The Beatles
1966.8
Produced by George Martin
まだそんなにリマスターを聴きこんだわけではないのでが、とりあえず行きます
・・・何とB4の紹介は3年ぶりなんですね
『ペット・サウンズ』直後に出たビートルズ作品は『サージェント…』ではなく、『リヴォルヴァー』
一昔前の評価だと、ビーチボーイズの『サマーデイズ』的な扱いで、
“『ラバーソウル』で飛躍、『リヴォルヴァー』を挟んで『サージェント…』”
みたいな“ついで”みたいな扱いだったのですが、最近、この見方をする人が急に減りましたね
“リヴォルヴァー再発見”みたいな動きがあって、『ラバーソウル』<『リヴォルヴァー』って意見を言う人が増えだしたように思います
この頃は、とにかくハイレベルですからね
どんどん丁寧な研究・分析をしていただいて、色々と再発掘的評価をしていっていただきたいですね
(んで、返す刀で『サマーデイズ』も高評価にならないかな~~)
でも確かに、“個々の楽曲の強さ”が、“アルバムの全体感”より強いって意味では、『リヴォルヴァー』は確かに『サマーデイズ』的。
ジョージ・マーティンかポールが、『サージェント~』制作秘話みたいな文脈の中で、
「『リヴォルヴァー』を作った時、“これでは『ペット~』には勝てない”と思った」
などと語っていましたが、それは“全体感”や“コンセプチュアル”のことだったのでしょう
ともあれ、この頃、B4もスタジオ・ワークに専念しだし、このアルバム直前のツアーが、結果的にラストツアーとなっています
リリース間隔も過去最大に空いています
その分、機材へのこだわりや、“音”への執着は、ビーチ・ボーイズに負けず劣らず、アブナイ領域に入り始めました
そう考えると、記事末で後述しますが、このアルバムの2ヶ月前にリリースされたシングル、すでに充分に“次のステップ”の音を発揮していた「ペーパーバック・ライター/レイン」の両面も重要です。
いよいよ、サイケ時代の幕は大きく開き、『サージェント~』はすぐそこです。
① Taxman G.Harrison
ビートルズ作品の中で“カッコイイ”という称号のトップに来るのは、おそらくはこの曲でしょう
何やら粘着質な「1,2,3,4」のカウントで始まりますが、急に遠くから別のカウントが聞こえると、実はそっちがホンモノという、不思議な始まり方
これがまたスリリングでグッド
つづく、力強いベース音と、カチッとしたギターのリフが、この曲のカッコよさの大半をかっさらっていきます
書いたのはジョージ・ハリソン。
初めてハリソン作品がアルバムの冒頭を飾りました
今回は計3曲を提供できたジョージ、急成長中です
ジョージのリード・ヴォーカルも、リズム隊の強いこの曲に合ってますよね
ちなみに、ジョージ・ナンバーにしては珍しく、リード・ギターがポール・マッカートニーです
間奏のソロは実に見事な出来栄え
しかし、忘れてはいけないのは「税務署員」(または税務署)という凄いタイトルとテーマ
当時のイギリスは、労働者の味方が政権を執っていたため、ビートルズのような高所得者は、何と収入の95%が徴税された時代
このことを強烈に皮肉ったのが本作です
・・・合いの手で入る「ミスター・ウィルソン」とは時の総理で、直後の「ミスター・ヒース」は野党の党首でして、見事なバランス感覚というか、いっそのこと与野党ひっくるめて批判
「Ha ha-」というのがまた何とも
実を言うと、B4は出自の影響もあってか、労働党好きだったらしいんですけどね。
② Eleanor Rigby J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #11
単に“一人ぼっち”ではない、集団の中にある“孤独”を、歌い上げています
オピニオンリーダーとしての変化するこの時を象徴するような1曲。
シングルカットは⑥と両A面で、本アルバムと同日発売でした。
ポール作品ですが、そういや彼は、物語的詞が得意とよく言われますね
さすがに思想家・ジョンも詞作に絡んでいるようです。
