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本と音楽とねこと

どこまでやるか、町内会

紙屋高雪,2017,どこまでやるか、町内会,ポプラ社.(1.11.2022)

 紙屋さんの町内会論を読むのは、これで二冊目であるが、そもそも、町内会はたんなる任意団体であり、住民が強制加入させられるいわれはないとか、ゴミの収集は住民税を徴収している自治体の責務であり、町内会でゴミの共同収集を請け負う義務はなく、戸別収集に切り替えれば済むはなしであるとか、自治体広報誌を配布する作業も自治体自身の責務であり、町内会組織がそれを請け負う必要はないとか、いちいち、真っ当な指摘ばかりで、なんの意味があるのかわからない、町内会行事や役務にうんざりしている人たちはおおいにうなずくことだろう。
 コロナ禍でどうでも良い町内会の行事が中止となり、せいせいしている人も多かろうと思うが、あらためて、町内会の行事や役務など、ないならないで全然困らないものであることがはっきりしたことと思う。
 紙屋さんが提案するとおり、地域の行事は、やりたい人がやれば良いわけで、住民が強制的に駆り出されるのは迷惑千万である。町内会の役務については、行政の下請け仕事がそのほとんどを占めるわけだから、住民税を徴収している自治体に責務をまっとうさせるべく、突き返したらよい。
 一方で、地域社会レベルでの高齢化がすすむなか、住民のボランタリーな意思を最大限生かすかたちで、いわゆる第三層レベルでの生活支援のネットワークをはりめぐらすことが、地域包括ケアのしくみづくりの最重要の課題であるわけだが、それも含めて、地域社会を住民による課題解決型のボランタリー・アソシエーションの連合体としてオーガナイズしていくことが必要だ。

町内会・自治会の課題を解決し、快適にご近所づきあいするために―大きな災害が起こるたびに人々の結びつきが注目され、町内会の存在がクローズアップされる。一方で、高齢化で担い手がいない現実や、子育て世代にとって負担の多い活動が、ご近所トラブルのもとになることも。町内会と行政の関係や新興の町内会のあり方を通して、町内会に関わるすべての人の疑問や思いにこたえる1冊。

目次
第1章 ごみ出し問題には町内会の抱える問題が集約されている
第2章 「担い手がいない」という悩みへの「解決策」の罠
第3章 その事業は本当に必要か
第4章 町内会はどこまでリストラできるか
第5章 今すぐできるリストラ策「おまとめ事業」と手続きの簡素化
第6章 行政、連合体、町内会、住民への提言

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