってしまったのが残念である.
 ただ,駅周辺はこのところの再開発が進んでいるようである.私は年に数回,小諸を訪れているが,その度毎に,駅前から懐古園入口付近が少しずつ変わっているのに気がつく.
 私は,まずは小諸駅周辺を散策することにする.

<しなの鉄道小諸駅>

■本陣主屋
 まずは駅西側の公園(正式な名称は分からない)を散策する.
 公園の向こうに本陣主屋が見えている.これまでは,駅前から曲がりくねった道を廻らなければ辿り着けなかった本陣主屋が,今は公園から直接行けるようになっている.
 公園を散策しながら,本陣主屋を訪れて見る.

<本陣主屋>

■くらしかる浪漫館
 続いて,本陣主屋の北側にある大手門公園を散策する.
 まずは「くらしかる浪漫館」.でもここは閉まったまま.公園の向こうには浅間山,黒斑山が見えている.
 公園の緑を楽しみながら,くらしかる浪漫館の裏手にある大手門に向かう.

<くらしかる浪漫館>

■大手門
 立派な門である.
 門の2階にある展示室を見学することができるが,以前見学したことがあるので,今回は見学を省略する.
 門を潜って,懐古園に向かう.

<大手門>

<懐古園散策>

■懐古園散策地図


■三の門
 懐古園の入口は,この三の門である.
 小諸駅西側の公園の中程から,しなの鉄道のガードを潜って,三の門から懐古園に入る.
 見学する時間があまりないが,藤村記念館と,小山敬三美術館だけは時間を掛けて見たいなと思いながら三の門から懐古園に入る.

<三の門>

■二の丸
 二の丸に登って見る.新緑が美しい.
 二の丸の縁まで行ってみる.縁は小高く盛り上がっている.その上に登ると手前に遮るものが何もないので,浅間連峰が良く見えている.
 暫くの間,立ち止まって浅間山を眺める(冒頭の写真).

<二の丸>


■本丸跡の紅葉
 本丸跡に向かう.
 花の名前を書くのはやめるが…どうせ私には花の名前など分からないので….
 とはいえ,この色のコントラストは,何とも美しすぎる.

<色のコントラストが美しい>

■苔むした天守台の石垣
 自然な形の石を重ねた天守台の石垣に苔が生えている.ところどころの花弁が落ちている.
 この取り合わせに,何となく惹かれるものがあるので,立ち止まって何枚かの写真を撮る.

<天守台の石垣>

■懐古神社付近
 本丸の中を散策する.
 本丸の中心は懐古神社.この神社の前は正に見頃.とにかく綺麗.見事.同じ所を何回も回って,沢山の写真を撮る.

<懐古神社付近の風景>

■新緑の中のソバ屋
 本丸から天守台に登る.以前は天守台から浅間山が良く見えていたが,何時の間にか周囲の木々が大きくなり,今はここから浅間山を眺めることができない.
 天守台から再び本丸に降り立つ.咽せるような新緑の中にソバ屋の建物がある.
 “ちょっと,ソバでも食べていこうか…”
と思った.
 でも,少々高価なので,急に食欲がなくなり,立ち寄るのをパス.

<緑陰のソバ屋>

■苔むし古城の石垣
 本丸から外に出る.そして石垣を廻り込むようにして,藤村記念館の方角へ歩く.
 古城の石垣に新緑の苔がビッシリと生えている.その風情が何とも美しい.

<苔むした古城の石垣>

<藤村記念館>

■藤村記念館を見学
 藤村記念館に向かう.
 小諸に戻ったら,必ずと言って良いほど,ここ藤村記念館と小山敬三美術館は訪れることにしている.
 数ヶ月ぶりに,藤村記念館を訪れる.見覚えのある展示物を飽きもせずに見て回る.なぜって? 実はこの展示物の中に,地元に関係のあった私の祖父の匂いが感じられるからである.
 30分ほどの間,館内をグルグルと回る.その間に,何人かの観光客が藤村記念館に入館してくる,

<藤村美術館>

■藤村記念館のパンフレット(表)


■藤村記念館のパンフレット(裏側)


