短三和音な日々

割と暇なゾイダー、滝上の不定期な日記。リンクフリーです

ゾイドグラフィックス・ライジャー 語り

2008-10-30 23:15:44 | Weblog
 シリーズ最終巻、ライジャーが発売となりました。幸運にも入手出来たので、いつものように語りたいと思います。あ、ネタバレもあるのでご注意下さい。

 キットは初めて組んだのですが、脚部フレームとカバーの組み合わせ方が面白いです。コストダウンの一環か、カバーは前後で同じものを使ってました。
 
 冊子、巻頭の解説はランドバリーの部隊運用と、アルダンヌ戦について。半端に終わった感があるので、増刊のオルディオスにも続きが入るのを期待。
 
 リバセンバトストは一気に一年飛んで、共和国軍の上陸作戦。同時発売のダークネシオス、そして改良型バリゲーター「TS」も登場。第一回以来の登場となったバイス大佐の「ゾイドは使い方次第だ」のセリフに「ああ、バトストだ」と妙に納得した気分に。
 文中ではサラリと流されてますが、ダークネシオスにはゾイドと搭乗者の闘争本能をリンクさせる「ダイレクト・リンク・システム(D・L・S)」なるシステムが導入されているらしく、これが40年後の西方大陸戦争におけるオーガノイドシステム実用の引き金になったとのこと。気になるところです。
 最後にクリムゾンホーンをちらっと見せて続く。オルディオスが待ち遠しいところです。

 機体解説、ライジャーはこれまでのゾイドと比べて設定の自由度が高かったためか、色々と新しい設定が加わっています。設計者があの人だったりします。誰かって? 公式サイトのフラッシュにどアップで映ってるあの科学者です。
 ライジャーが時速320キロという当時としては図抜けた速度を持つに至った理由は、後方の工廠から迅速に最前線まで自力で向かい、そのまま戦闘に参加するという冗談みたいな設計思想からきているようです。その要求を実現させたあの人なら、ギルベイダー造れてもおかしくないよなぁ。
 そして名前の由来。アルファベットの綴りから推察した「ライオン+ソルジャー」という説かと思いきや、なんと「雷獣」が由来とのこと。ライオン型らしからぬ特異な外見も、ライガー系とは別の、変異種の野性体がベースであり、それが地球の幻獣「雷獣」に似ていたから「ライジャー」という名前になったようです。

 昨年12月から続いたゾイドグラフィックスも、増刊を除けばこれで終了です。付属冊子も一つ一つ見ると薄っぺらいですが、全部一気に読むと結構なボリュームがある……と思います。少なくとも、資料としての意義は高いのではないでしょうか。
 不満があったとすればやたら場所を食うでかいパッケージと値段ですが、これが最後だと思うと何だか不思議と寂しくなります。
 ゾイドグラフィックスに感謝をこめて。一年弱の間、ありがとうございました。

リンク追加の報告

2008-10-29 00:21:39 | Weblog
 今回、「ガイスターのページ」様をブックマークに加えさせて頂きました。
 このページではゾイド関連の投稿小説を募集しており、筆者も作品を投稿しております。……いや、おりました。
 恥ずかしい話ですが、広げた風呂敷を畳めなくなったと言いますか、覆水が盆に返らなくなったと言いますか……。
 作品自体は戒めの意味もあって、残して頂いております。筆者の原点であり黒歴史でもある作品です。
 今後、きちんと内容を見直した上で、最初から投稿する腹積もりです。
 今回は報告まで。では。

アトガキっす

2008-10-27 00:05:43 | Weblog
 というわけで、一節の方も進んでいるっす。今回は第三節に予定している「ニカイドス・リベリオン」にも繋がる話っす。
 ……やめよこの口調(汗

 メイドさんです。ラグナはご覧の通り実体がないので、神殿の維持・管理にはやっぱり人手が必要だろうと。いや、ただ出したかったと言ってしまえばそれまでなんですが。
 そして、トローヤが極寒の地だというのを作者自身がすっかり失念していました。なので冒頭がとってつけたようになってしまっております。……次はやらないようにしないと。
 最近ちょっとペースが落ち気味ですが、長い目で見てやって頂けると幸いです。では。

