中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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初夏の丹沢:塔ノ岳(第23回)

2008年05月08日 11時08分56秒 | 丹沢の山旅

                   <花立場から塔ノ岳山頂を望む>

         初夏の丹沢:塔ノ岳(2008年第23回目)
            (途中からK氏に同行)
          2008年5月7日(水)
快晴

■連休明けの初出勤
 漸く慌ただしい連休が終わった.連休中は3人の子ども達が孫どもを引き連れて入れ替わり立ち替わりわが家を訪れていた.一時は3家族の両親と孫合計6人が狭いわが家に入り込んで,てんてこ舞いの状態になっていた.台風のような孫の襲来は嬉しくもあり,多少,煩わしくもある.そんな台風一過の今日(5月7日)は,幸いなことに快晴.絶好の登山日和である.
 私は,心躍る思いで,連休明けの丹沢への初出勤(?)をすることにした.
 何時ものように5時10分に家を出る.つい数ヶ月前までは,寒くて真っ暗な道を駅に向かっていたが,5月ともなると,辺りはもうすっかり明るくなっている.東に面した住宅の軒で,朝日が眩しく反射している.こうなると,最初から気分は最高になる.

■大倉へ
 モノレールで大船に出る.この所,毎回のように,小田急のナントカキップという安いキップで渋沢まで出ていたが,今日は気分が良いし,折角の連休明けの初出勤なので,少々奮発して,東海道本線を使って小田原経由で行こうかと思う.
 大船駅前のマクドナルドに入り込んで,コーラを飲みながら,一息入れる.そして,大船6時04分発静岡行の電車に乗車する.この電車は,昔の特急列車の車輌を使用しているので,ゆったりとしたシートである.久々にノンビリと電車の旅を楽しむ.
 小田原で,小田急の急行電車に乗り換える.そして,7時07分に渋沢駅に到着する.渋沢からは,7時16分発の通称2番バスに乗車する.車内は,平日にもかかわらず,ほぼ座席が埋まる程度に,沢山の乗客が乗っている.大部分が登山客のようである.ご常連のローギヤー氏も同じバスに乗っている.

■今日の課題
 軽くストレッチをして,7時34分にバス停大倉を歩き出す.気温が高くて少々暑いが,今日は湿度が低いので,とても爽やかである.それに,路面も良く乾いている.
 私の今日のテーマは,「正しい姿勢で坂道を登り続ける」に絞ることにしている.
 それというのも,つい先日行われた山旅スクール挑戦コース赤岩尾根縦走に参加したときに,私は師匠のサンダーウエスト氏に,
 「・・・どうも,登りの歩き方が今ひとつ上手くいかないので困っています・・・」
と相談した.するとサンダーウエスト氏は,
 「・・・flower-hillさんの歩き方は,まだ,後ろ足で蹴っていますよ・・・」
と言いながら,正しい歩き方の見本を示してくれる.私自身は,山旅スクールで教わった通り,忠実に歩いているつもりだが,まだ,まだ歩き方を完全には習得していないようである.サンダーウエスト氏は,
 「今の歩き方で,バカ尾根を2時間少々で歩けるんでしたら,歩き方を改善すれば2時間程度で歩けるようになりますよ・・・」
と私を励ます.私は,
 「2時間少々はオーバーですよ・・・2時間15分から25分程度です・・」
 「・・いや,それなら少々でしょう・・・15分程度は早まりますよ・・」
と嬉しいことを言ってくれる.
 改善の余地があるとは,まだまだ進歩できる.これは希望が持てるにつながる.

■注意しながら登り続ける
 私は,今回,スントの時計は持たずに来ている.いちいち分速を気にしながら歩くのではなく,もっぱら正しい歩き方を続けることに全神経を集中させるためである.
 歩き出してすぐに,今日の体調は「まあ,まあ」であることが分かる.
 深い杉林の中の登山道を歩いている内に,早速,50才代と思われる長身の男性に追い抜かれる.
  
