♪Tin Pan Alley♪

50~70年代のロック・ポップス、ソフトロック周辺についてのブログです

A Christmas Gift for You From Phil Spector :US #13

2005-12-05 | 1曲ずつ一言
Phil Spector(Vorious Artists)
1963

・・・12月なのでクリスマス・アルバムを紹介します。何とでも言って下さい。

今なお絶大な人気を誇る本アルバム、“最高のウォール・オブ・サウンド”どころか“最高のクリスマス・アルバム”という声も多いですね~

スペクターの持てる力を思う存分発揮したと言っていいのでしょう。一曲のオリジナルを除き、全てがスタンダードなクリスマス・ナンバー(ここで取り上げられたからスタンダードになった曲もあるとか)ですが、完璧にフィル・スペクター色に染められあげています。冬以外に聴いても味があります

何かの雑誌で“当時、クリスマス・アルバムは一流ポップ・アーティストのみ挑む権利があった”という記事を見たことがあります。
何にせよ、この“クリスマス・アルバム”という習慣には本当に感謝したいもし、このスタイルがなかったら、“偏執狂”フィルのコンセプト・アルバム的なアプローチを耳にすることはできなかったでしょう。
何度も書いたように、やっぱこの時代はシングル優先ですからね。アルバム作りが凝りだす60年代後半、フィルは第一線にはいなかった上に、精神状態が良くなかったようです。

天才フィル・スペクターが、一枚のアルバムを腰を据えて作った、唯一の作品。そう考えると、彼の入門編としても良いかも知れませんね。
恐るべき量のパーカッションが、延々と繰り広げられる曲×12ってのは、初めての人は正直戸惑うかも

例によって、天才アレンジャー、ジャック・ニッチェを筆頭に、レオン・ラッセルやソニー・ボノ、アル・デロリーにハル・ブレイン、スティーヴ・ダグラスといった、錚々たる顔ぶれで、いつものゴールド・スターのスタジオで録ったようです。

後世への影響たるや、未だに賞味期限は切れていないのではないでしょうか?まずは翌年、ブライアン率いるビーチ・ボーイズが凄まじいのを出してくれますし。

あ、大事なこと。これを購入しようとした場合、何と今まで僕が紹介していた『バック・トゥ・モノ』でOKですあれは4枚組みで、4枚目が本作になっております。(ボックスを広げた写真、一枚だけ色が違うでしょ?)
勿論、これだけでも購入できます。

なおセールス的には、シングル・カットをした⑪を含め、悲惨だったそうです(情報を頂いた、たけなか様、ありがとうございます
その後調べてみると、70年代に6位になってるようですが、、、何かあったのか???その時はイギリスでも21位です

トラック・バイ・トラック

Darlene Love White Christmas
まずは有名な「ホワイト・クリスマス」しょっぱなから分厚いと言えば分厚いのですが、まずは穏やかにスタート、という見方の方が妥当でしょうかね。
冒頭の「I」を「A ha-i」と始めるダーリン・ラヴはやっぱ名ヴォーカリストだなぁって思う

The Ronettes Frosty The Snowman
こんどはヴェロニカの唯一無比の粘っこいヴォーカルで
ストリングスも、ずっと鳴りつづけるパーカスも凄まじいです。それ以上に、ハル・ブレインのドラムですが、こんなに叩きまくる「フロスティ・ザ・スノーマン」は存在しないでしょう(笑)。

Bob B. Soxx & The Blue Jeans The Bells of St. Mary's
これはボブ・B・ソックスの声ですかね??僕はこれで初めて丁寧に聴きました~。大変魅力的なハイ・トーン・ボイスですね
それにしても、63年でこんな曲だもんな~。“音楽が進歩した”って感じた人いたんじゃないかなー。とにかく演奏が厚くて深いデス。

The Crystals Santa Claus Is Coming To Town
どの曲も良いアルバムですが、僕はこれが一番好きリードはラ・ラ・ブルックスでしょうか?
緩やかな冒頭のトークから、一転激しすぎる「サンタが町にやってくる」にドラムや鈴も好きですが、ピアノ(?)が良い味出してますよね~。ウキウキさせられる