<酔月橋を渡る>

■鹿嶋神社
 藤村記念館を出てから,どこをどう廻るかで少々迷うが,まずは地獄谷に架かる酔月橋を渡って,鹿嶋神社と小山敬三美術館を優先的に廻ることにする.
 まずは鹿嶋神社.
 境内には誰も居ない.私は鹿島神社の前で,暫くの間,ぼんやりと回想に耽る.
 鹿嶋神社は終戦直後まで,小諸駅前にあった.当時,小諸駅を降りると狭い駅前広場のすぐ先に断崖があり,その断崖の上に鹿嶋神社が鎮座していた.
 戦時中,私たち小学生は,時々,神社の清掃に訪れた.掃除が終わって,清々しい気持ちで宮城遙拝をしたものだった.
 今更,茫々の過去のことを回想しても詮ないことだが,なぜか私はこの鹿嶋神社を訪れてしまう.
 神社正面には真新しくて立派な石灯籠が立っている.何気なくこの石灯籠の台座に刻字された寄進者の名前を見ていると,その中に上田中学(旧制)・高校時代(新制)の同級生の名前があるのを発見する.彼はつい昨年永遠に旅立った.悲しいことである.
 “私のXデーもそんなに遠い話ではないよ…またお会いしましょう”
とこの同窓生に心の中で挨拶してから,鹿嶋神社を後にする.

<鹿嶋神社>

■寅さん会館など
 次いで寅さん会館の脇を通過する.数年前,この会館に一度だけ入ったことがあるが.懐古園の入園料の他に,別途,少なからぬ料金を支払った記憶がある.そんなことから二度と訪れることはなかったが,何時の間にか閉館してしまった.
 寅さん会館のすぐ先に資料館(正式名称は忘れた)があるが,ここも閉館している.実はこの建物の屋上から浅間山や千曲川を眺めるのが楽しみだったが,今となってはそれも無理.とても残念である.

■岩石の庭園
 小山敬三美術館の前に岩石の庭園(正式名称は忘れた)がある.
 緑陰の中の庭園を一回りしてみる.蛇紋岩,花崗岩など,数種類の岩石が展示されている.

<岩石の庭園>

<小山敬三美術館>

■また小山敬三美術館に来てしまった
 わくわくする気持ちを抑えながら小山敬三美術館に入る.
 私たち小諸ゆかりの人間が誇りとする画伯である.それに小山敬三画伯は,私にとって上田中学(旧制)の先輩でもある.
 この美術館で真っ先に見たいのが,浅間山の絵である.実は,この美術館で販売している絵はがきの大半を私は既に購入済みである.ときどきこれらの絵はがきを眺めながら畏怖する浅間山を思い出している.でも,絵はがきと本物の絵とは迫力がまるで違う.
 私は,いつも踊るような高揚感をもちながら,本物の絵の前に立つ.
 飾られているどの浅間山の絵も,浅間山の姿形は随分とデフォルメされていて,多分,浅間山を見馴れていない人には,この絵が本当に浅間山なのか判断が付かないのではないかと思う.ところが小諸に生まれ小諸の育った人間には,これらの極端にデフォルメされた絵から,写真では絶対に表現できない畏怖の念,風の音,噴煙,厳しさなどがダイレクトにビシビシと伝わってくる.そこが小山敬三画伯の絵が痺れるほど好きな理由である.
 例えば,下の写真の案内パンフレットの右上の絵.私にははっきりと牙山,剣ヶ峰,前掛山がどれかが分かる.そして実際に浅間山を見上げれば,ズバリこんな感じ…ドンピシャリだと思う.
 以前,私が小山敬三画伯の絵の印象を,このブログで書いたところ,「小山敬三の絵は下手くそだ…」というコメントを頂戴した.でも,私にとってはこれらの絵が上手いか下手かなどどうでも良いことだ.とにかく私に感銘を与えてくれる絵が好きなだけだ.上手い下手を論ずるなど本末転倒,余計なことだと思っている.
 ついつい,おしゃべりが長くなった…この辺りで素人の絵画論はおわりにしよう.


