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本と音楽とねこと

昭和天皇の戦後日本

豊下楢彦,2015,昭和天皇の戦後日本──<憲法・安保体制>にいたる道,岩波書店.(1.2.2022)

 本書を読めば、昭和天皇、ヒロヒトが、いかに、狡猾にして、我が身の保身と天皇制の護持にしか関心をもたぬ、人間のクズとしか言いようのない存在であったことがわかる。
 ダグラス・マッカーサーが耄碌してからしたためた『回想記』が、事実と異なる妄言録でしかないことは、本書でも正しく指摘されている。すなわち、ヒロヒトは、国民の幸せを願って、自らが戦犯として裁かれることをよしとしていたわけでは、断じて、ない。ヒロヒトは、すべての罪を東条英機になすりつけ、自らを恥じることもなく、マッカーサーに命乞いしたのである。新憲法が施行されてからも、ヒロヒトは、憲法を踏みにじり、自己保身と天皇制護持のために、政治に干渉し続けた。
 わたしたちは、ヒロヒトの罪を問うことなく、下血の果てに死ぬことを許した。奥崎鎌三が放ったパチンコ玉は、むなしく標的を外したが、だれも責任を問わない、また責任を負わない、欺瞞にみちた戦後日本のありようは、いまだに米軍ヘリがわがもの顔に飛び交う、恥ずべき対米従属三流国家、日本の現在に続く。

憲法改正、東京裁判、そして安保条約―昭和天皇は数多の危機をいかに乗り越え、戦後日本を形作っていったのか?『昭和天皇実録』を読み込み、戦後史像を塗りかえる!

目次
第1部 昭和天皇の“第一の危機”―天皇制の廃止と戦犯訴追
「憲法改正」問題
「東京裁判」問題
「全責任発言」の位置づけ
第2部 昭和天皇の“第二の危機”―共産主義の脅威転換点としての一九四七年
昭和天皇の「二つのメッセージ」
「安保国体」の成立
立憲主義と昭和天皇
第3部 “憲法・安保体制”のゆくえ―戦後日本の岐路に立って
昭和天皇と“憲法・安保体制”
岐路に立つ戦後日本
明仁天皇の立ち位置

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