                    <私をサッサと追い抜く男性>

 8時08分に見晴茶屋を通過する.いよいよ急坂の始まりである.私は,サンダーウエスト氏の指摘を思い浮かべながら,一歩,一歩,確かめながら登り続ける.
 「膝を曲げて・・・上体を真っ直ぐに・・・重心を少し前に・・・フラットフッティング・・」
私は心の中で,こんなことを呪文のように繰り返しながら登り続ける.その間,チェックポイント以外では,一切時計を見ないことにする.
 前方から,ご常連のYさんが,2本のストックを上手に使いながら,走るように下山してくる.彼とすれ違うのも日常の風景である.坂の途中で,1番バスに乗ってきた女性を追い抜く.
 8時14分に一本松を通過する.すぐに峠道になる.すっかり緑が濃くなったモミジの間を,涼しい風が吹き抜けている.天気が良いので,木々の間から,丹沢の山々が綺麗に見えている.足元の谷間からツヅドリの鳴き声が,木霊しながら聞こえてくる.

■結構,調子が良いぞ
 やがて,駒止茶屋直前の急坂に差し掛かる.歩き方に細心の注意を払いながら登り続ける.心なしか,何時もより楽に登っているような気もする.しかし,「腰を落として歩く」は,「連続してスクワットをしながら歩く」ことと同じである.太股の筋肉に連続的な負担が掛かっていることにもなる.このことからも,効率よく歩くには,それなりに強い太股が必要なことを実感する.太股の強化が,私の当面の課題のようである.
 8時33分に駒止茶屋を通過する.大倉を歩き出してから58分である.僅か1分とはいえ,1時間を切っている.今日の体調を考慮すれば,どうやら2時間10分台前半で塔ノ岳山頂に到着できそうである.しかし,今日の目的は,如何に早く山頂に到着するではなく,正しい歩き方を持続することにある.その結果,早く到着できればそれに越したことはない・・・そう思い直して,正しい歩き方に執着しながら歩き続ける.

■2時間10分台で登れそう
 駒止茶屋を過ぎて尾根道に入る.この辺りが,大倉尾根で,一番気持ちが良い所である.今日は富士山が,とても良く見えている.私は定点観測の場所で富士山をデジカメに収める.
 8時48分に堀山の家を通過する.ここからの登り坂も,苦しいと言えば苦しいが,逆にガレ場を登るのは楽しみでもある.何はともあれ,歩き方に執着しながら登り続ける.膝を屈めながら登るので,楽に登っているなという実感と,太股が疲れたという実感を同時に味わうことになる.
 9時03分,戸沢分岐を通過する.分岐直前に,60才代と思われる男性に追い抜かれる.彼は追い抜きざまに,
 「・・いや~ぁ・・・きついですね・・」
と私に声を掛ける.
 大倉から戸沢分岐までの所要時間は,1時間29分.去る4月23日,山頂まで2時間15分で登ったときの所要時間が,1時間30分.それより1分早い.今日は途中で2人の登山者に追い抜かれたとはいえ,私としては,かなり良いラップタイムである.このまま登り続ければ,2時間13分程度の時間で山頂まで辿り着けそうである.

■バッタリ,Kさんと会う
 戸沢分岐から,短い階段を登って,萱場平に到着する.ここで定点観測用の写真を一枚撮る.そして,前方を見ると,1人の登山客が,私に向かって手を振っている.私は,一瞬誰だろうと訝りながら,近付くと,山旅スクール10期のKさんである.久々のご対面である.私はKさんに会うとは全く想像していなかったが,Kさんは,
 「ひょっとしたら,flower-hillさんが来られるかと思っていましたよ・・・」
と私に話しかける.
 Kさんに再会できたからには,もう所要時間など,どうでもいい・・・とにかくご一緒に登りましょうということになる.

                  <定点観測:萱場平>
               ※今日の足元は良好.
               ※写真右側の男性が,私を追い越した.左側がKさん.


 Kさんは,昨年,シロヤシオが咲いている頃,塔ノ岳で知り合った方である.それがご縁で,山旅スクールの10期生になられたが,もともと山のベテランである.Kさんから,今日は山旅スクール10期生のパーティが,大倉尾根を登ってくることを教えて貰う.そういえば,昨年も,9期生のパーティと大倉尾根ですれ違ったことがある.今日はどこですれ違うかが気になり始める.
 登山道の両側に桜が,正に満開である.

■ゆっくり花立山荘を通過する
 Kさんと雑談をしながら,ゆっくりと登り始める.私はKさんの後ろについて歩く.所が,Kさんが意外に良いペースで登っていく.
 9時26分に花立山荘を通過する.そのまま,長い登り坂に差し掛かる.私には,この坂が苦しく感じる.私が,
 「この坂が苦しいんですよ・・・」
とKさんに話しかける.すると,Kさんは,
 「・・・ここはそれ程でもないですよ・・・私は金冷シから先が苦しいです・・」
と答える.私にとっては,金冷シから先は,もう山頂が近いこともあって,さほど苦しく感じない.苦しい苦しくないは人それぞれだなと実感する.

