moi~!
前回、ちょっとお伝えした通り、6月5日から太極拳の友人、玉川さんことたまちゃんが、
日本の懐かしい味をあれこれ携えて、フィンランドに遊びに来てくれました。パチパチパチ
せっかくフィンランドに来てタンペレだけというのも何なので、ヘルシンキにアパートホテルを借りて3泊、
その後タンペレに2泊するということに相成った。
5日の14時前、たまちゃんを乗せた飛行機が無事ヘルシンキ空港に到着。
そのままVRでヘルシンキ中央駅に移動し、チェックインまで駅の近くのオープンカフェでお茶をすることに。
それにしても、2ヶ月ぶりに見たヘルシンキは、全く印象が違っていた。
4月に来たときは小雪のちらつく極寒の日で、人影も少なく、灰色に垂れこめた空が陰鬱な印象を与えた。
はぁ~、なんだか北の果てに来ちまったもんだなぁ...と、やさぐれた心を抱えて宿に向かったものだ。
しかしこの日は、夏の太陽がじりじり照りつけ、どこから湧いて来たかと思われるほどのたくさんの人たちが、
いかにも楽し気な様子で街を行き交い、さすが一国の首都と思わせるような華やかな雰囲気に満ちていた。
アイスカフェオレを飲みながらたまちゃんが言う。「こっちにはアイスコーヒーってもんがないのね?!」
コーヒーそのものを味わってみたかったたまちゃんは、驚きを隠せない様子 ( このアイスカフェオレは自体はとてもおいしかった ) 。
うむ。たしかに、そうなのだ。アイスカフェオレはあるのにアイスコーヒーはない。
アイスカフェオレの作り方はというと、抽出したエスプレッソに牛乳を入れてさらに氷を入れるわけだからして、
牛乳の代わりに冷水を入れればいいのよ!と思うのだが、なぜかそれはしないのだ。不思議だ。
ちなみに私はアメリカンコーヒーを頼んでみたのだが、店のおにいさんは抽出したエスプレッソにポットのお湯を注いでいた。
だから、そのお湯を冷水にすればいいのよ!と思うのだが、なぜかそれはしないのだ。不思議だ。
まあ、いいや。フィンランドだけじゃなくて、ヨーロッパはいずこも冷たいコーヒーは邪道のようだ。
このカフェで、わたしたちは恐ろしいものを目撃した。
カモメたちのご乱行である。
私たちのテーブルの前方のテーブルには、客が食べ残していった皿がそのままになっていて、どうやらそこにサンドイッチの切れ端が
残っていたみたいなのだ。それを目ざとく見つけたカモメがどこからともなく舞い降りてきて、やにわにそれを啄み始めた。
げげっ、でかいぞカモメ! と思う間もなく、二羽、三羽と次々に舞い降りてきて、押し合い圧し合いサンドイッチを啄みはじめ、
テーブルに乗りきれないカモメが「はやくどけよ! 俺にも食わせろ!」的なホバリングをしながら順番待ちをするという
なんともホラーな光景がしばし展開されたのであった。隣の席の人が「シーッ!、シーッ!」と野良犬を追っ払うみたいにして
カモメたちを追っ払うまでカモメたちのご乱行は続いたのだが、フィンランドに来て以来漠然と思っていた
「カモメとは白いなりをしたカラスである」という自説を裏付ける重要な証拠を目撃した私は、わが意を得たりと大きく頷いたのであった。
そんなこんなで16時過ぎにチェックイン。
今回の宿は、「セカンドハウス」が運営する物件の一つで、建物は20世紀初頭に建てられたのか!?
と思われるような古さだったが ( エレベーターがピューニッキみたいに手で開け閉めするタイプ ) 、
中はリフォームされていて使い勝手よくできていた。
ヘルシンキはホテル代やレストランが高いので、自炊もできるアパートホテルは何かと便利。
ちなみに、部屋はリビング ( ベッドあり ) とキッチン、ベッドルームという間取りで、お風呂はバスタブはなくシャワーブースのみである。

一息ついて、近くのカンピセンター内のKマートに食材の買い出しに行く。歩いて10分足らず。
帰りにLidlにも寄って、鶏の骨付きもも肉を購入。この日はオーブンを使って、いつもの鶏もも料理でかんぱ~い♪
積る話に花を咲かせ、なかなか沈まない太陽を愛でながら、そして鳴きやまぬカモメたちの嬌声を聞きながら、
楽しいひと時を過ごしたのであった。
この日は日中かなりの暑さだったが、夜は窓を開けていると気持ちのいい風が通り、快適に過ごすことができた。
日中いくら暑くても、朝夕は気温が下がるというのがありがたい。
翌日はヘルシンキ探訪の日。朝から太陽全開!
