中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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モロッコ訪問記(7):第2日目:マラケシュを目指して(2)

2009年07月22日 20時38分25秒 | モロッコ;ツブカル山

                 <マラケシュに向かう素晴らしい道路>

    モロッコ訪問記(7):第2日目:マラケシュを目指して(2)
             (アルパインツアー)
        2009年6月7日(月)~18日(木)

      第2日目 2009年6月7日(月)(つづき)

<一路マラケシュへ>

■長旅の始まり

 カサブランカ国際空港(ムハマド5世空港)で,現地ガイドのアブダラさんと落ち合った私たちは,専用バスに乗り込んで,14時39分に空港を出発,一路マラケシュ(Marrahech)を目指した出発する.
 道すがら,現地ガイドのアブダラさんに伺ったところ,マラケシュは,モロッコで,フェズ(Fez)に次いで2番目に古い町だという.11世紀,ベルベル人が作ったイスラム国家の首都として栄えたところである.その後,13世紀に首都がフェズに移転するとともに,一旦,衰退したが,15世紀に,ふたたび,マラケシュが首都になり,沢山の建築物が建てられたという.ガイドとは日本語と英語をチャンポンに使いながら会話したので,ナントカ王朝というところは,聞き漏らしたところや,聞いてもすぐには頭に入らないところもあるので,メモがきわめて不完全である.
 旅行社から頂戴した地図を見ると,マラケシュは,カサブランカからほぼ南へ約220キロメートル離れたところに位置している.これは,かなりの長旅になるなと覚悟する.
 ときどき,アブダラさんの説明を,ツアーリーダのMさんが,マイクを通じて,日本語に翻訳して,私たちに伝える.
 「・・・モロッコは,アフリカに位置していますが,水には困らないんです・・」
 私は説明を伺いながら,あれ! さっきも同じ話を聞いたなと思う.

■高速道路を走り続ける
 私たちを乗せた専用バスは,ほどなくカサブランカの郊外に出る.片道2車線の立派な道路が続く.交通渋滞は全くない.やがて,乾ききった平原の真っ直中を,バスは,南へ,南へと快調に飛ばす.道路の舗装が良いので,足元から心地よい単調な揺れが絶え間なく伝わってくる.時差もあるので,そのうちに,たまらなく眠くなる.私は,ついついウトウトと居眠りをする.
 大きな立体交差を通過する.やがて,バスは緩やかな上り坂になる.そして,15時16分頃,丘を越えて,反対側の下り斜面に入る.峠から5分ほど下ると,再び広々とした平野になる.ニンジン畑,ユーカリの林が続く.その間にも小さな上り下りを繰り返す. 時差のため,頭の芯の方が,何となくボア~ンとした感じがする.
 15時40分,セッタッ(Settat)という小さな集落を通過する.カサブランカから,およそ70キロメートルのところである.
 車窓にはラテライトの赤茶けた稜線が延々と続いているのが見える.立派な道路だが,交通量はとても少ない.
 16時06分,スコアレハムマ(Skhour-Rehamna)という案内標識が立って場所を通過する.辺りを見回しても集落らしい所が見あたらない.小高い丘が累々と続くだけである.西側に見えている小高い丘の上に,大きな無線塔が建っている.私は,一番先頭の席に座っているアブダラさんのところへ行って,現在地を確かめる.どうやら私たちは,地図には点線でしか表記されていない高速道路通っているので,スコアレハムマの中心街からは5~6キロメートルほど離れたバイパスを走っているらしい.
 相変わらず,眠気を誘う道路が続く.

■ベンケリーのガソリンスタンドで休憩
 16時22分,ベンゲリー(Ben Guerir)のガソリンスタンドに立ち寄る.辺りは,広い平原である.このガソリンスタンドは,平原の中にポツンと建っている.ここでトイレ.ここは,カサブランカから直線距離で,約170キロメートルの地点である.今日の宿泊場所のマラケシュまでは,後,約70キロメートルである(道路が曲がっているので,直線距離の合計が前出の220キロメートルより長くなる.念のため).
 店内に入る.まずは飲料水を確保しなければならない.私は売店で2リットル入りのペットボトルを,7DH(ディルハム:約84円)で購入する.10DH紙幣を出して,受け取ったお釣りを良く確かめずに,ポケットに仕舞い込んでしまう.
 私の次に,飲料水を買おうとした野詩歌さんが,
 「何だかお釣りの額が変だから,買わなかったわ・・」
という.そして,アブダラさんの立ち会いの元に,改めて買い直す.
 「こんな歴としたスタンドでも,お釣りを誤魔化すのかな・・・」
とアブダラさんも呆れている.
 そう言われてみると,私もお釣りを誤魔化されたかもしれないが,もう確かめようがない.
 「まあいいか・・・誤魔化されたとしても,10円~20円の世界だから・・・」
とは言うものの,やっぱり気分が悪い.これからは,十分に気を付けようと思う.
 一同,店内のテーブルに座って,休憩を取る.

