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本と音楽とねこと

何ものにも縛られないための政治学

栗原康,2018,何ものにも縛られないための政治学──権力の脱構成,KADOKAWA.(9.13.2021)

 かなり長めの論考五篇が収められた力作だ。
 生き生きと描き出された革命家、アナキストたちの群像造形がすばらしい。ルイズ・ミシェル、オーギュスト・ブランキ、ネストル・マフノ、グスタフ・ランダウアー、みな命をかけて闘った偉人である。歴史の教科書に掲載されている「偉人」など、クソくらえ、だ。
 本書は、どんな近代史、政治学のテキストよりもすばらしい。右も左も叩き壊せ、ましてや真ん中叩き潰せ。民主主義などいらない。アナキズム万歳、だ。

あらゆる支配を打ち破れ!最注目のアナキズム研究者が贈る無強制の政治学。カネにも、人間関係にも、国家にも、
縛られない。強制の理屈を破戒する。
あらゆる支配を打ち破れ!
『村に火をつけ、白痴になれ』で旋風を巻き起こしたアナキズム研究者が放つ、【無強制】の政治学!!
アナキズムとは、「支配されない状態」を目指すことだ。
“自由で民主主義的な社会”であるはずなのに、なぜ私たちはまったく自由を感じられないのか?
息苦しくなるほどに、束縛を感じてしまうのはなぜか?
 この不快な状況を打破する鍵がアナキズムだ。これは「支配されない状態」を目指す考えである。
【無強制の政治学】という視点から、過去の思想と実践をわかりやすく振り返りつつ、現代社会の支配のルールを破戒する!
カネに、人間関係に、社会に、国家に縛られない!! 社会契約をクーリングオフせよ。
ゼロ憲法を宣言せよ!
「神を突破せよ、この世界を罷免してやれ。さけべ、アナーキー!」
○一番たちが悪いのは、民主主義の名のもとに憲法制定権力をたちあげることだ。
○契約も交換も自明のことなんかじゃないんだ。
○なんどでも、権力の脱構成をやってやろう。etc.

はじめに
 革命とはサルがオナニーするのとおなじことだ たえず逆むきの時間を生きろ/この都市のそこかしこに山をつくれ etc.
第一章 社会契約って、いつむすんだの?
 【サーリンズ/グレーバー】契約も交換も自明じゃないんだ。/未来のない運動をやろう/議会制民主主義とはなにか?奴隷のくせして、主人のまねごとetc.
第二章 自由をぶっとばせ   
 【シュティルナー】アートじゃダメなんだ。財産は窃盗である、どろぼうになれ。/政治的自由主義--ギャア!!!/社会的自由主義--マジ、陰険/人道的自由主義--なにがクリエイティブだ、このやろう etc.
第三章 革命はただのっかるだけだ
 【バクーニン/ルイズ・ミシェル】ひとを中心にするか、出来事を中心にするか。/自分を統治したいんじゃない、だれにも統治されたくないんだ/もしわたしを生かしておかれるなら、復讐の叫びをあげることをやめないでしょうetc.
第四章 革命はどうやっちゃいけないのか?
 【クロポトキン/マフノ】一番たちが悪いのは、民主主義の名のもとに憲法制定権力をたちあげることだ。/ツァラトゥストラはこういった みんな警察がキライ/あらゆる支配にファックユー、てめえの掟にアッカンベー アナーキー、アナーキ、パルチザン! etc.
第五章 ゼロ憲法を宣言する    
 【ランダウアー/クラストル】なんどでも、権力の脱構成をやってやれ。つねにチクショウから入ろう。/国民を捨てろ、階級を捨てろ、自分を捨てろ 捨てたその自分さえ捨ててしまえ/いくぜ、レーテ共和国 わたしはカオスが好きだ etc.
おわりに
主要参考文献

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