午前中はオールドマーケット→マーケット広場、ウスペンスキ寺院、ヘルシンキ大聖堂、デザイン博物館などを回る。
マーケット広場
露店を端から端まで歩いたら、汗をかいた。朝から暑いよ~💦
ウスペンスキ寺院
中はこんな感じです。
ロシア正教の教会って、どこも彫像がないように思うのだが気のせいだろうか。
ここも絵画のみで、ゴールドがふんだんに使われている。
天井がなんともメルヘンチックで不思議。
ヘルシンキ大聖堂と元老院広場
やっぱり天気がいいと、建物の白が映える。4月に見た時とは大違いだ。
教会正面に立ちはだかる心臓破りの階段を気合で登り終え、中に入るとパイプオルガンの演奏が...
と思ったら、正式の演奏ではなくミサのための練習をしているようだった。礼拝用の長椅子に腰かけ、耳を澄ます。
涼しい教会の中で珍しいオルガンの練習を聞きながらしばし心を遊ばせる時間は、なかなか得難いものであった。
教会って入るだけなら無料なので ( 特別な塔などに登るのは別 ) 、良い休憩場所になるとひそかに思っている。アーメン。
デザイン博物館は、うーん...これは評価が難しい。
なんとなくテキスタイルデザインのイメージを持って入ったのだが、もうちょっとデザインの意味するところが広くて、
食器からバイクまで、より幅広くフィンランドの工業デザインの成功例みたいな製品を展示するところだった。
1階部分が常設展示のようだが、スペースの関係からか展示品の数が少な目で、もう少しボリュームがあれば、と悔やまれる。
2階部分は企画展になっているようで、その時は芸術家である何とかさんと何とかさん(たぶんご夫婦?)の私的な作品や
各国で収集したコレクション ( 主に日本のこけし関係 ) の展示になっていたのだが、
彼らのこけしからのインスパイアのされ方が尋常じゃなく(笑)、その「こけし愛」とでも言うべきものには心を打たれた。
人が何かから決定的な影響を受け、それを自分なりに消化して新しいものを生み出す過程ってこういうものなのか、と興味深かったし、
芸術に限らず何ものかに学ぶ、というのはこういうことなんだろうな、と思わされた。
と、書いていて思ったのだが、この博物館の根本的な問題は展示品の数ではなくて、解説のなさなんじゃないだろうか。
どちらかというと物が漫然と並べられている印象で、そこに博物館としてのコンセプトが感じられないのだ。
思い返してみると、常設展ではそこに展示されている品々が、デザインが、どういう発想や思想の下に生み出されたのか、
それがその時代にとってどういうインパクトを持っていたのか、というようなことを解説するパネルがほとんどなく、
そもそもこの博物館の成り立ちについての解説も、企画展の意図 ( 常設展との関係 ) についての解説もなかったような気がする。
この博物館で何を見せたいのか、という方針をまずは明確にし、それにのとった展示品の編集、陳列を行い、
さらにそのことが見に来た人にはっきりわかるように解説 ( パネルでも音声ガイドでもよし ) を充実させる、
という一連の作業が必要だと思われる ( 私だったら常設展の方を広々と開放的な2階にもってくるけどな )。
博物館におかれましては、それら一連の作業を可能ならしめる、フィンランドデザインに対する愛と情熱と
そして編集能力をもった統括ディレクターあるいは学芸員の配置を、早急にお願いする次第です。
お小言はこれくらいにして...
この後はお腹がすいた!ということで、エスプラナーディ公園のほうにぶらぶら歩いていき、
フィンランドの老舗チョコレートメーカー、ファッツェルが経営する「カール・ファッツェル・カフェ」でお昼代わりにケーキを食べた💓
下の写真は公園入口の所にあるバルトの乙女の像。
19世紀から20世紀初頭にかけて活躍したフィンランドの彫刻家、ヴィッレ・ヴァルグレンの作で、
当時は女性の裸体像が大変珍しく、評判になったのだとか。
私的には、四方から口を開けて懸命に水を吐いてるアザラシちゃんに目が行ってしまう💕
公園中ほどにあるJ.Lルーネベリの像。
フィンランドを代表する詩人で、フィンランド国歌の作詞者でもあるという。
頭上に止まってるのはカモメです。
ルーネベリさんのお顔についている幾本もの白い筋は...?!
あら、あんたたち、偉い詩人さんの頭でなんてことすんの!
