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本と音楽とねこと

国家・企業・通貨

岩村充,2020,国家・企業・通貨──グローバリズムの不都合な未来,新潮社.(6.23.2022)

 日本銀行が国債やETFを買い続け、延々と市場に大量の貨幣を流し込んでも、賃上げをともなう物価上昇が起こらなかったのはなぜか、その疑問が本書を読めば氷解するだろう。
 「流動性の罠」による中央銀行の金融政策の無効化、グローバリゼーションによる「底辺への競争」の加速、GAFAによる「関心の独占」、仮想通貨、リブラ、MMTの虚妄、これらの論点について、ばっさりと俗説を切り捨て、たしかな根拠にもとづいた正論を展開する。理路整然とした議論の展開は爽快でさえある。
 秀逸なコラム記事をはさみながら、一気に読ませる力量はすばらしい。議論を楽しみながら、グローバリゼーション、経済、金融政策の歴史としくみが学べるすばらしい書物なので、文句なしにおすすめしたい。

なぜ「中間層」がますます貧しくなるのか?19世紀に誕生した国民国家・株式会社・中央銀行の3点セット。しかし、資本移動を伴うグローバリズムと、AIやブロックチェーン等のデジタライゼーションが、3者のバランスを突き崩し、中間層を蝕み始めた。超低金利、株主優遇、財政赤字、法人税引き下げ競争、GAFA、リブラ、MMT…悪循環に陥った資本主義の行方を、日銀出身の異才が読みとく。

目次
第1章 それらは一九世紀に出そろった
第2章 グローバリズムと分岐した世界
第3章 競争の海に落ちる国家たち
第4章 人々の心に入り込む企業たち
第5章 漂流する通貨たち
第6章 地獄への道は善意で敷き詰められている

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