ですがこの作品の収録に関しては、ポール以外のメンバーの絡みが、確か、ジョンとジョージのコーラスだけ
えぇっ・・・て思いますが、よくよく聞いてみれば、弦楽器以外の音がしないですもんですね
怖いほど切れの良い演奏が、リズム楽器の代役を果たしています
ビートルズの変遷の中でも重要なステップになった1曲。
③ I'm Only Sleeping J.Lennon - P.McCartney
せわしない世の中を眺めながら、“俺は眠たい”と唄う、非常にジョン・レノンらしい作品
ご丁寧に、あくびの音まで入れています
・・・ブライアン・ウィルソンも後に似たような曲を、同じくいびきの音を入れて作ってますよね
しかし、ビーチ・ボーイズのいびきより、こっちのあくびは随分とキレた使われ方だと思いますね(まさかいびきとあくびを比較することになるとは)
ブレイクの終わりに、スッと次へのつなぎをしています。
バッチシなタイミングなところが、おちょくり感たっぷり
間奏ではもう一つ、ジョージ・ハリソンのギターがとんでもないことに
っていうか最早ギターの音とすら分からない仕上がり。
確か元々の譜面を、逆から書いてみて、それを演奏し、さらにテープ上で逆回転させるという、意味不明なことをしたから
やってる本人たちは楽しかったんでしょうね~
④ Love You To G.Harrison
この歌さ、本当のタイトルは「Love to You」だったんじゃないんですか
だって、歌詞でもそう言ってるのに。。。
インド楽器への惚れ込みを象徴する1曲
ジョージ=インドみたいなイメージをつけることにもなった曲
インド伝統のラーガ音楽の世界と、彼らの音楽を融合した、所謂ラーガ・ロックの走り
すぐにバーズもノッてきます
難しいことは分かりませんが、この曲を何度も聴けば、確かに心がおかしな世界に旅立ってしまいそうです
でも、冒頭のリズム隊の入り方はかっちょ良い。
このリズム隊直後の、シタールのリフは結構影響力があったようで、ちょいちょいこれのインスパイアと思しき音に出合うことがありますね
オレンジ・バイシクルとか
⑤ Here, There and Everywhere J.Lennon - P.McCartney
ポールが度々自賛する、本人超お気に入りの名バラード
確かに、メロディラインを口ずさむと、グッと来ます
あまりに美しい旋律
“美”をとことん追求するメロディが書きたくなったのは、ビーチ・ボーイズの「神のみぞ知る」に影響を受けたから、というのは、割と有名なお話
⑥ Yellow Submarine J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #2
ポールが子ども向けに書いたこの曲(ドノヴァンが歌詞を手伝ったらしい)は、ビデオクリップや、画期的なサウンド・イフェクトも超話題
スーパー有名なヒット曲なのに、なぜか駄作ランキング系のスーパー常連曲
まぁ、お気持ちは分からないでもないですが
何と言うか、あまりに分かりやすいメロディと、可愛らし過ぎるテーマへの苦情なんでしょうなぁ
同じく「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」もこの憂き目に合いやすいですよね
でも、「イエロー・サブマリン」みたいな曲を、キャッチーに、見事に仕上げて、世に問うてなかったら、ビートルズなんて、“ちょっと良いアーティスト”って域を出ないと思うんですけどね
他のバンドでは、こんな曲は作れないでしょう
⑦ She Said, She Said J.Lennon - P.McCartney
LSDでラリッた際の臨死体験を歌ったそうな
臨死体験したのが作者のジョンなのか、その友人なのか、諸説あります。
コーラスの重ね方は、ビーチ・ボーイズの「神のみぞ知る」のエンディング部分をこよなく愛していた、ジョンならではの発想、との分析もあります
⑧ Good Day Sunshine J.Lennon - P.McCartney
音楽の教科書に載っていたような記憶があるのですが、心当たりある方いますか?