預言者の回顧録 第一節第九話 滅びへのシナリオ

2008-10-26 23:59:33 | ゾイドSS
『あ、降りる前に、座席の後ろにある防寒着を着て下さいね。外はかなり寒いですから』
 想像していたよりは広いレドラー――スレイプニールのコクピットの中で、私はもぞもぞと防寒着に身を包んだ。準備は万端。「預言者の回顧録」やその他諸々が入ったバックを手に、私はテュルクの大地を踏んだ。
「……ホントに、寒い」
 その第一声が、これだった。
 今まで温暖なデルポイにいたので、温度変化の急激さに身体が付いていってない。しばらくすれば慣れそうだが、風邪とかひきそうで何だか怖い。
『すみません、本来ならサーモ機能などが付いた物を用意するべきだったのですが』
「いえ……大丈夫です」
 そこまでご丁寧にされるというのも、ちと気が引ける。
『あ、でも、中は暖かいのでご安心を。イリアスさんもいますし』
「イリアス……さん?」
『トローヤ神殿の管理・維持をお願いしている……お手伝いさんみたいな方です』
 お手伝いさん、という単語から、何故か私はメイドさんを連想してしまった。編集長の趣味が移ったのか、とりあえずその想像は頭の隅に追いやる。
『行きましょう。手前から数えて三番目の、柱の出っ張りに軽く触れて下さい。入り口が開きます』
 まるで遺跡に踏み込む冒険家のようだ。言われたとおりにすると、眼前の地面がスライドし、地下へと続く階段が現れた。

「お待ちしておりました、ローナ・レジェッタ様」
 階段を降りきった先、現れたのは、果たしてついさっき想像したとおりの外見をした人物だった。
 メイド服に身を包んだ、15歳ほどの少女。澄んだ碧眼に、特徴的な銀色の髪をショートカットにして、ホワイトブリムの代わりに一対の角のような髪飾りを付けている。
 ちなみに言うと、編集長の趣味としては「邪道」の部類に入ると思う。動きやすさを重視してか、彼女のメイド服はスカート丈が短い。編集長曰く、「メイド服はロングスカート」だそうである。
 ……話がズレた。
 とにかく、メイドさんが現れたわけである。
『彼女が、先ほど言いましたイリアスさん』
「主からお話は伺っております。どうぞこちらへ」
 一礼して、奥へと歩き出す。
 案内された先は、神殿の外見やここに至る通路からは想像できない、ごく普通の応接室だった。ちょっと拍子抜けだが、過度な期待をしていたわけでもない。
『さて……』
 端末から、ラグナの声。と、私の目の前に、光が集まる。
「……?」
 その光が凝縮し、人の……10歳ほどの、少女か少年か判別のつき難い姿をとる。そして、
「……!?」
『この姿では、はじめましてになりますね』
 短めの赤い髪、若干灰色がかった黒の瞳。
 ラグナが、そこにいた。
「驚かれました?」
 後ろから、イリアスの声。
『この神殿内部でのみ、ボクは他の方々に姿を見せることが出来るのですよ』
 妖精か何かのごとく、ラグナがふわふわと私の周囲を飛び回る。
「……はあ」
 色々と声が出ない。どうやらバレシアでの「ここでは会えない」という発言の真意はこういうことらしかった。
『ではローナ、これからあなたにして頂く事を説明します』
 正面、ラグナの表情がにわかに引き締まる。
『……思考を可能な限り、能動から受動へと向けて下さい。その状態で、回顧録を読み解くのです』
「……?」
 いまひとつ理解しづらい。
「要は、『考えるな、感じるんだ』ということです。色々疑問や疑惑もあるでしょうが、今は頭の片隅に置いておいて下さい」
 後ろから、イリアスが噛み砕いた説明をしてくれた。
「わかりました」
 余計な事は考えず、心を静める。
 今手にする本、「預言者の回顧録」から伝わる何かを感じ取る。

 何となく、何となくだが、何かが伝わってくる。
 それは具体的なものではなく、ひどく抽象的なイメージ。
 ……良い方向のものではない。どちらかと言えば悪いイメージだった。
 だが、トライアングルダラス近くで感じた、絶望的な滅びではない。強くはなく、だけど重い。そんな感覚。
 ……そう、重い。
 気付いた瞬間。
 眼前に、都市の光景が広がる。
 決して広い街ではない。周囲には自然も残る。
 ……ニカイドス島、ニビル市。
 そういう名前の街だ、と、何かが頭の中で囁く。
 そのニビル市が。
 空から降った、一発の砲弾で。
 完膚なきまでに、潰れた。
「――……っ!?」
 
最初に目が眩んだ。次に、耳が聞こえなくなった。そして気付くと、私はイリアスに支えられて、床に倒れかかっていた。
「大丈夫ですか?」
 イリアスが、私の顔を覗き込む。ラグナも、心配そうな顔で私を見る。
「……多分」
 自身はないが、そう答えた。
 手から落ちた「回顧録」が開いたページ。
 そこに記されていた文字、「ニカイドス・リベリオン」。
 それは、滅びへのシナリオ、その第一幕。

