短三和音な日々

割と暇なゾイダー、滝上の不定期な日記。リンクフリーです

イリアスのゾイド講座 第六回 バリゲーターTS

2009-03-13 19:39:28 | イリアスのゾイド講座
 皆様こんにちは、はじめましての方は、はじめまして。イリアスのゾイド講座、始まります。
 第六回となる今回は、グランドカタストロフ直後のヘリック共和国軍水陸両用機、バリゲーターTSについてお話させて頂きます。

 同時期に使用されたドスゴドス、エクスグランチュラと違い、この機体は旧バリゲーターの姿をほぼそのまま保っています。旧来機との外見的な差異は、背部に増設されたバックパック……TS(スラスターシステム)の存在です。
 外部増設型補助動力自体は、古くはガリウスの時代から存在しました。「イオン過給機」と呼ばれる装備で、主にゾイドの積載量を増加させるのに使用されています。ゾイドコアの養分である金属イオンを供給する装備であり、現代でもレブラプター等が「イオンチャージャー」というこの流れを汲む装備を施されていますね。
 こういった外部補助装置とスラスターシステムの違いは何か、それはエネルギーの伝達システムにあります。
 イオン過給機のような装備がゾイドの機体に配線された伝達回路を通じてコアにエネルギーを供給するのに対し、スラスターシステムはその過程をすっ飛ばし、直にパワーユニット……すなわちゾイドコアにエネルギーを伝達することで、従来とは比べものにならない伝達効率を実現しているのです。
 物の流れとは、長ければ長いほどその勢いを削ぎとられます。地球、特に日本の河川がいい例で、始点からの距離が長いほど……すなわち下流に行くに従い、流れは弱くなります。
 スラスターシステムとは、例えるならば河川の上流がいきなり海に注ぐようなものです。いえ、もっと極端に言うなれば、滝が海に注ぐ様を想像してみて下さい。立ち上る水しぶきの量は、凄まじいものになるでしょう?
 乱暴な例えではありますが、本当に原理はこれです。

 なぜ、このようなシステムが実用化したのか。その影にあるのは、やはりこの時代のキーゾイド……キングゴジュラスの存在です。この機体が持つ重力制御機構……グラビティモーメントの伝達のために使用されていた伝達システムを転用したものと思われ、同様の機構がヴァルガにも存在するため、ある意味でこの2機は兄弟機といえなくも……いえ、この時代の機体には、どんな形にせよキングゴジュラスの技術を継いだものが多い以上、無意味な分類でしたね。
 しかしながら、なぜか「この」スラスターシステムを搭載したのは本機及びティガゴドスの初期生産ロットのみで、以降のTS搭載機にはパワーユニット直結の外部ケーブルが存在しています。
 なぜこのような仕様になったのか、一説にはリーバンテ島戦後にリル・メリル主任がスパイ容疑で身柄を確保されたためとも言われており、未だ明確な理由は判明していません。
 いずれにせよ、ただでさえ外部に露出するという弱点を抱えるTSにさらにケーブルという目立つ弱点が付いた事で、前線の士気が下がったとかなんとか……。ウワサですよ? ちなみに第二次生産ロットの機体は、やはりパワーが落ちているとのウワサもあります。

 本機はただバリゲーターにスラスターシステムを装備したのみではなく、いくつかの改良点も存在します。その最たるポイントがガイロス帝国軍機の残骸から回収・再現された「アイスメタル・マテリアル装甲」で、「ドスゴドスに振り回されジークドーベルに激突しても、相手が壊れる」という凄まじい強度を発揮。当然ながら耐圧性も大幅に上昇し、潜水深度も増しました。ま、いくらか改良案が出たもののコクピットは剥き出しのままなので、意味は無かったんですけどね……。
 この機体強度を利用し、前述の通りドスゴドスの尾部に噛み付いて「ジョイント」し、横回転で敵機を薙ぎ倒す「ターボアクセレイション・ハンマーアタック」なる合体攻撃フォーメーションが存在します。当然、気をつけないと口の隙間からフッ飛ばされます。パイロットが。ログ・バイス大佐は化け物か何かでしょうか……。
 出力が増大したことにより陸戦能力も高まり、海岸等場所を選べばヴァルガにも引けをとらない戦闘が可能とのこと。ただし残念ながら、グラビティアタックを考慮に入れない場合のみですが。
 またリーバンテ島では塹壕掘削など、前線での戦闘支援にも使用出来る汎用性も評価されました。
 当然海戦の性能もアップしています。浅海域での戦闘ならば、当時の海戦専用機ダークネシオスとも互角以上。ただしこれは上陸作戦仕様という装備の相性がはまったという理由もあり、また深海域になればなるだけ、バリゲーターが不利になります。これは本来渡河作戦や河川での戦闘を前提にした機体設計そのものから来る弱点なので、仕方が無いところではあるのですけどね。

 とこのように、スラスターシステムという力で蘇ったバリゲーターについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか? 中央大陸戦争初期から中期にかけての機体でありながら、僅かな改装で最新鋭機に匹敵するゾイドに生まれ変わったバリゲーター。磁気嵐など様々な要因が複合した結果ではありますが、それでもゾイドが秘めた大きな可能性を見せてくれる事例ではないかと、私は思います。

 最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。では皆様、ご機嫌よう。イリアスでした。

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