いずれにせよ、何か番組とかで流れてたのか、非シングル作品では、有名な部類かと。
ラヴィン・スピーンフルの「デイドリーム」に、ポールが刺激を受けて、作ったのだそうな
こういうオールド・テイストな曲作りも、ポールの必殺技化していくことを考えると、その発端がスプーンフルってのは嬉しかったりします
⑨ And Your Bird Can Sing J.Lennon - P.McCartney
しびれる1曲
ソフトロック系アーティストが上手くカヴァーしてたら、僕はもう涙もんだったでしょう
(スパンキー&アワ・ギャングのちょっと半端なのはありますが)
見事なまでにキレのあるツイン・リードギターが最大の魅力
よく口笛で再現してます
バディ・ホリーなんかがやっても似合っただろうな~。
ジョン作品ですが、後のロック・ミュージックの走りみたいな作風ですよね。
他のロックでは、ここまでキャッチーにはできないでしょうが
⑩ For No One J.Lennon - P.McCartney
ジョンが「もっとも好きなポール作品の一つ」とコメントしたことで有名
確かに、あまり目立たない曲の割に、カヴァー作品が結構多いんですよね
大変にクラシックの匂いの強い仕上がりですが、バロック・ポップなんて呼ばれることが多いです。
ポールが演奏するクラヴィコードという、チェンバロのような鍵盤楽器がまさにそういう味を発揮
・・・よく思うのですが、ポールはどこでこういう楽器を学んでくるんでしょうね
間奏のフレンチ・ホルンは、アラン・シヴィルさんという、当時ロンドン随一と評判だったホルン奏者が担当したそうな
んで、それ以外のギターやピアノは、ほとんどポール一人で担当して、ドラムのリンゴ以外は不参加という、これ以降には有りがちなパターン
⑪ Doctor Robert J.Lennon - P.McCartney
思わず苦笑してしまうほどのドラッグソング
ジョンが主導で書いた曲。
何かの例えかと思っていたのですが、実はこのロバート医師ってのは、ニューヨークに実在していたお医者さんで、何でも平気でLSDとかを治療名義で処方してしまう、まさしくこの歌詞の通りだった医者らしいです
まぁ何だかんだ、かなり良い曲なんですけどね
リードギターの質感も良いし、中間部のハーモニウムも効果的
⑫ I Want to Tell You G.Harrison
ジョージ作品曲目
何とはなしに、同じジョージ作品の「イフ・アイ・ニーデッド・サムワン」を感じさせますね。
フェイド・インは「エイト・デイズ・ア・ウィーク」以来。
⑬ Got to Get You into My Life J.Lennon - P.McCartney :US #7
この妙に高いランクインは76年のことで、当時出た、『 Rock 'n' Roll Music』というコンピ盤のプロモとしてリリースされました
フリップサイドは「ヘルター・スケルター」。
10年越しの大ヒットもうなずける、力強い作り
トランペットとサックス2人ずつ体制で、ダイナミックに鳴り響くブラスが素晴らしい
あと、リンゴが結構良い仕事してます(ドラムとタンバリン)
カヴァーもよくされましたが、ヒットが多いんですよね
アース・ウィンド・アンド・ファイアが有名
モータウン・サウンドを意識した、ポール作品ですが、曲作りにはジョンとジョージがお手伝い。
別にジョージの名前がクレジットされる訳ではないんですね
楽器を褒めてましたが、ポールの歌唱力もたまらないですね
とっても自由自在で、ブラスに負けない迫力ある高音
曲作りのみならず、この辺にも黒人音楽への意欲の高さがうかがえます
かなりの人が、ポールの傑作にカウントしているでしょう。
⑭ Tomorrow Never Knows J.Lennon - P.McCartney
だーれかのー たーめに いきてーみてもーおー
逆回転手法を全開にしてます
鳥の鳴き声見たい
インド楽器まで登場して、この頃では最もラリッた作品でしょう
タイトルが意味不明なのですが、「ハード・デイズ・ナイト」の時のように、リンゴのつぶやきなんだそうな。
ミスチルは「誰も知ることのない明日」という解釈をしてますね。
曲のイメージは「ダライ・ラマが山頂で説法」だそうな
ボーカルの処理も、意味不明な歌詞も、単独コードも、そのコンセプト
まぁ、こんな変テコな曲がシメに使われたりしてるから、このアルバムはしばらく低評価だったんでしょう
やはり音楽の評価は時代とともに、ですね。
さて、冒頭で触れたように、このアルバムの2ヶ月前に、先行シングルがリリースされています
○ Paperback Writer J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #1
このシングル両面のレコーディングでは、ラウド・スピーカーというのを用いたようで、ベース音が異様によく聞こえています