               <ベンケリーのガソリンスタンドで一休み>

 
     <1本84円の水>               <ガソリンスタンドの休憩所>

■空いている高速道路
 16時41分,ガソリンスタンドを出発する.
 嬉しいことに,ツアーリーダのMさんから,思いがけなく,お菓子の差し入れがある.丁度甘いものが欲しいなと思っていたところである.有り難く頂戴する.
 また,広々として赤茶けた大地の中をバスは淡々と進む.直ぐに眠くなる.相変わらず片道4車線の素晴らしい道路が続いている.しかし,往来する自動車の数は少ない.目の前に,ものすごく大量の荷物を積んだトラックが走っている.
 また,アブダラさんとMさんのコンビによる解説がマイクから流れてくる.
 「・・・14世紀頃から,ジブラルタル海峡を渡って,多くの国の人々が,モロッコに渡ってきました.中には,まるでドロボーのような人たちも沢山居ました.ここは,昔,カルタゴの一部でしたが,ローマによって滅ぼされました.その後,いろいろな国によって支配されました.最近はフランスが支配していました.ですから,モロッコでは,いろいろな言葉が公用語になっています・・・・」

            <バスの中で,お菓子の差し入れ:美味しい>
  ※お菓子の下に見えているのは,私のメモ帳.偶然にガソリンスタンドで書いたメモのページが開いている.

■素晴らしい高速道路
 17時13分,ゴツゴツとした岩山の麓を,バスは登り始める.そして,17時35分,峠を越える.私は地図を見ながら現在地を確かめる.目が粗い等高線をたどると,峠の標高は550~560メートル程度のようである.早速,アブダラさんのところへ行って,確かめる.
 峠を下り始めると,前方に大きな街が見下ろせる.マラケシュである.

                   <素晴らしい高速道路が続く>
                  ※ものすごい量の積荷は干し草か?

<いよいよマラケシュ>

■マラケシュの郊外

 17時25分頃,マラケシュの郊外に到着する.自動車の数が増え出す.やがて,煉瓦で作られた家が立ち並び始める.進行方向左手,道路より大分離れたところに,マラケシュの旧市街が見え始める.
 アブダラさんの説明によると,マラケシュの人口は約100万人.アトラス山脈の伏流水が湧き出るので,水には困らないという.
 17時30分,建売住宅が建ち並ぶ一角を通過する.元気がない植木が並んでいる.その先にラテライトのような赤茶色の住宅が連なっている.アブダラさんの説明によると,これらは,主としてヨーロッパ人向けの建売住宅だとのことである.
 住宅そのものは良いにしても,何となく埃っぽくて,私は住む気になれない.

          <マラケシュの郊外:ヨーロッパ人向けの建売住宅群>


       <マラケシュ市内に入ると,さすがに自動車も増えてくる.日本車は少ない>

■ホテルアミネ到着
 17時40分,今夜の宿泊ホテルである「ホテルアミネ(Hotel Amine)」に到着する. ホテルの入り口が,いかにもモロッコらしく,円形のトンネル状になっている.なかなかオシャレなホテルである.
 ガイドとMさんが,全員のチェックインを代行する.私は,名古屋近郊在住の男性,Kさんと同じ部屋になる.
 早速,Kさんと一緒に,指定された部屋に向かう.私たちの部屋は4階にある.古めかしいエレベータに乗って,部屋に辿り着く.
 部屋の中に入る.まず,古式豊かな広い応接室がある.大きな応接セットが並んでいる.その奥に,広々とした寝室がある.そこまでは良かったが,寝室には,大きなダブルベッドが1台置いてあるだけである.
 「年寄りの男2人を一つのベッドに寝かせるつもりか・・!」
私たちは,呆れるとともに,怒りがこみ上げてくる.
 突然,もう10数年も前に,中国の経済特区「深せん」を訪れたときのことを思い出す.あのときも,男2人でダブルベッド1台を割り当てられたことがあったな~ぁ・・・もちろん,つたない英語で,フロントと掛け合って,シングルベッド2台の部屋に変えて貰った.
 私は,「またか・・・」と笑いがこみ上げてくる.Kさんに,
 「フロントで部屋を変えてくれるように,掛け合ってきます・・」
とお断りして,1階のフロントへ行く.フロントの前で,丁度,Mさんが居たので,フロントでの交渉を,Mさんに依頼する.
 すると,奥の事務室から,長身でカイゼル髭の格好良いホテルマンが出てきて,
 「ほう,ほう,なるほど・・・!」
というような,大げさな仕草をしながら,別の部屋を割り当ててくれる.
 早速,私は,新しい部屋の鍵を貰って,部屋を確かめに行く.確かにシングルベッドが2台設置されている部屋だが,随分と狭くて陰気である.しかし,ダブルベッドに男2人で寝るよりはましである.
 早速,もとの部屋に戻って,ボーイに荷物を運びなおして貰うことにする.
 ところが,このホテルの構造が複雑で,同じフロアーの部屋でも,場所によっては,いちいち1階まで降りて,別のエレベータに乗らないと行けない構造になっている.しかも,中庭があるので,廊下を歩いている内に,自分がどこにいるのか分からなくなる.
 あちこち迷いながら,やっとのことで,元の部屋に戻る.そして,Kさんと一緒に,新しい部屋へ移動する.こんなことをしている内に,瞬く間に,15分ほどの時間が無駄になる.
 「ヤレ・・ヤレ・・疲れた!」

