中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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新緑の鎌倉:天園ハイキングコース・六国見山周遊

2010年05月11日 15時39分19秒 | 鎌倉あれこれ

                       <緑深い散策路>

        新緑の鎌倉:天園ハイキングコース・六国見山周遊
              (単独ハイキング)
            2010年5月10日(月)

<ハイキング地図>



■どこといって目的はないが・・・
 今日の天気は曇.予報によると夕方まで雨の心配はなさそうである.前回,塔ノ岳に登ってから,今日で1週間になる.雨の心配がないのならば,塔ノ岳に出掛けたいが,朝方にちょっとした雑務があって,出掛けるわけにもいかない.だからといって,終日家に籠もっていては,一層からだが鈍ってしまうし,第一,終日家に籠もるなど私の性分として論外のことである.
 そそくさと雑務をこなして,ごく軽装のまま,10時15分頃,家を出る.どこへいくという宛もないし,用事もないので,鎌倉中央公園を横切って大船辺りまで出てみようか,そして,どこかで安いコーヒーでも賞味して帰ろうかと思う.
 丁度,中央公園入口を通過しようとしたときに,中央公園始発鎌倉駅西口行のバスが到着する.バス停から数名の乗客がバスに乗り込んでいる.私も何となくこのバスに乗ってしまう.バスが動き出してから,
 「ありゃ~・・・さて,どうしよう?!」
 10分ほどで,バスは鎌倉駅に到着する.
 「さぁ~てっ・・と・・・」

■瑞泉寺登山口から歩き出す
 まずは,鎌倉駅西口近くのコンビニで,オニギリを2個購入する.そして,とりあえずは駅の表口に回る.今日は平日にもかかわらず,駅周辺は沢山の観光客で賑わっている.外国人も多い.人混みに混じると,一刻も早く閑静な所へ行きたくなる.
 「久々に,天園ハイキングコースでも一回りしようか・・」
 混雑する街中を歩くのが億劫なので,丁度,バス乗り場に到着した大塔宮鎌倉宮行のバスに飛び乗る.そして,10時55分に大塔宮に到着する.
 バスから降りて,一呼吸.10時57分に歩き出す.
 天園まで登るのに,瑞泉寺登山口から回るか,それとも獅子舞を経由するか迷ったが,たまには“コテコテコースも良いかな”で,瑞泉寺登山口からハイキングコースに入る.今日は一人歩きなので,誰かに気を遣うこともないので,勝手気ままな速度で坂道を登る.
 急坂の路面に落ち葉が分厚く積もっている.路面はつるつると滑りやすく,少々歩きにくい.ちょっと段差があるところで,年配の二人連れが,滑りやすい段差を登るのに手こずっている.たちまちの内に追いついてしまう.手こずっている二人の姿を見ながら,
 「歩き始めた頃,俺も,こんなだったな~ぁ・・・」
と10数年前の自分のことを思い出す.
 私は見るに見かねて,歩き方の俄コーチをする.お二人が段差を乗り越えたのを確認してから,先に行かせて貰う.

■貝吹地蔵
 11時10分,明王院分岐を通過して尾根道に入る.沢山のハイカーとすれ違いながら,尾根道を進む.途中でユックリ歩いている方々を追い越させて貰う.
 暫く振りの天園ハイキングコースである.滴り落ちるような新緑の中を歩き続ける.何時も通っている丹沢とは,またひと味違う心地よさがある.
 11時19分,貝吹地蔵を通過する.


■天園の展望台
 11時27分,天園展望台に到着する.
 ここから鎌倉市内を見下ろすのは,数ヶ月ぶりのことである.上空には薄い雲が広がっていて,残念ながら富士山は見えないが,近場の山の新緑が眩しい.
 「実に見事な眺望だな・・」
 私は感激しながら,暫くの間,眺望を楽しむ.その間にも,ハイカーが入れ替わり立ち替わり,展望台にやってくる.


峠の茶屋
 11時32分,久々に峠の茶屋を訪れる.私の姿をめざとく見つけた女主人が,
 「あら,まあ,・・・暫く.どうしていたんですか・・・」
と私に話しかける.そして,たたみかけるように,
 「Eさんも来ていますよ・・・昨日は仙人も来ましたよ」
と教えてくれる.
 「実は,仙人とは,昨日,会いましたよ.(仙人は)天園に行ってきたって言っていました・・」
 「(仙人は)あなたと会うって,言っていましたよ・・」
 150円也のサイダーを購入して店に入る.
 Eさん他ご常連数人が登り口近くの席を陣取って,何時ものように酒盛りをしている.ご常連とお会いするのは,数ヶ月ぶりのことである.数ヶ月の間に,Eさんを始め,皆さん全員が,頬がふっくらとなり,随分,お腹が出てきたようである.
 私はご常連とは少し離れた席に座って,暫くの間,休憩を取る.その間にも,ご常連の横浜の男性が,女性3人を連れて,店に入ってくる.