■塔ノ岳山頂に到着
 ほどなく花立場を通過する.今日は富士山が見事に見えている.ただ,春霞のために,南アルプスまでは見えていない.前方には塔ノ岳の山頂が手に取るように見えている.花立場の尾根道を下り,馬の背を通過して,9時42分に金冷シを通過する.
 苦しいと言いながら,Kさんは結構な速度で登り続ける.そして,9時57分に塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は,2時間23分.まあ,まあの速さである.
 山頂で休息を取っている登山者は,ほんの数名だけ,閑散としている.山頂からは,この季節ではまれなほど,眺望が利いている.5合目付近まで雪で真っ白な富士山が見えている.早速,定点観測用の写真を撮りまくる.
 山頂で一息入れていると,ご常連のローギヤー氏が到着する.
 「今日は,少々,暑かったですね・・・」
と挨拶する.ローギヤー氏は,山頂の尊仏像に両手を会わせた後,直ぐに下山し始める.

                <今日の富士山:塔ノ岳山頂より>

■尊仏山荘にて
 尊仏山荘に入る.先客が2人居る.お一人は,例のカメラマン氏.もう一人は中年の男性である.今日の小屋番はOさん他2人体制.山旅スクール10期17名が宿泊するので,2人体制にしているようである.
 今日,10時の山頂の気温は+16.7℃.私が登ってきた日の中では最高気温である.
 私は,例によって,300円也のお茶を所望する.
 Kさんが,カメラマン氏に,話しかける.
 「山頂近くの・・下から登ってきて左側に咲いている白い花,何て言う花ですか?・・貴方なら知っているでしょう・・」
 「うん,左に咲いていた“あれ”,“あれ”は,キクザキイチゲだよ・・」
 私は忘れないように,何回も聞き直しながら,ノートにメモする.
 「・・漢字で書けば分かるよ・・漢字の「菊」「咲」「一」,それに「華」という字だよ」
 カメラマン氏は,沢山のカメラ機材を左右からタスキ掛けにして,さらに大きなリュックを背負って,丹沢方面に出掛ける.こんなに沢山の荷物を背負って,2時間少々で登ってくるのだから,凄いなと思う.
 傍らに座っていた先客が,私の話しかける.
 「・・貴方とは,前に会ったことがありますよ・・・」
所が,私には,この方にお会いした記憶が全くない.申し訳ない気分になる.
 私は空になった急須を番台に返却する.すると奥の部屋で寝転んでいる営業部長を見掛ける.私は,
 「あれ,,,ミー君居たんですか・・・写真を撮らせてください」
とOさんにお願いする.するとOさんが,
 「ミーや,出てお出で・・・」
と優しく声を掛ける.ミー君が耳を立てる.その姿が良いので,写真に収める.
 「ミー君,相変わらず鳴いてるんですか?」
 「鳴いていますよ・・・だれか良い子が居ましたら世話して下さいよ・・・」
このやり取りを聞いていた男性が,
 「わが家に,22才になる娘が居ますよ・・・」
と茶々を入れる.
 「人間の“かみさん”では困ったな・・・」

                 <恋人(恋ネコ)募集中の営業部長>

■山旅スクールのNさん
 10時32分,尊仏山荘から下山を開始する.
 途中で,早速,道草をする.キクザキイチゲの写真を撮る.良く見ると,とても可愛い花である.頭上を見上げると,一面の山桜である.山頂は,正に春たけなわである.

             <キクザキイチゲ:塔ノ岳山頂直下にて>

 金冷シ付近を下山していると,すれ違った男性が私の顔を見て,話しかける.
 「あれっ・・もう下ってきたんですか.早いですね.私,同じバスに乗っていましたよ」
これも毎度のパターンである.
 10時47分,金冷シを通過する.馬の背から小さな登り坂を通過して,花立場に到着する.今日のように晴れた日は,ここからの眺望が素晴らしい.一望の下に駿河湾が見えている.遙か東には江ノ島が,そして,西には真鶴半島が手に取るように見えている.
 花立山荘に向かって下り始めると,見覚えのある女性が登ってくる.山旅スクール6期のNさんである.この大倉尾根で,度々お会いするNさんは立派なご常連である.Nさんが,
 「・・・渋沢駅で山旅スクールの人達と会いましたよ」
と教えてくれる.