聞こえすぎて、ベース音っぽくないですけどね
ベース音っぽく聞こえない理由の一つには、ポールがスタイルを変えてきたことも影響しているのでしょう
ブライアン・ウィルソンがキャロル・ケイなど、スタジオ・ベーシストたちに弾かせていた、あのビーチボーイズ風のスタイルにインスパイアされたのだとか
まったく恋愛要素のない、珍しい歌詞
「小説家になりたいのです」という内容の手紙、という形式
実は、作者のポール自身の夢だったそうな
歌詞に独特のスピード感があって、カラオケで歌うと楽しいです
リマスター版を聴いて初めて知ったのですが、最後の方に「Paper...」っていうコーラスの間違いが入ってたんですね
○ Rain J.Lennon - P.McCartney :US #23
近年大変に高い評価を受けている逸品
04年の『ローリングストーン誌』のオールタイムグレートソング500では、見事に463位でランクインしてしまっています
何と言っても、テープ逆回転はこの曲が初登場
最後の方で、ジョンの声を逆回転させてます
僕自身はむしろちょっと退屈なメロディかなっと思っていたくらいなんですが、いーっぱいカヴァーもあって、メンバー内でも、リンゴが「ベストプレイの一つ」とコメントするくらい、評価の高い人気曲なんですよね~
ベースの暴走っぷりはA面を凌駕してしまっています
このシングル両面が『リヴォルヴァー』の前であり、変化の第一歩と思った時、むしろ『リヴォルヴァー』の意義が霞んでしまう、そのように思えてくる、隠れターニングポイントとも言うべきリリースだったんでしょう。
1966.8
Produced by George Martin
まだそんなにリマスターを聴きこんだわけではないのでが、とりあえず行きます
・・・何とB4の紹介は3年ぶりなんですね
『ペット・サウンズ』直後に出たビートルズ作品は『サージェント…』ではなく、『リヴォルヴァー』
一昔前の評価だと、ビーチボーイズの『サマーデイズ』的な扱いで、
“『ラバーソウル』で飛躍、『リヴォルヴァー』を挟んで『サージェント…』”
みたいな“ついで”みたいな扱いだったのですが、最近、この見方をする人が急に減りましたね
“リヴォルヴァー再発見”みたいな動きがあって、『ラバーソウル』<『リヴォルヴァー』って意見を言う人が増えだしたように思います
この頃は、とにかくハイレベルですからね
どんどん丁寧な研究・分析をしていただいて、色々と再発掘的評価をしていっていただきたいですね
(んで、返す刀で『サマーデイズ』も高評価にならないかな~~)
でも確かに、“個々の楽曲の強さ”が、“アルバムの全体感”より強いって意味では、『リヴォルヴァー』は確かに『サマーデイズ』的。
ジョージ・マーティンかポールが、『サージェント~』制作秘話みたいな文脈の中で、
「『リヴォルヴァー』を作った時、“これでは『ペット~』には勝てない”と思った」
などと語っていましたが、それは“全体感”や“コンセプチュアル”のことだったのでしょう
ともあれ、この頃、B4もスタジオ・ワークに専念しだし、このアルバム直前のツアーが、結果的にラストツアーとなっています
リリース間隔も過去最大に空いています
その分、機材へのこだわりや、“音”への執着は、ビーチ・ボーイズに負けず劣らず、アブナイ領域に入り始めました
そう考えると、記事末で後述しますが、このアルバムの2ヶ月前にリリースされたシングル、すでに充分に“次のステップ”の音を発揮していた「ペーパーバック・ライター/レイン」の両面も重要です。
いよいよ、サイケ時代の幕は大きく開き、『サージェント~』はすぐそこです。
① Taxman G.Harrison
ビートルズ作品の中で“カッコイイ”という称号のトップに来るのは、おそらくはこの曲でしょう
何やら粘着質な「1,2,3,4」のカウントで始まりますが、急に遠くから別のカウントが聞こえると、実はそっちがホンモノという、不思議な始まり方
これがまたスリリングでグッド
つづく、力強いベース音と、カチッとしたギターのリフが、この曲のカッコよさの大半をかっさらっていきます
書いたのはジョージ・ハリソン。
初めてハリソン作品がアルバムの冒頭を飾りました
今回は計3曲を提供できたジョージ、急成長中です
ジョージのリード・ヴォーカルも、リズム隊の強いこの曲に合ってますよね
ちなみに、ジョージ・ナンバーにしては珍しく、リード・ギターがポール・マッカートニーです
間奏のソロは実に見事な出来栄え
しかし、忘れてはいけないのは「税務署員」(または税務署)という凄いタイトルとテーマ
当時のイギリスは、労働者の味方が政権を執っていたため、ビートルズのような高所得者は、何と収入の95%が徴税された時代
このことを強烈に皮肉ったのが本作です
・・・合いの手で入る「ミスター・ウィルソン」とは時の総理で、直後の「ミスター・ヒース」は野党の党首でして、見事なバランス感覚というか、いっそのこと与野党ひっくるめて批判
「Ha ha-」というのがまた何とも
実を言うと、B4は出自の影響もあってか、労働党好きだったらしいんですけどね。
② Eleanor Rigby J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #11
単に“一人ぼっち”ではない、集団の中にある“孤独”を、歌い上げています
オピニオンリーダーとしての変化するこの時を象徴するような1曲。
シングルカットは⑥と両A面で、本アルバムと同日発売でした。
ポール作品ですが、そういや彼は、物語的詞が得意とよく言われますね
さすがに思想家・ジョンも詞作に絡んでいるようです。
ですがこの作品の収録に関しては、ポール以外のメンバーの絡みが、確か、ジョンとジョージのコーラスだけ
えぇっ・・・て思いますが、よくよく聞いてみれば、弦楽器以外の音がしないですもんですね
怖いほど切れの良い演奏が、リズム楽器の代役を果たしています
ビートルズの変遷の中でも重要なステップになった1曲。
③ I'm Only Sleeping J.Lennon - P.McCartney
せわしない世の中を眺めながら、“俺は眠たい”と唄う、非常にジョン・レノンらしい作品
ご丁寧に、あくびの音まで入れています
・・・ブライアン・ウィルソンも後に似たような曲を、同じくいびきの音を入れて作ってますよね
しかし、ビーチ・ボーイズのいびきより、こっちのあくびは随分とキレた使われ方だと思いますね(まさかいびきとあくびを比較することになるとは)
ブレイクの終わりに、スッと次へのつなぎをしています。
バッチシなタイミングなところが、おちょくり感たっぷり
間奏ではもう一つ、ジョージ・ハリソンのギターがとんでもないことに
っていうか最早ギターの音とすら分からない仕上がり。
確か元々の譜面を、逆から書いてみて、それを演奏し、さらにテープ上で逆回転させるという、意味不明なことをしたから
やってる本人たちは楽しかったんでしょうね~
④ Love You To G.Harrison
この歌さ、本当のタイトルは「Love to You」だったんじゃないんですか
だって、歌詞でもそう言ってるのに。。。
インド楽器への惚れ込みを象徴する1曲
ジョージ=インドみたいなイメージをつけることにもなった曲
インド伝統のラーガ音楽の世界と、彼らの音楽を融合した、所謂ラーガ・ロックの走り
すぐにバーズもノッてきます
難しいことは分かりませんが、この曲を何度も聴けば、確かに心がおかしな世界に旅立ってしまいそうです
でも、冒頭のリズム隊の入り方はかっちょ良い。
このリズム隊直後の、シタールのリフは結構影響力があったようで、ちょいちょいこれのインスパイアと思しき音に出合うことがありますね
オレンジ・バイシクルとか
⑤ Here, There and Everywhere J.Lennon - P.McCartney
ポールが度々自賛する、本人超お気に入りの名バラード
確かに、メロディラインを口ずさむと、グッと来ます
あまりに美しい旋律
“美”をとことん追求するメロディが書きたくなったのは、ビーチ・ボーイズの「神のみぞ知る」に影響を受けたから、というのは、割と有名なお話
⑥ Yellow Submarine J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #2
ポールが子ども向けに書いたこの曲(ドノヴァンが歌詞を手伝ったらしい)は、ビデオクリップや、画期的なサウンド・イフェクトも超話題
スーパー有名なヒット曲なのに、なぜか駄作ランキング系のスーパー常連曲
まぁ、お気持ちは分からないでもないですが
何と言うか、あまりに分かりやすいメロディと、可愛らし過ぎるテーマへの苦情なんでしょうなぁ
同じく「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」もこの憂き目に合いやすいですよね
でも、「イエロー・サブマリン」みたいな曲を、キャッチーに、見事に仕上げて、世に問うてなかったら、ビートルズなんて、“ちょっと良いアーティスト”って域を出ないと思うんですけどね
他のバンドでは、こんな曲は作れないでしょう
⑦ She Said, She Said J.Lennon - P.McCartney
LSDでラリッた際の臨死体験を歌ったそうな
臨死体験したのが作者のジョンなのか、その友人なのか、諸説あります。
コーラスの重ね方は、ビーチ・ボーイズの「神のみぞ知る」のエンディング部分をこよなく愛していた、ジョンならではの発想、との分析もあります
⑧ Good Day Sunshine J.Lennon - P.McCartney
音楽の教科書に載っていたような記憶があるのですが、心当たりある方いますか?
いずれにせよ、何か番組とかで流れてたのか、非シングル作品では、有名な部類かと。
ラヴィン・スピーンフルの「デイドリーム」に、ポールが刺激を受けて、作ったのだそうな
こういうオールド・テイストな曲作りも、ポールの必殺技化していくことを考えると、その発端がスプーンフルってのは嬉しかったりします
⑨ And Your Bird Can Sing J.Lennon - P.McCartney
しびれる1曲
ソフトロック系アーティストが上手くカヴァーしてたら、僕はもう涙もんだったでしょう
(スパンキー&アワ・ギャングのちょっと半端なのはありますが)
見事なまでにキレのあるツイン・リードギターが最大の魅力
よく口笛で再現してます
バディ・ホリーなんかがやっても似合っただろうな~。
ジョン作品ですが、後のロック・ミュージックの走りみたいな作風ですよね。
他のロックでは、ここまでキャッチーにはできないでしょうが
⑩ For No One J.Lennon - P.McCartney
ジョンが「もっとも好きなポール作品の一つ」とコメントしたことで有名
確かに、あまり目立たない曲の割に、カヴァー作品が結構多いんですよね
大変にクラシックの匂いの強い仕上がりですが、バロック・ポップなんて呼ばれることが多いです。
ポールが演奏するクラヴィコードという、チェンバロのような鍵盤楽器がまさにそういう味を発揮
・・・よく思うのですが、ポールはどこでこういう楽器を学んでくるんでしょうね
間奏のフレンチ・ホルンは、アラン・シヴィルさんという、当時ロンドン随一と評判だったホルン奏者が担当したそうな
んで、それ以外のギターやピアノは、ほとんどポール一人で担当して、ドラムのリンゴ以外は不参加という、これ以降には有りがちなパターン
⑪ Doctor Robert J.Lennon - P.McCartney
思わず苦笑してしまうほどのドラッグソング
ジョンが主導で書いた曲。
何かの例えかと思っていたのですが、実はこのロバート医師ってのは、ニューヨークに実在していたお医者さんで、何でも平気でLSDとかを治療名義で処方してしまう、まさしくこの歌詞の通りだった医者らしいです
まぁ何だかんだ、かなり良い曲なんですけどね
リードギターの質感も良いし、中間部のハーモニウムも効果的
⑫ I Want to Tell You G.Harrison
ジョージ作品曲目
何とはなしに、同じジョージ作品の「イフ・アイ・ニーデッド・サムワン」を感じさせますね。
フェイド・インは「エイト・デイズ・ア・ウィーク」以来。
⑬ Got to Get You into My Life J.Lennon - P.McCartney :US #7
この妙に高いランクインは76年のことで、当時出た、『 Rock 'n' Roll Music』というコンピ盤のプロモとしてリリースされました
フリップサイドは「ヘルター・スケルター」。
10年越しの大ヒットもうなずける、力強い作り
トランペットとサックス2人ずつ体制で、ダイナミックに鳴り響くブラスが素晴らしい
あと、リンゴが結構良い仕事してます(ドラムとタンバリン)
カヴァーもよくされましたが、ヒットが多いんですよね
アース・ウィンド・アンド・ファイアが有名
モータウン・サウンドを意識した、ポール作品ですが、曲作りにはジョンとジョージがお手伝い。
別にジョージの名前がクレジットされる訳ではないんですね
楽器を褒めてましたが、ポールの歌唱力もたまらないですね
とっても自由自在で、ブラスに負けない迫力ある高音
曲作りのみならず、この辺にも黒人音楽への意欲の高さがうかがえます
かなりの人が、ポールの傑作にカウントしているでしょう。
⑭ Tomorrow Never Knows J.Lennon - P.McCartney
だーれかのー たーめに いきてーみてもーおー
逆回転手法を全開にしてます
鳥の鳴き声見たい
