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本と音楽とねこと

困ってるひと

大野更紗.2012,『困ってるひと』ポプラ社 (文庫.¥672)('13.9.21)

 睡眠障がいのためけっこう強いクスリに依存しているものの、物心ついてからの入院経験もなく、大過なく病気とはほぼ無縁の人生を送ってきた者には、想像を絶する内容の闘病記録だ。これほどすさまじい経験をしながら、シニカルに、またユーモアを交えて自己を観察する性根はすばらしいと思う。次は、重度の障がいを抱えながら普通の地域生活を送るべく悪戦苦闘する日々を、本書同様の軽妙なタッチで描いてくれるだろう。

目次
はじめに 絶望は、しない──わたし、難病女子
第一章 わたし、何の難病?──難民研究女子、医療難民となる
第二章 わたし、ビルマ女子──ムーミン少女、激戦地のムーミン谷へ
第三章 わたし、入院する──医療難民、オアシスへ辿り着く
第四章 わたし、壊れる──難病女子、生き検査地獄へ落ちる
第五章 わたし、絶叫する──難病女子、この世の、最果てへ
第六章 わたし、瀕死です──うら若き女子、ご危篤となる
第七章 わたし、シバかれる──難病ビギナー、大難病リーグ養成ギプス学校入学
第八章 わたし、死にたい──「難」の「当事者」となる
第九章 わたし、流出する──おしり大逆事件
第十章 わたし、溺れる──「制度」のマリアナ海溝へ
第十一章 わたし、マジ難民──難民研究女子、「援助」のワナにはまる
第十二章 わたし、生きたい(かも)──難病のソナタ
第十三章 わたし、引っ越す──難病史上最大の作戦
第十四章 わたし、書類です──難病難民女子、ペーパー移住する
第十五章 わたし、家出する──難民、シャバに出る
最終章 わたし、はじまる──難病女子の、バースデイ
あとがき
文庫版あとがき

ビルマ難民を研究していた大学院生女子が、ある日突然、原因不明の難病を発症。自らが「難民」となり、日本社会をサバイブするはめになる。想像を絶する過酷な状況を、澄んだ視点と命がけのユーモアをもって描き、エンターテイメントとして結実させた類い稀なエッセイ。

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