goo blog サービス終了のお知らせ 

自由と平和、生存と共生のために

「誰もが人間らしく生きられるためには」という視点から、さまざまな社会問題についての情報をお届けします。

「貧乏なのは努力が足りないから」という考えの誤り

2021-01-03 17:21:56 | 反貧困
 今回の感染症の流行によって、特に宿泊・観光・飲食・各種サービスなどの業界で、多くの労働者が失職や収入減などの影響を受けています。もともと、非正規労働者、女性労働者が多い職場であり、家賃を支払えない食費にも事欠くといった生活苦におちいる方が増えています。ここ数カ月、自死者が急増している要因でもあると考えられます。

 39歳女性、家賃滞納で路上生活に「このまま私、死んじゃうのかな」…あぶり出された日本の貧困  樋田敦子 弁護士ドットコム

 ところが、「貧乏なのは本人の努力が足りないから。」こうした自己責任論が空気のように広がっているのが現実のようです。
 しかし、自己責任論によって、貧困当事者たちは自尊感情を傷つけられ、恥辱感を植え付けられ、自己非難や社会不信におちいることになります。そして、当事者が何らかのかたちで援助を求める意志を押しつぶしてしまいます。誰にも相談できない、各種の支援制度を利用しないといったかたちで当事者を追いつめてしまいます。

 また、貧困を生み出す社会的要因、例えば利潤追求優先で人件費をどこまでも減らそうとする経済システムなどが「問題」とされなくなります。そして、貧困の本質的な解決から遠ざかることになります。

 自己責任論の誤りを正していくことは重要な社会課題だと思います。

 下記の記事もご参照ください。

「貧困は自己責任」と断じる人の浅すぎる思慮  印南敦史

「貧困女子高生」バッシングの無知と恥〜「ニッポンの貧困」の真実  大西連

これが本当の「貧困」だ! 女子高生バッシングで分かった日本社会の闇
  大内裕和

19日に日比谷公園で困窮者向け相談会、電話相談も

2020-12-12 19:34:58 | 反貧困
 感染症の拡大で生活に困っている方のための相談会です。電話による相談にも対応します。労働組合、市民団体、法律家などが協力して実施します。
 「助けて」「生きたい」という声を出すことが大切です。人間らしい生活と尊厳を取り戻すために。

19日(日)午前11時~午後5時:日比谷公園
電話相談 午前10時~午後10時:0120(157)930

19日に困窮者向け電話相談 日比谷公園では対面も 東京新聞

NHKスペシャル「コロナ危機 女性にいま何が」 5日(土)午後9時~

2020-12-05 16:12:22 | 反貧困
 COVID-19の流行にともなって、多くの女性が仕事、生活などで困難をかかえています。宿泊業、飲食業、その他のサービス業は自粛政策の影響もあって事業環境が悪化しています。こうした業種では、非正規で低賃金の女性が数多く働いていました。
しかし、こうした女性労働者たちが解雇、失職、収入減などに追い込まれています。
 ここ数カ月、女性の自死者が急増している背景にもこうした状況があると推測できます。今、感染対策のため対人コミュニケーションが抑制されています。そうした背景もあって、困難をかかえた人びとは貧困に加えて社会的孤立へと追いつめられ、メンタルヘルスを悪化させているのでしょう。
 仕事、生活、健康(精神的健康も含む)など総合的な支援が求められています。

NHKスペシャル「コロナ危機 女性にいま何が」 5日(土)午後9時~


生活保護:窓口対応の問題

2020-10-14 21:34:31 | 反貧困
 収入が大幅に減ったり、仕事を失ったりする方が急増しています。今後も生活が成り立たない状態に追いつめられる方が増えていくでしょう。
 住居確保給付金、緊急小口資金貸付、総合支援資金貸付などの支援策も実施されていますが、雇用状況も悪化しているため、生活の立て直しはむずかしいことも予想されます。
 憲法25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」をするための最後のセーフティーネットが生活保護制度です。一定基準の生活費(地域によって違います)と住宅費(賃貸住宅の家賃)、医療費・介護費用(健康保険・介護保険の範囲内)などが支給されます。受給希望者は、市町村の窓口で申請して、審査の後、支給が決定されます。申請後、14日以内に決定を通知しなければいけません。

 窓口職員による違法・不当な対応がかなり以前から問題になっています。相談に訪れた方を追い返す事例が多発しています。「水際作戦」と呼ばれています。「まず親族に援助(扶養)をもとめなさい」、(求職中の方に)「仕事は探せば見つかるはず」などと告げて申請させない対応は誤ったものです。厚労省も最近、「保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むべき」という「お叱り」の文書を全国の担当部署向けに出しています。
 以前、小田原市の生活保護担当職員が「生活保護なめんな」などと書かれたジャンパーを着用して業務にあたっていたことが明らかにされました。保護受給者や相談者を威圧し、精神的苦痛を与える行為です。

深刻化する子どもの貧困

2020-10-10 21:43:22 | 反貧困
 COVID-19の流行にともなって、子どもたちの食生活の問題も深刻になっています。休校期間中は学校給食を食べられなくなったこと、各地の子ども食堂が活動を休止したり縮小したこと、母子家庭において母親の収入が減少したことなどが要因になっています。
 母子家庭の食生活についてのアンケート調査によると、インスタント食品が増えた、炭水化物だけの食事が増えた、お菓子やおやつを食事の代わりにすることが増えた、1日の食事の回数が減った、1回の食事量が減ったという回答が数多く寄せられました(しんぐるまざあず・ふぉーらむ)。栄養の不十分な食生活、あるいは栄養のバランスが悪い食事を続けていると健康な成長に悪影響を及ぼします。「経済格差」が「健康格差」をもたらすことになります。
 休校期間中、学習環境に恵まれなかった家庭の子どもたちの学習の遅れも心配されます。低学力のまま社会に出て、十分な収入が得られないという「貧困の連鎖」におちいるおそれもあります。「経済格差」が「学力格差」の要因となって、「経済格差」を再生産してしまうという構造が指摘されています。
 家庭への食材・食事の無料宅配、子ども食堂への公的支援、学校での朝食の提供などの支援策が必要です。学習の遅れている子どもへの補習などの支援やさまざまな学校費用(給食費、教材費、部活費用、修学旅行費など)、医療費などの援助も求められるところです。

NPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」では、ひとり親家庭への食料支援などのために寄付を募っています。


なぜ、日本はここまで「子どもの貧困」大国になってしまったのか
  阿部彩