<小山敬三美術館のパンフレット>

■眺望百選
 小一時間,絵を鑑賞してから,小山敬三美術館の裏手に回る.
 ここからの千曲川の眺めが素晴らしい.
 「眺望百選 木立の間の千曲川」
と書いた案内杭が立っている.
 眼下には大きく蛇行する千曲川が木立の間から見えている.新緑が目に染みるほど鮮やかで美しい.

<眺望百選の千曲川>

<藤村碑と水の手展望台>

■藤村詩碑
 再び酔月橋を渡って場場付近に戻る.
 まず最初に藤村詩碑を見物する.
 “小諸なる古城のほとり…”
で有名な詩碑である.
 私が幼少の頃から,全く変わらないのがこの詩碑である.懐古園を訪れたからには,絶対に見落とせないところ.

<藤村詩碑>

■水の手展望台
 続いて水の手展望台を訪れる.
 以前は狭い石段を伝って登った展望台だが,今は立派な橋が架かっている.安全にはなったが,大分趣がなくなった.でも安全第一なのでやむを得ない.
 以前は,この展望台から浅間山が良く見えていたが,今は周辺の木立が大きく繁茂したため,浅間山は全く見えなくなってしまった.残念.
 しかし,千曲川の眺望は以前と変わらない.
 展望台の手すりに手を掛けながら,千曲川の眺望を楽しむ.
 “子どもの頃,よく千曲川に遊びに行ったな…”
と,またもや茫々の回想に耽る.

<水の手展望台から千曲川を望む>

■小山敬三画伯の絵
 小山敬三画伯の絵に,多分水の手展望台から画いたと思われる絵がある(下の写真).
 この絵を見ていると,千曲川で遊んでいた子ども時代のことを沸々と思い出す.
 千曲川で遊び疲れて家に戻る.その途中,谷間を登っているとカナカナゼミが啼いていたっけ…,
 この絵に描かれている道を先へ進むと布引観音だ.布引観音を詣でての帰りには,この絵に画かれている断崖の上に,白壁の家が建ち並ぶ小諸の町が西日を反射して光って見えたっけ…
 そんな諸々の回想が,この一枚の絵から次から次へと蘇ってくる.

<小山敬三画伯の絵;絵はがきを写す>

<馬場・桜の名所>

■吾妻屋
 水の手展望台から馬場へ向かう.馬場の入口に吾妻屋がある.昔からこの場所にある馴染みの吾妻屋である.
 吾妻屋の腰掛けに座って,しばし瞑想.
 瞑想の内容は,結局,幼少時に懐古園で遊んだ日々のことになってしまう.
 
<馬場の吾妻屋>                               <馬場;桜の名所>

■馬場に咲く花
 馬場には沢山の綺麗な花が咲いている.正に息を呑むような美しさである.
 花オンチの私には,これらの花の正確な名前は分からない.



<馬場に咲く花>

■富士見台
 馬場から動物園に向かう.
 途中,馬場の外れにある富士見台に立ち寄る.
 今日は晴天だが,富士山の方向に雲が棚引いていて,残念ながら富士山は雲の中である.
 私が幼少の頃は,ここから確かに富士山が良く見えた.その頃に比較すると,空気の透明度が悪くなっているためか,晴れていても滅多に富士山を見ることはできないようである.

<富士見台>

<動物園>

■白鶴橋を渡る
 富士見台のすぐ脇にある白鶴橋を渡って動物園に向かう.
 橋の真ん中で橋の下の谷間,紅葉谷を覗き込む.子どもの頃,紅葉谷を下って千曲川まで遊びに行った.でも,今この谷を見下ろすと,どうも人が通行している気配がない.
 “もう,紅葉谷を下って千曲川へは行けないのだろうか…?”
 私は,今すぐにでも紅葉谷を下ってみたいなと衝動的に思うが,今回は確かめる時間がない.

<紅葉谷に架かる白鶴橋>

■動物園を通り抜ける
 白鶴橋を渡ると動物園である.家族連れの観光客が多いようだ.
 時折,ライオンのうなり声が園内に響き渡っている.ライオン以外は,フラミンゴなど小動物が主体の動物園である.
 ぼんやりと歩いている内に,何となく動物園を通過してしまう.

