♪Tin Pan Alley♪

50~70年代のロック・ポップス、ソフトロック周辺についてのブログです

Surfin' U.S.A. :US #2 /UK #17

2005-10-08 | 1曲ずつ一言

The Beach Boys
1963.5
Produced by Nick Venet

彼らのセカンド・アルバムです

何と③④⑧⑩⑪と、5曲がインストのためか、ファンでもそれほど何度も通して聞かない、そんな作品です。

タイトル曲の、社会現象とも言うべき大ヒットで、ビーチ・ボーイズはアーティストとして本格スタートって感じですね

当時のアルバムというのは、シングルヒットを受けて、その勢いに乗り遅れないようにと、慌ててリリースされることが多いので、インスト・カバー曲が多いのは“急造”の為ってのもあるのではなかろうか

社会現象といえば、サーフィンUSAが世に問われる直前、ブライアンが盟友ジャン&ディーンに「サーフ・シティ」をプレゼント
ブライアンの書いた曲が初めて全米No1に

サーフィン賛歌2曲がほぼ同時に最高位1位と3位ですからね、そりゃ内陸部までボードを買うよね

トラック・バイ・トラック

① Surfin' U.S.A. C.Berry - B.Wilson :US #3 /UK #34
チャック・ベリー(Chuck Berry)のヒット「スウィート・リトル・シックススティーン」の替え歌ですが、ブライアンはどうも自分で書いたと勘違いをしていたようで、他人の指摘で「あっ」と気づいたらしい。

この曲からドラムにハル・ブレイン(Hal Blaine)を起用するなど、セッション・ミュージシャンを用い、ハイレベルな音作りを目指します
・・・冒頭のギターもグレン・キャンベル(Glen Campbell)か誰かではないのか???
本当にカールなの?アレ(笑)。
誰か知ってる方いませんか?

この曲や「サーフィン・サファリ」のヒットは、相当衝撃的だったそうです
特に、白人ドゥ・ワップなどを演っていた方々には、良くも悪くも強い印象を与えたでしょう
つまり、白人ジャズ・コーラスをこんな風に使うたとはといった感じで。

コーラスを新しいもの聴かせる上で、効果的な役割を果たしたのは、間違いなくハルのドラム
サビに入る直前の高揚感と疾走感がたまらない
アップテンポのロックンロールにドゥ・ワップ・ハーモニーという新スタイル

ある意味、ビーチ・ボーイズに“呪い”をかけたような、そんな名曲

「この曲のせいで、彼らが後世に正当な評価を受けなかったんだ」という主張は相当正しい(笑)

ですが、こんなヒット曲を持ってるからこそ、ビーチ・ボーイズは長生きしたし、ブライアンは有名になれたんですよねぇ

つまりですね、60年代半ばに素晴らしいスタジオ・レコーディングを残したポップ・グループって、みんなそれほど長寿じゃない訳ですよ。
彼らには「サーフィンUSA」がなかったんかなーと

② Farmer's Daughter B.Wilson - M.Love
コーラスはフォー・シーズンズに近い感じで、とってもポップに作ってるが、前奏と中身があまり合わない点(笑)が、彼ららしい

③ Misirlou M. Leeds - N. Roubanis - B. Russell - F. Wise
ベンチャーズ(The Ventures)がカヴァーして有名になった、ディック・デイル(Dick Dale)のサーフ・インストの王道
カール、頑張ったなー

赤コーナーより、ピーター・アーツ選手の入場です

④ Stoked B.Wilson
ギター・リフ中心のインスト
・・・え、マジでブライアンが書いたんですか???

実際、ビートルズもそうらしいが、バンドのオリジナリティを出すために作曲者名を“いじる”ことはあったらしいですが~

⑤ Lonely Sea B.Wilson - G.Usher
ブライアンとゲイリーが出会ってすぐに書いた曲だとか

この時はまだバラード作品をポップに仕上げていない、そんな印象を持つ、シンプルなサウンド


だけど、そこはブライアンが書いたバラード
ジョン・レノンもお気に入りで、『ゲット・バック』セッションの時に口ずさんでたらしい

確かに、後のゲイリーを思えば、こういう作風も“なるほど”という感じです。

⑥ Shut Down B.Wilson - R. Christian :US #23
ホット・ロッド系も大成長①のB面ですが、これは格好良い
勢い抜群で、なんちゅーコーラス・ワークでしょう
ある意味①以上に、新しいロックンロール

前作の409でも触れたマイクの器用さ、ここでも炸裂してます

ダブル・トラックのリード・ボーカルがずれてることや、間奏のサックスが危なっかしいのもご愛嬌

⑦ Noble Surfer B.Wilson - M.Love
初期の隠れた名曲とはまさにこれでしょう
抜群のコーラス・ワークでテンポ良く駆け抜け、間奏にチェレスタ入れたり、2番でコーラス・パターン変えたり、天才ブライアンって感じです

・・・なぜか81年に出た「ビーチ・ボーイズ・メドレー」の中には、数ある名曲を押しのけ、これが入っていたんですね。不思議だ

⑧ Honky Tonk B. Butler - B. Doggett - C. Scott - B. Shepherd

⑨ Lana B.Wilson
間奏のギターとチェレスタをユニゾン(一緒に)でってのは、直後にビートルズもやってる手法

⑩ Surf Jam C.Wilson
カールの自作
冒頭の掛け声と、乱れに乱れるドラミング(爆)はデニス

⑪ Let's Go Trippin' D.Dale
これまたディック・デイルの大ヒット曲

インストの中では好カヴァー

⑫ Finders Keepers B.Wilson - M.Love
タイトルは、拾得物横領について(笑)。

・・・こんな曲を当時のサーフィン好きリスナーはまともに聞けたのでしょうか?????

別々の曲をくっつけて一つにするってのは、ブライアンの真骨頂ですがが、当時はまるで失敗作のように思われても仕方ないかも

という訳で、ブライアン的曲の原点として、今こそ聴くべき(?)名ポップス



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