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本と音楽とねこと

【旧作】きずなをつなぐメディア【斜め読み】

宮田加久子 ,2005,『きずなをつなぐメディア──ネット時代の社会関係資本』NTT出版.(8.10.2018)

 調査データにもとづき堅実な議論を展開している点は良い。また、インターネットを介して形成される、オンラインコミュニティにおける社会関係資本に着目した点も評価できるだろう。しかし、あまりに有益な知見が少ない。オンラインのコミュニケーションが、「橋渡し型」と「結束型」の社会関係資本の形成につながることは自明のことであるが、「橋渡し型」の社会関係資本が社会運動に繋がってきた事実と、「結束型」のそれが人間関係の「島宇宙」化につながり、異質な他者との「対話」や「討議」が回避され、著しい脱社会化が進行している事実にも注目すべきではなかっただろうか。政治家と官僚、企業経営者と学校法人等の理事の恣意的な意思決定は、「社会のオウム化」を如実に示すものだろう。排他的なオンラインのコミュニケーションの隆盛による、私生活への自閉、異質な他者への想像力の欠如が、いま、どのような事態を、日本で、また世界でもたらしているのか、もっと大きな問題にも目を向けるべきだろう。

目次
つながるメディア・集うメディア
第1章 社会関係資本とは何か
第2章 情報縁―インターネットでつながるきずな
第3章 オンラインでの互酬性の規範と信頼の形成
第4章 社会関係資本が変える暮らし、地域、社会
第5章 社会関係資本の豊かなインターネット社会を目指して

インターネットが社会関係資本に与える効果を実証的に分析。

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