<動物園>

■蒸気機関車
 料金所を出て,二の丸跡の裏手の駐車場に向かう.駐車場の片隅に蒸気機関車C56が置かれている.
 この機関車は間違いなく小海線で使われていたものだろう.当時は,信越本線で使われていたD50やD51に比較すると,随分小さな機関車だなと思っていたが,電車を見馴れた今,改めて見ると,その重量感,存在感に圧倒される.
 “まるで鉄の塊だ…よくこんなのが走っていたものだ!”
と改めてビックリする.
 
<蒸気機関車C56>

<小諸義塾記念館と藤村ゆかりの場所>

■小諸義塾記念館
 再び三の門の前に戻る.近くにある徴古館はもう何回も見ているので見学は省略.真っ直ぐ小諸義塾記念館に向かう.
 記念館の前に案内板が立っている.
 靴を脱ぐのが面倒なので,記念館の中に入るのは省略.

<小諸義塾校舎>

■惜別の歌歌碑
 小諸義塾記念館の脇に惜別の歌歌碑がある.
 “遠き別れに堪えかねて
  この高楼に登るかな
  悲しむ亡かれわが友よ
  旅の衣をとゝのえよ
   ・・・・・・・・・・・・・・・・”
という島崎藤村の有名な詩が歌碑になっている.
 歌碑の前に立ち止まって,この詩を読んでいる内に,抑えきれないほどのやるせない気分になってしまう.身につまされる.

<惜別の歌歌碑>

■島崎藤村ゆかりの井戸
 しなの鉄道の跨線橋を渡って,小諸駅前に戻る.
 相生町を登って,途中から左折して,島崎藤村ゆかり井戸を訪れる.小諸時代の島崎藤村は,この井戸の水で顔を洗ったなどと書かれた説明板がある.また,当時の井戸はつるべ式だったなどと書かれている.

<島崎藤村ゆかりの井戸>  

■島崎藤村旧栖の地
 続いて島崎藤村旧栖の地を訪れる.
 「藤村旧栖地」という刻字してある石塔と説明板が設置されているだけ.その奥は駐車場になっている.味気ない所だ.
 もう時間も押してきた.今日中に自宅のある鎌倉まで戻らなければならない.
 “そろそろ,駅に戻らなければ…”

<島崎藤村旧栖の地>

<信州ソバと新幹線>

■仕上げは信州ソバ

 島崎藤村旧栖の地から旧街道筋の市町を経由して,小諸駅に向かう.
 その途中,某ソバ屋に入って,今回の小諸散策打ち止めのソバを賞味する.
 まずは何も付けずにソバを2~3本摘んで食べてみる.ソバの香りが鼻の方まで伝わってくる.
 “ウン…こりゃ旨い!”
 私はソバをユックリと味わいながら食べる.
 食事後,頂いたそば湯がまた格別.
 私が食事をしている間に,私と同じ年格好の男性客が,ポツリ,ポツリと店に入ってくる.どうやら地元の方のようである.
 私が食事を終える頃,7~8人の団体客がドヤドヤと店に入ってくる.初老の女性群である.途端に店内が騒がしくなる.
 “退散の潮時だ…”
 私は店を出て小諸駅に向かう.

<打ち上げはソバだ>

■長野新幹線で…
 佐久平駅から長野新幹線に乗車する.車内はかなり混雑している.
 この時期,週末の休日は,佐久平で乗車すればナントカ座れるが,軽井沢から乗車したのでは,まず座れない.これ,私の経験である.だから多少不便でも小諸から小海線佐久平経由で新幹線に乗るようにしている.
 こうして,法事と懐古園巡りを無事終えた.
 夜,自宅に無事戻る.
 近々,時期を選んで,今度は法事ではなく,浅間山登山を目的にして小諸を訪れたいなと思っている.

<長野新幹線佐久平駅>
                                         (おわり)

「上信越の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/08a61e51a858f52f65eeaae88e723eb3
「上信越の山旅」の次回の記事
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