空気と水では光の屈折率が違う。
そのため人間が水中の様子を見るためには水中眼鏡かそれに代わるものを通してみる必要がある。
一方でイルカのような水性哺乳類は水の中でよく見える様に屈折率が調整されているのでショーなどで空中に出ているときは焦点があっていないのだという。
さて、野鳥はどうなのだろう?
前に野鳥の視覚について調べた時に知ったのは、鳥の種類にもよるが野鳥の多くは眼球の形状を変化させて様々な状況に対応するという事。
そのためワシ・タカなどの猛禽類は目がズームレンズの様な機能を持っている。
また遠くを見る様に進化した鳥は焦点が合う中心視野の解像度が、少しぼやけて見える周辺視野よりも高いらしい。
例えると視覚全体の解像度は5000万画素くらいだが中心部分に小さい画素で4000万画素が集中し、周辺に大きめの残り1000万画素を配置したデジタルカメラの様なもの。
さらにズーム機能が付いていれば数km離れた遠方でも人間にとって数十mを見るような感覚で見ているのだろう。
さてカワセミはどうなのだろうか?
調べてみても詳しい資料が見当たらないので推測するしかない。
野鳥の目の構造について明らかに言えるのは「瞬膜」を持っている事。
瞬膜は水中に入った時や飛行中に眼球を潤しながら視覚情報を得るための器官
野鳥を写真に撮っていて、時々濁った眼をするのはこのためだ。
カワセミの場合は水から飛び出た刹那を写真で捕えると明らかに瞬膜を閉じていたことが分かる。
もしかすると瞬膜を通してみるという事は人間が水中眼鏡を通してみるのと同じ効果があるのだろうか。
ただ疑問が残る。
水中メガネはガラスやプラスチックなど硬い物質で出来ているが、瞬膜は生体細胞の中でも柔らかいと考えられる。
よもや爪の様な皮膚が硬化したような固い物質ではあるまい。
固ければ頻繁に動かすと眼球を損傷してしまう恐れがある。
他にも「眼球の屈折率を水中用に変えられる」や「飛び込んでからは経験と勘で捕らえる」も考えられるが、さてどうだろうか。
瞬膜を使ったあげく屈折率を変えるにしてはカワセミが飛び込んでいる時間は1秒にも満たない。
その短い時間で屈折率を変えるのは瞬膜で保護されているとはいえ眼球に加わる圧力は尋常ではないだろう。
また経験と勘はある程度は関係しているだろうが、カワセミの捕獲確率70%を達成するには視覚情報が不可欠だと思われる。
やはり瞬膜を水中眼鏡代わりにして捕えていると考えるのが一番筋が通るのだろうか。
何にしても 謎が多いが興味深い存在だ。
関連記事
バイオメカニズム学会誌 鳥類の視覚受容機構
ウィキペディア 瞬膜
御覧 頂きありがとうございます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます