ライトノベルのことはほとんど知らなかったので、「若者」の心性を表象する作品の引用と、その解釈は、なかなか興味深かった。
後退を繰り返し、死と生の境界さえおぼろげになるまで追い詰められるキツさは、そうとうのものなんだろう。
凡百の「若者論」と一線を画す、斬新な作品だ。
目次
1 若者文化の「いま」を知る
若者向けポピュラー・フィクションのつくり手と受け手
若者にとっての現代とは
分岐する「若者」
2 自省と独断と―ライトノベルの世界
ライトノベルの系譜を探る
青春小説及び境界領域の作家たち
留保-韜晦の話法
「俺様主義」の魅力
3 死と生をめぐるイミジェリ
共有される心象
孤立のかたち
透明な自己のアンビヴァレント
死んでいる私達には何よりも生きる目的が必要だ
他者という謎/空洞化する親密圏
親密圏を浸蝕する「社会」
4 「平凡なうちら」が築く友愛
社会のよそよそしい威力
生きづらさからの脱出という主題
「でもね…」―無力を社会に投げ返す
醒めた絶望が育む同盟
普通の人生を選びとる意志
ライトノベル作品に氾濫する奇妙で特徴的なイメージ群。そこには、若者たちの意識、感覚、イマジネーションを探る重要な手がかりがある。日本社会の「いま」を窮状ととらえ、そこで生きるがゆえに、韜晦のスタイルをとらざるをえない若者たちの、不思議な抵抗の姿を探る。
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