         <ホテルアミネの玄関:アーチ型がご当地風>

■やっと部屋で落ち着く
 一息ついてから,まずは風呂に入って,汗を流そうと思う.
 バスルームに入る.バスタブにお湯を入れ始める・・・が,お湯の出が極端に悪い.身体をバスタブに浸けるだけのお湯をためるには,何時間も掛かりそうである.私はお湯に浸かるのを諦めて,シャワーだけで済ませる.
 ついで荷物の整理をする.
 ツブカル山(正確にはトゥブカル山と書く)登山のために直接必要な持ち物と,その他,預けておくものとの仕分け作業を行う.
 仕分け作業は,30分ほどで終わる.夕食は,ホテル1階のレストランで,19時30分からである.まだ,少々時間がある.私はベッドで横になって,一休みする.
 ベッドで,一息入れると,今回の旅に先立って,500円也で購入したDVD『モロッコ』の内容を思い出す.あの憧れのマレーネデートリッヒと,ゲーリークーパーが主演の白黒映画である.私は,大学生時代に,この映画を見たことがある.当時でも古い映画だったが,面白かったなという印象だけは覚えていた.ただ,ストーリーは完全に忘れてしまった.
 DVDでもう一度見た.映画の画面が荒れていて不鮮明なのに驚く.あれほどあこがれていたデートリッも,何となく違和感がある.格好いいなと思っていたゲーリークーパーも,ただのやんちゃな若者にしか見えない.これはどうしたことか.

             <ホテルの部屋からマラケシュ市内を望む>

■ホテル1階レストランで夕食
 19時25分,私は同室のKさんと一緒に,1階のレストランに向かう.
 一同,大きな丸いテーブルに座る.夕食はバイキング形式である.お付き合いで,地ビール小瓶を所望する.お互いに初顔合わせの方々もいるので,順番に自己紹介をする.
 大阪からのお二人は,少々柄の悪い関西弁で,頻りにギャグを飛ばす.関東人の私には,多少の違和感がある.ギャクに備えて,何時も緊張していなければならないような気分になってくる.
 バイキング形式なので,適当なものを,適当な量だけ勝手に取って食べるが,ついつい食べ過ぎてしまうので注意が必要である.提供されている食材には,ほとんど違和感がない.それにパンがとても美味しい.これならば,旅行中,食べ物で苦労することはないなと思う.
 これまでの海外渡航経験から,外国へ行くときは,必ず日本の醤油を持参するようにしている.ちょっと醤油を掛けるだけで,西洋料理がビックリするほど美味しくなるのを,何回も経験しているからである.


 
                 <夕食はバイキング:食べ過ぎたかな>

■やれ!やれ!疲れた
 20時50分頃,お開きになる.
 私は部屋に戻って直ぐ,21時丁度に,就寝する.
 明日は,マラケシュの市内観光をした後,ツブカル山登山口のイメリル村へ向かう予定である.
                             (つづく)
「モロッコ周遊記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/07335f07ab69a6d59cb339cdf561a152
「モロッコ周遊記」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9a4c239aff73570b08cc0671f8f98f5e
「モロッコ周遊記」の最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/31b79faa79d02b8fe28dc5177880d2e4
「モロッコ周遊記」の索引
(編集中)



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