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本と音楽とねこと

暴走する資本主義

Reich,Robert B.,2007,Supercapitalism: The Transformation of Business, Democracy, and Everyday Life,Knopf(=2008, ), 雨宮寛・今井章子訳『暴走する資本主義』東洋経済新報社)(¥2,100)'09.6.29
 参照する統計数値のあやしさ、ポジショントークとさえ思える強引さは割り引かないといけないとしても、本書は、ダニエル・ベルの名著、『資本主義の文化的矛盾』の現代版だと思う。
 「消費者・投資家」と「市民」とのあいだで自己撞着の罠にはまり込んだ現代人の欺瞞を暴き出し、「市民」の復権にしか資本主義の暴走を食い止める手立てがないことを主張する、その手際の良さがすばらしい。

私たちは「消費者」や「投資家」だけでいられるのではない。日々の生活の糧を得るために汗する「労働者」でもあり、そして、よりよき社会を作っていく責務を担う「市民」でもある。現在進行している超資本主義では、市民が労働者がないがしろにされ、民主主義が機能しなくなっていることが問題である。私たちは、この超資本主義のもたらす社会的な負の面を克服し、民主主義をより強いものにしていかなければならない。個別の企業をやり玉に上げるような運動で満足するのではなく、現在の資本主義のルールそのものを変えていく必要がある。そして「消費者としての私たち」、「投資家としての私たち」の利益が減ずることになろうとも、それを決断していかなければならない。その方法でしか、真の一歩を踏み出すことはできない。

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