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本と音楽とねこと

太平洋食堂

柳広司,2020,太平洋食堂,小学館.(3.9.2022)

 明治期屈指の知識人にして数々の善行の実践者、またたぐいまれな人格者として、郷里、新宮の人々に慕われた大石誠之助。この偉大な人物の生涯を長編小説として描き尽くす。
 幸徳秋水、堺利彦、荒畑寒村、菅野須賀子、大杉栄、与謝野鉄幹等、大石と同時代を疾走した人々の息遣いが聞こえてきそうな傑作だ。
 大石は、山県有朋等がでっちあげた「大逆事件」に連座し処刑される。のちの、甘粕正彦による大杉栄、伊藤野枝殺害事件に通じる、当時の時代状況が、克明に描き出されている。

「目の前で苦しんでいる人から目を背けることは、どうしてもできん」一九〇四年(明治三十七年)、紀州・新宮に西洋の王様がかぶる王冠のような看板を掲げた洋食屋「太平洋食堂」が開店した。店の主人は「ひげのドクトル(毒取る)さん」と呼ばれ、地元の人たちから慕われていた医師・大石誠之助。アメリカやシンガポール、インドなどに留学した経験を持つ誠之助は、戦争と差別を嫌い、常に貧しき人の側に立って行動する人だった。やがて幸徳秋水、堺利彦、森近運平らと交流を深めていく中、“主義者”として国家から監視されるようになった誠之助に待ち受ける運命とは―。ドラマチックな筆致と徹底した時代考証が融合した超近代的歴史長編誕生!

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