■山旅スクール10期のグループとすれ違う
 11時05分に花立山荘を通過する.急な階段をユックリと下り続ける.戸沢分岐を経て,11時30分頃,堀山の家近くのガレ場を降りているときに,下から登ってくる山旅スクール10期生のグループを発見する.今日のガイドはSさんである.
 私達は,坂道の山側に待避して,グループが通過するのを待つ.ガイドが,私を.
 「・・山旅スクールの先輩,flower-hillさんですよ・・・」
と紹介する.
 グループの一人が怪訝そうな顔をして,
 「今朝,登ったんですか・・?」
と私達に質問する.どうやら,日帰りで往復するのが解せないようである.
 私は,一瞬,昨年お会いしたときと同様に,このグループと一緒に,もう一度,塔ノ岳に登り返そうかとも思ったが,今回は,Kさんと一緒だし,早く帰って,16時からのテレビ,水戸黄門も見たい.残念ながら,このまま下山することにする.
   
                  <黄色い花:観音茶屋付近にて>


■ノンビリと帰宅
 駒止茶屋辺りから下は,もう盛夏を迎えたような雰囲気になっている.木々の緑はすっかり濃く,深くなっている.緑陰のベンチがある一本松付近を,12時03分に通過する.
 その後は,バスの時間を見ながら,ノンビリと下り続けて,12時47分に,バス停大倉に到着する.
 大倉発12時52分のバスに乗車する.この時間のバスは空いている.13時03分に渋沢に到着する.ここで,Kさんとお別れする.
 私は,小田原経由,東海道本線で,14時35分,大船に到着する.予定通り,テレビの水戸黄門を楽しむ.

[ラップタイム]

 7:34  大倉歩き出し
 7:38  登山口
 7:53  観音茶屋
 7:57  分岐
 8:06  雑事場ノ平
 8:08  見晴茶屋
 8:21  一本松
 8:33  駒止茶屋
 8:42  堀山
 8:48  堀山ノ家
 9:03  戸沢分岐
 9:05  萱場平(ここからK氏に同行)
 9:26  花立山荘
 9:42  金冷シ
 9:57  塔ノ岳山頂 着
=================================
10:32  塔ノ岳山頂 発(+16.7℃)
10:47  金冷シ(山旅6期Nさんに会う)
11:05  花立山荘
11:19  萱場平
11:21  戸沢分岐
11:37  堀山ノ家(山旅10期グループに会う)
11:44  堀山
11:52  駒止茶屋
12:03  一本松
12:12  見晴茶屋
12:15  雑事場ノ平
12:22  分岐
12:25  観音茶屋
12:40  登山口
12:47  大倉 着

[山行記録]

■登攀・下降高度
  1201m

■水平移動距離   6.5km

■登攀所要時間
  大倉発      7:34
  塔ノ岳山頂着   9:57
  (所要時間)  2時間23分(2.38h)
 登攀速度   1,201m/2.38h=504.6m/h

■下降所要時間
  塔ノ岳山頂発  10:32
  大倉発     12:47
  (所要時間)  2時間31分(2.52h)
 下降速度   1,201m/2.52h=476.6m/h
                              (以上)
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2 コメント

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塔ノ岳 (Kiyoma)
2008-05-08 23:01:23
昨日は、ご一緒いただきありがとうございました。膝の調子はマーマーですが、夕食後のリハビリで大改善し、自信が付きました。来週も天気を見て火曜日か水曜日チャレンジします。目標は1ピッチ2時間40分かな。なお、今回は条件も良くよい時間で登れ非常に良い気分です。また、お目に掛かるのを楽しみにしています。
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コメント有り難うございました (flower-hill_2005)
2008-05-09 05:58:10
Kiyomaさん
コメント有り難うございました.また,ご一緒頂き有り難うございました.Kiyomaさんのブログも拝見しております.今回の塔ノ岳の記事が,早々に掲載されていてビックリしました.
来週,多分,私も火~水あたりに塔ノ岳に登る予定で降ります.お天気次第ですが・・・
シロヤシオは,まだ,まだのようですが,登山道周辺の草花が魅力ですね.
また,よろしくお願いします.
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