インド楽器まで登場して、この頃では最もラリッた作品でしょう
タイトルが意味不明なのですが、「ハード・デイズ・ナイト」の時のように、リンゴのつぶやきなんだそうな。
ミスチルは「誰も知ることのない明日」という解釈をしてますね。
曲のイメージは「ダライ・ラマが山頂で説法」だそうな
ボーカルの処理も、意味不明な歌詞も、単独コードも、そのコンセプト
まぁ、こんな変テコな曲がシメに使われたりしてるから、このアルバムはしばらく低評価だったんでしょう
やはり音楽の評価は時代とともに、ですね。
さて、冒頭で触れたように、このアルバムの2ヶ月前に、先行シングルがリリースされています
○ Paperback Writer J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #1
このシングル両面のレコーディングでは、ラウド・スピーカーというのを用いたようで、ベース音が異様によく聞こえています
聞こえすぎて、ベース音っぽくないですけどね
ベース音っぽく聞こえない理由の一つには、ポールがスタイルを変えてきたことも影響しているのでしょう
ブライアン・ウィルソンがキャロル・ケイなど、スタジオ・ベーシストたちに弾かせていた、あのビーチボーイズ風のスタイルにインスパイアされたのだとか
まったく恋愛要素のない、珍しい歌詞
「小説家になりたいのです」という内容の手紙、という形式
実は、作者のポール自身の夢だったそうな
歌詞に独特のスピード感があって、カラオケで歌うと楽しいです
リマスター版を聴いて初めて知ったのですが、最後の方に「Paper...」っていうコーラスの間違いが入ってたんですね
○ Rain J.Lennon - P.McCartney :US #23
近年大変に高い評価を受けている逸品
04年の『ローリングストーン誌』のオールタイムグレートソング500では、見事に463位でランクインしてしまっています
何と言っても、テープ逆回転はこの曲が初登場
最後の方で、ジョンの声を逆回転させてます
僕自身はむしろちょっと退屈なメロディかなっと思っていたくらいなんですが、いーっぱいカヴァーもあって、メンバー内でも、リンゴが「ベストプレイの一つ」とコメントするくらい、評価の高い人気曲なんですよね~
ベースの暴走っぷりはA面を凌駕してしまっています
このシングル両面が『リヴォルヴァー』の前であり、変化の第一歩と思った時、むしろ『リヴォルヴァー』の意義が霞んでしまう、そのように思えてくる、隠れターニングポイントとも言うべきリリースだったんでしょう。
まぁ、ビートルズの場合、最高傑作が3~4枚ある(?)ので、コレ!とは決められませんけどね(笑)。
それじゃ「最高傑作」の定義に沿わないんですけどね。
>『サマーデイズ』も高評価にならないかな~
同感です!
『リヴォルヴァー』が再評価されるのなら、『サマー・デイズ』だってもっと評価されてもいいと思います!
記事の主旨から外れたコメントで申し訳ないです(汗)
やはりryo様の年代では、これは最高傑作の部類に文句なしって感じですよね???
まぁしかし、仰る通りで、B4やBB5、ストーンズ辺りは、聴き手の年齢や気分で、折々の“最高傑作”がありますよね~。
>記事の主旨から外れたコメントで申し訳ないです
いやいやいやいや、さすがPOPOSUKE様、この記事の一番訴えたかった箇所に気づいていただき、ありがとうございます(笑)。
訳のわからん歌詞だなと長年思っていたのですが、YouはDylanで、お前さんのByrdsが とすると納得できました。アンソロジーで、笑いながらバーズなんちゃっての演奏してますね。
(久しぶりのコメントが嬉しい)
あ、今はそっちの説の方がメジャーなんですか??
僕は同じような流れですけど、自分たちをブライアン・エプスタインの鳥って皮肉ったって説がしっくりきてましたね。
アンソロジーのあれはちょっと怖いですよね(笑)。
今後とももよろしくお願いします。