The Ronettes Sleigh Ride
コーラスが“ウォール・オブ・サウンド”してますね~。これまたストリングスのアレンジが良いよなーーー
数あるクリスマス・ソングの中で、僕はこれが最もお気に入りかも部屋が一気にクリスマスな感じになる

Darlene Love Marshmallow World
前奏だと「サンタがママにキスをした」が始まりそうなんですけどね。前奏が中身とズレた感じがある曲、他にもあるのですが、これはフィルの工夫でしょう。ってのも、やっぱ伝統クリスマス・ソングはどれもメロディが似てますからね。変化球使わないとポップス・アルバムには耐えられなかったりするかなぁと。

The Ronettes I Saw Mommy Kissing Santa Claus
こちらは本家「サンタがママにキスをした」メロディの良さは、定番曲の中でピカイチではないでしょうか?日本も含め、本当に多くの歌手がレパートリーに入れてましたからね
ヴェロニカも、ロネッツの抜群のコーラスとストリングスを引き連れ、魅力的に歌ってます

The Crystals Rudolph The Red-Nosed Reindeer
本当にクリスマス・ソングは互いに似まくっています。「赤鼻のトナカイ」って、②でも⑫でも同じように歌えそうって思った人いませんか?(笑)僕は昔、「フロスティ・ザ・スノーマン」ってこれの替え歌だと思ってた

これら酷似した曲を、上手くチラしているのも、変化球かなぁ、と。こういった、ささやかな工夫(?)が、一年中、そしていつまでも愛されるクリスマス・アルバムとしてのクオリティの実現に一役買ってる、そんな気がします

Darlene Love Winter Wonderland
あぁ、これも良いオープニングのピアノとコーラスでググッと引き込まれます。

・・・このコーラスだけで歌うような曲を、ダーリン・ラヴ名義にしなければならない理由は何なんだろう???

The Crystals Parade of the Wooden Soldiers
お馴染みの前奏…この曲なんて名前でしたっけ?「おもちゃの行進」とかそんなんだったかと思ってますが
追っかけ式にコーラスしてるおかげで、普段目立たないクリスタルズの各メンバーの声が良く聴けます(笑)。

Darlene Love Christmas (Baby Please Come Home) P.Spector - J.Barry - E.Greenwich
唯一のオリジナルは前奏から魅力たっぷりベルとストリングスが素晴らしいムードを作ってますよね~楽器の交じり合いってのがスペクター音楽の魅力ではありますが、これは割りと単品の目立ち具合が好きです。間奏のサックスや終盤のピアノ
うーん、何だかんだ言ってきましたが、確かにこれの出来は秀逸過ぎますね
ダーリン・ラヴの情熱的にソウルフルなヴォーカルも聴きものです

これ、聴いたことあるって人多いと思います近年最も人気のあった、マライヤ・キャリーのクリスマス・アルバムでカヴァーされていたんです

Bob B. Soxx & The Blue Jeans Here Comes Santa Claus
最後にもういっちょ楽しく盛り上がります・・・確かにこの曲なしで、前曲の次に挨拶が来たらちょっぴり寂しいですよね

⑬ Silent Night
御大フィル・スペクター直々のご挨拶
「きよしこの夜」ですね。最後のコーラスには参加アーティストが全員加わっているということです。別に本当に全員がいなくてもちっとも不思議には思わないですが(笑)。


2 コメント

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来年も宜しくお願い申し上げます。 (240)
2009-12-31 23:17:40
もうすぐ来年ですが(苦笑)、今年もコメントいろいろ頂き有り難うございます。
こうしたソフトロック系ポップスを語ってくれるブロガーさんが少ないもので、こうしてブログ上での情報交換は非常に有難いですね。
また来年も宜しくお願い申し上げます。
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>240様 (ベンジャミン)
2010-01-01 09:33:51
あけましておめでとうございます

「音楽の杜」に書き込ませていただきましたが、昨年は本当にありがとうございました。
本年もいろんな情報いただきに、お伺いさせていただきます
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