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本と音楽とねこと

私たちの場所

Barber,Benjamin R.,1998,A Place for Us: How to Make Society Civil and Democracy Strong,Hill and Wang(=2007,山口晃訳『<私たち>の場所――消費社会から市民社会をとりもどす』慶應義塾大学出版会(¥2,625)'11.1.3

 電子情報通信技術の発展や機械化、産業ロボットの導入等により雇用の劣化が進むなか、「労働」と「所得」との連関に執着することをやめ、時間を社会的に有用な「活動」と「余暇」に振り向ける。もって、国家と市場との間に重層的な市民社会の構築をはかる。
 こうした観点は、ベーシック・インカム構想にもつながる、もっとも現実的な市民社会の展望として結実している。たたみかけるように、「労働の終焉」と市民的「余暇」の復権を説く第5章が、とてもすばらしい。

目次
第1章 三つの市民社会
リバタリアンの展望―私的な領域としての市民社会
コミュニタリアンの展望―共同体と同義語としての市民社会 ほか
第2章 私たちの場所―強靱な民主的市民社会
第3章 市民社会を現実的なものにする―実践的な方策
公共的な空間
新しい公共の遠距離通信技術 ほか
第4章 市民的礼節と、礼節のある議論
第5章 市民社会における時間・仕事・余暇

失業者、非正規雇用者たちにこそ、真の市民社会実現の鍵がある......。
今日ますます実現困難となってきている市民社会をとりもどすには? 『ジハード対マックワールド』の著者が論じた名著。
アメリカ政治学界の重鎮であり、9.11に際してはブッシュの政策を批判したベンジャミン・バーバーの、市民社会論A Place for Us: how to make society civil and Democracy strong(1998)の翻訳。
自由市場と国家のはざまで、人々が孤立した「消費者」におとしめられている現状から、主権者である「市民」の社会にもどすための方策を示し、代議制民主主義の陥穽に対して「仕事`後'」の世界からの解決を提案した、刺激的な民主主義論。
コミュニタリアン、リバタリアン双方への批判から、第三の民主主義の立場を主張する。

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