気を取り直して、カフェでケーキ。
わたしはベリータルトとカフェオレ。定番のザッハトルテも捨てがたかったが、暑い日には白い系のものが食べたい。
ヘルシンキのカフェでは、カフェオレはこの瓶ジョッキで供されるものらしい。前日のもそうだった。
こちらはたまちゃんのメレンゲバナナケーキと「ゲイシャ」というドリンク。
店員さんのおすすめなので、チャレンジャーたまちゃんが頼んでみたところ、こんなのが来た!
カフェオレにヘーゼルナッツチョコレートのフレークが入っていて、その上にはたっぷりの生クリーム。
「でもさ、何でこれがゲイシャなわけ? ピンクだからゲイシャっていうの?そんな短絡的なのやめてほしいわ!」
と、ネーミングセンスの悪さについて二人でひとしきり憤慨。
でも、味は見た目ほど甘くなく、チョコレートフレークが美味とのこと。
ファッツェル・カフェを後にし、ここからは、フィンレイソン、マリメッコ、イッタラ、アラビアなどのショップ巡り。
さすが、ヘルシンキだけのことはある。品揃えが豊富で、買わずとも目の保養になる。楽しいな~💕
私はかねてより欲しかった鍋つかみ ( オーブンから取り出す時困ってたんです ) を、
わがタンペレ発祥のテキスタイルメーカーであるフィンレイソンで購入。ムーミンママの鍋つかみよ~♪
フィンレイソンには他にもシーツやブランケット、ソファカバーやタオルなど、ムーミン関連商品が色々置いてある。
たまちゃんはというと、自宅の壁に掛ける布地をマリメッコで物色。
若いおねえさん店員が甲斐甲斐しく台に布地を広げたり、あれこれアドバイスしてくれたりと、実によくやってくれる。
ついに最後の三点に絞られ、さんざん悩んだあげく決定~!
シンキングタイムが終わったころに再びおねえさんがやって来て尋ねる。
「それで、どうしますか? 何か気に入ったのがありました?」
「うん、私はもう決めたよ~。」
「そうですか? どれ?」
「どれだと思う?」
もう、たまちゃんたら、おねえさん忙しいんだから遊んでないの! 困ってるじゃないの...
それでもおねえさん、ちゃんと付き合ってくれる。エライ、店員の鑑だ。
「うーん、...これですか?」
「ちが~う、これでした~💓」
なんか、たのしそうね、あなたたち。
この布地、マリメッコの会員になると20%offになるというので、たまちゃんはその場で会員登録。
年会費無料で、世界各国のマリメッコの店とインターネットショッピングで使えるとのこと。
レジで名前を告げればよいらしく、嵩張る会員カードなるものもなし。
そんなわけで、お気に入りの布地を購入し、お店を後にしたのであった。満足、満足。
この後はこの日三つ目の教会、「石の教会」として知られるテンペリアウキオ教会へ向かう。
16時近いというのに日はまだ高く、じりじりとわが柔肌 (?) を焼くも、負けてはおれぬ。
明日はタリンへの日帰り旅行ゆえ、行きたいところは今日行っておかねば~!
街の中心部から北西方向に向かってちょっと離れたところにあるこの教会、途中、ああでもない、こうでもないと
軽く迷ったりしながらようやく辿り着く。いや、しかしこれは苦労して来た甲斐があった。
1969年創立のこの教会、なんと氷河時代の岩をくり抜いて造られたそうだ。地下になっている教会内部に入ると
岩肌がむき出しになっている壁に囲まれた空間が広がり、そこにパイプオルガンや祭壇が自然な形で溶け込んでいる。
ガラス越しに入ってくる自然光もやわらかで、どこからともなく音楽がしめやかに流れ、ずっと座っていたくなる居心地のよさ。
音響効果が高く、コンサートホールとしても人気があるということだが、これなら演奏するほうも聴くほうもさぞ気持ちよかろうと思われた。
教会を後にし、フレドリキン通りを南下、前日と同様、カンピセンターのKマートで夕飯の買い物をして帰ることに。
カンピセンターを目前にして、こんなでかいカモメに遭遇する。
何かのミュージアムらしいのだが、このセンス、どう思います!?
顔のたるみじわが妙にリアルだし、目がこわいよ~💦
カモメって、ヘルシンキの鳥かなんかなの?とたまちゃんと言い合いながら、足早に前を通り過ぎる。
ヘルシンキの鳥かどうかはわからなかったが、ヘルシンキにいるとカモメの存在が濃い気がするわ~。
この日の夕食は、肉厚サーモンのソテーとたまちゃんご推薦のドイツはリースリングの白ワイン。うまい!!
YouTubeでアルフィー・ボーの素晴らしい歌声を聞きながら、ゴージャスな夕餉のひと時を過ごしたのであった。