アトガキでい

2008-10-18 00:12:44 | Weblog
 前回の本編更新が一ヶ月前でしたorz お待たせしてしまった割には、あまり良い出来とは言えず。不安定気味な毎日を送っております。

 死があるからこそ生は意味を為す、では死のない生とはいったい何? などと、筆者の頭の中は常に意味不明な命題が渦巻いております。「回顧録」もそんな思考(嗜好、あるいは志向)が多分に影響していると思われます。

 短いですが、このへんで。では。

預言者の回顧録 第二節第九話 メモリー

2008-10-18 00:00:48 | アルフィ・サーガ
(……どうかしたの?)
 暗闇の中、リンネのコクピットから光が漏れる。
「夢ってさ、何だろうね」
 質問というよりは、独白みたいな形になった。正直言って、あの悪夢のショックからいまだに立ち直れてない。気分を換えようと思えば思うほどに、思考は暗い方向へと流れる。
(夢……か)
 リンネが少し、考える仕草を見せた。
(……過去に経験したこと、見たもの、そういう記憶が重なって、映像としてフラッシュバックする……ってことかな?)
「フラッシュバック……」
(抽象的なことにしろ、具体的なことにしろ、何がしかの経験や記憶が基になってることが多いと思う。ボクも、そういうのよくあるから)
「リンネも?」
 意外だった。ゾイドであるこの子も、やはり夢を見るのだろうか。
(……君ならさ、ボクの記憶領域を見ることも出来るよね。見てみる?)
 何で気付かれたのかはわからないが、実際私は他のゾイド、正確にはゾイドコアとリンクして、その記憶領域を覗くことが出来る。必ずしも全てを見られるわけではなく、強固な意志で記憶を閉ざすような子(あの片腕のレドラーのように)に対しては、意味の無い能力なのだけど。
「……いいの?」
(うん。アルフィは友達だもの)
 そう言われると、何だかくすぐったい。ともかく、私はリンネのコアとリンクを始めた。

(……?)
 疑問を感じたのは、それを始めてすぐ。
(……何、これ!?)
 頭が、というか思考回路がパンクしそうになる。
 多い。
 記憶があまりに多い。
 というより、おかしい。
 いくらリンネが長寿であっても、これほどまでに多くの記憶を持ち合わせているはずがない。
 具体化することは出来ないが、リンネ自身の年齢、恐らく200歳弱に対して、記憶は軽く10000年分を超えている。
 ありえない。絶対におかしい。
「……っ!!」
 頭が吹っ飛びそうになる寸前、私はリンクを解除した。
(……大丈夫?)
 平然と、リンネが私に聞いてくる。
「……うん」
(……前に言ったよね。死ねないんだ、ボクは)
 あくまで淡々と、リンネの言葉。
(多分、ボクはこれからもずうっと生き続ける)
「うん」
(今のカラダが壊れても、次のカラダで)
 ……そうか。
「リンネ、君は……」
(何度死んでも、記憶が無くならないんだ。楽しかったことも、悲しかったことも、全部、覚えてる。全部……)
 記憶の継承。
 聞いたことなど無いが、説明をつける方法を、私はこれ以外に思いつかなかった。
 人間風に言うならば「前世の記憶」。それが、リンネには延々積み重なっている。それも途切れることなく、連続的に。
 ある意味で私と似た、死というものの意味を無にするゾイド。
 にしても。
「……多すぎるよ、君の記憶」

 その後、他愛もない話をリンネとして、夜を明かした。空が白み始めた頃になって、眠気が意識を支配し始める。
「……ごめん、少し寝てもいい?」
(じゃあ、悪い夢とか見ないように祈っててあげる)
「……ありがと」
 平和な町だ。物盗りだとか、人攫いだとか、そんなものは無いだろう。万が一あっても、リンネが傍にいる。
 意識が少しずつ、混濁していった。

 浅い眠りの中で、こんな声が聞こえた。
「……見せて、よかったのか?」
「大丈夫だよ。根本的な原則には触れてないし、ルール違反じゃない」
「……」
「それにそもそも、こうしてボクの所に来るよう仕向けたのはキミでしょ? あんな記憶まで見せて」
「まあ、な……」
「……つらい道だよ。彼女にとっても、キミにとっても」
 夢かどうか、判別がつかない。ただ聞こえた声はどこか、懐かしくて、優しかった。