♪Tin Pan Alley♪

50~70年代のロック・ポップス、ソフトロック周辺についてのブログです

Little Duece Coupe :US #4

2005-10-24 | 1曲ずつ一言

The Beach Boys
1963.10
Produced by Brian Wilson

信じられないことに、前作『サーファー・ガール』の翌月に出ている4枚目のアルバム

サーフィンのアルバムを3発出し、今度はホットロッドをテーマに、の企画版

よって、車をテーマにした既発表曲(①⑥⑦⑨)が入ってます
「あ、だからすぐに出せたのね」と考えたくなるが、侮るなかれ(笑)、実は異様にレベルの高いアルバムとなっております
通して聴いた方が圧倒的に楽しい

共作者には“車について語りだしたら止まらないラジオDJ”として有名だった、ロジャー・クリスチャン(Roger Christian)が多いですね
面白い詞ばかりです

にしても、ブライアンは忙しかったでしょうね~
何と今度はアレンジャーのクレジットまで付いてますよ、このお方

あ、ちなみにランキング、既出のは省きました

① Little Deuce Coupe B.Wilson - R.Christian
くどいんですが、この前奏大好きです

…あぁ、シングル・ヴァージョン公式に出して欲しいなー
エンディングに「What I got」ってファルセットが入るやつ

② Ballad of Ole' Betsy B.Wilson - R.Christian
多くの方が「この歌が車についての歌だって気づくのに時間がかかったよ」とのたもうてますね(笑)
えぇ、ベッチーってどう考えても人間だろう

それはそうと、このメロディからしてこのアルバムは良い
特にこの曲のエンディングは車の歌には勿体ないくらいの(笑)荘厳さと美しさがありますね

ブライアンは、自分の高くて細い声が嫌いとか言ってましたが、この歌では、思いっきり低く太く歌おうとしてるように感じますわ~

③ Be True to Your School B.Wilson - M.Love :US #6
今でもライヴでの盛り上がり曲として使われているらしいですが、上記紹介のランキングは、少しフェイク
と言うのも、シングル版は、テンポも早く、楽器もシンプルで、ハニーズ(ガール・グループ)のコーラスが入って、かなり別の曲になってるんですよね。

僕は、ノリノリなシングル・ヴァージョンが大好きなんですが、曲としてのまとまりはアルバムが完全に勝ってる感じ
…このアレンジの使い分けは、さりげなくお見事

妙なメロディだなーと思っていたら、何と、メンバーのほぼ全員が通っていた高校の、校歌をアレンジしたというから驚き
ビーチ・ボーイズ独特の、“明るさ”の中に妙な“悲しさ”を感じる、良い曲です

④ Car Crazy Cutie B.Wilson - R.Christian
出ました
後の「アイ・ゲット・アラウンド」の下敷きにもなったかと思われる、佳曲です

元々、友人のボブ・ノーバーグにあげた曲なんですよね、「パメラ・ジーン(Pamela Jean)」という女性についての歌詞で
んで、あげたは良いが、忙しくなったんで返してもらったんですわ、車の歌に変えて(笑)。
「パメラ・ジーン」のヴァージョンも良いですよ
いつか紹介します。

初期で最高クラスに抜群のコーラス・ワーク
さらにその“上”を通っていくようなブライアンのファルセット、何かギュっと来ます

⑤ Cherry, Cherry Coupe B.Wilson - R.Christian
これもファースト・アルバム用の「ランド・アホイ(Land Ahoy)」を焼き直した曲ですが、マイクのヴォーカリストとしての才能が見事に発揮されています
とくに「ランド・アホイ」との歌い分けが素晴らしい

「Go cherry cherry coupe, now」の低音は痺れる
そして、この直後のコーラスはどうなってるの??凄いわーー
シングル・カットしても良かったって思う


⑥ 409 B.Wilson - M.Love - G.Usher

⑦ Shut Down B.Wilson - R.Christian

⑧ Spirit of America B.Wilson - R.Christian
初期バラードでは傑作の部類なんでしょう。
僕はそれほど好きではないです

やけに壮大なテーマの歌だなーと思ってたのですが、「スピリット・オブ・アメリカ」という名前の車だそうです(笑)
・・・このアルバムのテーマを忘れてました

⑨ Our Car Club B.Wilson - M.Love

⑩ No-Go Showboat B.Wilson - R.Christian
ブライアン、何という歌い方でしょう

そのブライアンの超高音とマイクが交互に歌うAメロが、一風変わった繋がり方でBメロに行き、また何ごともなかったかのようにAメロの超高音に戻るのが実に面白い

・・・これが後に「シー・ノウズ・ミー・トゥー・ウェル」に発展すると言うんだから、天才様の頭の構造は分からない

⑪ Young Man Is Gone B.Troupe
ブライアンのコーラス・スタイルには、エヴァリー・ブラザーズのコーラス以上に、フォー・フレッシュメン(The Four Freshmen)という白人ジャズ・コーラスの人気グループへの憧れがあったようですが、これは、そんなフォー・フレッシュメンのレパートリー、「ゼア・ハーツ・ワー・フル・オブ・スプリング」の替え歌

亡きジェームス・ディーン(James Dean)に捧げた歌詞になってます。

この次から次へと覆いかぶさってくるようなオープニング
とんでもないアカペラの仕上がり上手すぎるぞ、本当に。

⑫ Custom Machine B.Wilson - M.Love
このアルバムがホットロッドだったことを急に思い出させる出だしはグッド
まるでアクセルを踏み込むようなドラム、後の「アイ・ゲット・アラウンド」ではベースでやってますよね

んで、このアルバムに乗ってどこかへ行くような感じでフェイド・アウトしていきます
この構成、彼らのアルバム・アーティスト的側面を感じます(早)。

とってもキャッチーな曲で、ブルース&テリー(Bruce & Terry)が、コードをいじくってカヴァーし、小ヒットさせてるくらいデス

そういや、ビートルズを始め、他の60年代初期のロック・グループと違い、ビーチ・ボーイズの曲はフェイド・アウトで終わる曲ばかりなんですよね
他のバンドはカチッと演奏を終えているのですが。

つまり、他のグループはライヴでのレパートリーをスタジオ録音してて、逆にビーチ・ボーイズは先にスタジオありき、なんですよね
これは結果としては先進的だったと言えるのかも知れませんが



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