<お行儀の良い可愛い犬>



■困ったハイカー
 11時52分に峠の茶屋を出る.
 獅子舞を下って鎌倉駅に戻るか,それとも建長寺に向かうか迷うが,折角なので建長寺まで行くことにする.
 峠の茶屋から少し下ったところで,中年女性二人に話しかけられる.
 「・・・ここ,天園ハイキングコースですよね・・」
 私は質問の真意が分からないまま.
 「はい・・そうですが・・」
と返事をする.
 「ここを,行けば良いんですか?」
 「どちらへ行かれるんですか」
 「分からないんです」
 「どちらから登られたんですか」
 「瑞泉寺からです・・こっちへ行けば何処へ行くんですか」
 「建長寺へ出られます」
 「まだ遠いんですか・・・山道ですか」
 私は埒があかない会話に愛想が尽きる.心の中で,
 「・・いい加減せい! 自分が行く所ぐらい,前もって少しは調べなよ」
と怒鳴りつける.でも,鎌倉市民の一人として,観光客は大切にしなければいけないなと思いながら,天園ハイキングコースの長さは約5キロメートル,今,全体の3分の1ほど歩いたところにいる.これから,細かい登り下りが連続する尾根道が続くと説明する.

■大平山
 11時59分,大平山(たいへいざん;標高155m)の山頂に到着する.鎌倉の最高峰である.山頂直下の広場は何時も賑わっているが,今日はハイカーの姿が全く見えない.
 空は高曇りだが,遠くに三浦三山,二子山,阿部倉山,仙元山などの三浦半島の名山がパノラマのように見えている.低山ながら見事な風景である.
 ここで,風景を眺めながら,2~3分,休憩を取る.


■百八ヤグラ
 大平山からハイキングコースに沿って,かなりの早足で勝手気ままに歩き続ける.
 百八ヤグラ上付近の道の真ん中に大きな岩がある.この岩の頭の辺りに「電」という字に良く似た文字が刻まれている.私には,この不思議な文字の由来は分からないが,何時もここを通るときに,この字が気になる.岩の前で立ち止まって,この字の写真を撮っていると,後から来た女性ハイカーが話しかけている.
 「大きな岩ですね・・・何かあるんですか」
 私は問われるままに,この字が書かれている位置から察して,この岩が百八ヤグラ第1層の一部だったのではないかと勝手に考えていることを説明する.
 「百八ヤグラって地図には書いてあるんですが,どこから入るのか分からなくて・・ご存じですか」
と私に質問する.
 私も急いでどこかへ行く必要もないので,百八ヤグラの第2層だけ案内する.
 「鎌倉には何回も来ているんですが,こんなに凄いところを見るのは初めてです・・」
と女性は感激する.
 ついでに,鷲峰山山頂にある四国八十八カ所巡り大窪寺薬師如来像を紹介してお別れする.



<薬師如来>

       
                      <薬師如来>

■勝上嶽
 建長寺へ下山しようか,それとも明月院に出ようかと迷ったが,折角歩くんだから,六国見山を経由して大船まで出ようと思う.
 勝上嶽に到着する.中年の外国人男性が,私が到着するのを待ちかねたように,英語で,
 「覚園寺へ降りるには,どっちへ行ったら良いか・・」
と聞いてくる.彼はごく簡単な地図を持っている.私は,
 「今,ここにいますよ.この道を10分ほど歩くと,この十字路に出ます.ここを右折して,坂を下るんです.あなたは足が丈夫なようだから,多分30分ぐらいで下山できると思いますよ」
とブロークン英語で一気に説明する.
 これを切っ掛けに少し雑談.
 「ところで,どこから来たの? アメリカ?」
 「ちがうよ,フランスから・・」
 「私,数年前にフランスに行ったことあるよ.モンブランに登りに・・」
 「へえ~・・モンブランに登ったの?」

■稚子塚
 フランス人とお別れして,坂を下って,13時丁度に今泉台住宅地に下山する.住宅地内を適当に歩いて,13時11分,六国見山登山口に到着する.
 登山道に入る.ここを歩くのも数ヶ月ぶりである.深い新緑の森が頭上を覆っている.実に気持ちがよい.少し急な登り坂を歩き続ける.誰にも会わない.
 13時19分,稚子塚に到着する.一部が欠けた宝筐印塔が立っている.この塚は由比の長者,染谷太郎太夫時忠の娘の墓だと言われている.


■六国見山山頂
 稚児塚を過ぎて,13時20分,六国見山山頂(標高147m)に到着する.鎌倉では大平山,十王岩に次ぐ第3番目の高山である.
 山頂には藤塚が築かれている.ここからは下総,上総,安房,伊豆,武蔵,相模の六カ国が一望できることになっている.
 山頂の展望台からの眺めは素晴らしい.左手に鎌倉市街,逗子が見えている.目の前には台峯緑地,山ノ内,常磐方面の山並みが幾重にも重なっているのが見下ろせる.




■高野を経由して岩瀬へ
 山道を下って,高野住宅地近くを通過,ちょっと遠回りをしたくなり,岩瀬中学校近くの住宅地,今泉1丁目に下山する.ここから適当に裏道を通って,交互通行のトンネルを抜けて天ヶ谷戸遊水池の脇を通過,さらに短いトンネルを抜けて,大船の住宅地に出る.

<天ヶ谷戸遊水池>

■熊野神社と多聞院
 当初,そのまま大船駅へ向かうつもりだったが,どうせここまでフラフラと来たのなら・・と,欲が出て,すぐ近くにある熊野神社と多聞院を回ることにする.
 熊野神社の鳥居の前で,急坂で長い石段の参道を見上げる内に,上まで登るのが面倒になったが,折角だからと思い直して,参拝することにする.
 境内は全く人気がない.社殿の上まで覆い被さっている樹木の新緑が美しい.まだ,新緑のシーズンに入って間もないので,虫も出ていないし,蛇も見当たらない(つい2週間ほど前に,鶴岡八幡宮の池でアオダイショウを見掛けたが・・・).散策には,今が一番良い時期かも知れない.
 次いで,13時58分,天衛山多聞院を訪れる.真言宗大覚寺派の寺である.資料によると,1579年(天正7年),甘粕氏が,山ノ内にあった観蓮寺を,ここに写したのが始まり(鎌倉商工会議所(監),2009,p.87).ご本尊は毘沙門天.別名多聞天.とげぬき地蔵としても有名.
 境内入り口に庚申塔がある.

<熊野神社>


<多聞院>

■大船駅へ
 14時頃,多聞院を出る.大船の住宅地内の道を適当に歩いて,14時10分,常楽寺入口に到着する.ここから常楽寺の裏手に廻って,木曽義高墓,大船むくどり公園を経由して,大船中央病院付近に降りようかとも思った.でも,木曽義高墓は,昨日(5月9日),仙人と一緒に歩いたばかり.今日は省略して平らな道を歩いて,14時21分に大船中央病院前に到着する.ここから松竹通りを真っ直ぐ歩いて,14時32分に大船駅に到着する.
 喉が渇いた.思いつきで,大船駅前のマクドナルドに入る.店内は,結構,混雑している.100円也のコーラで喉を潤す.
 15時過ぎに帰宅.ホッとする.
 今日一日,私は,一体,何をしていたんだろうか.ただ,ただ,鎌倉を彷徨いていただけ.
 老齢に入って残り少ない貴重な一日を,こんないい加減に過ごしていて良いのだろうかと疑問になる.


<ラップタイム>

10:57  大塔宮歩き出し
11:05  瑞泉寺登山口
11:19  貝吹地蔵
11:27  展望山塊(11:31まで眺望休憩)
11:32  峠の茶屋(11:52まで昼食)
11:59  大平山山頂(12:02まで休憩)
13:00  今泉台住宅地
13:11  六国見山登山口
13:19  稚児塚
13:20  六国見山山頂(13:27まで休憩)
13:42  今泉登山口(岩瀬中学脇)
13:54  天ヶ谷貯水池
13:55  熊野神社
13:58  多聞院
14:10  常楽寺
14:21  大船中央病院
14:32  大船駅 着

[ハイキング記録]

■水平歩行距離
     9.0km

■累積登攀高度     366m

■累積下降高度     377m

■所要時間(休憩時間込み)
  大塔宮 発    10:57
  大船駅 着    14:32
 (所要時間) 3時間35分(2.58h)
 水平歩行速度    9.0km/2.58h=3.5km/h
                                (おわり)
[参考文献]

鎌倉商工会議所(監),2009,『鎌倉観光文化検定公式ガイドブック』かまくら春秋社

「鎌倉あれこれ」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/283599c89dd4650c14100d04e67e8f81
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