インターネット失敗百選

ECコンサルタントがネットサービスの失敗事例を1日1個紹介しそのメカニズムを解剖。中尾政之著「失敗百選」のパロディです。

【その2】先代ライブドア(前刀社長)

2006年01月06日 | Weblog



堀江社長が買収する前の、無料プロバイダのライブドア(前刀禎明社長)。

莫大な宣伝予算に加え、「無料プロバイダの老舗」としてのネット系雑誌媒体にも多く取り上げられ、ネット利用者の間での認知度は高く、契約者も一定件数には達していた。
しかし、堅実な有料プロバイダと併用している利用者が多く、実際にライブドアを重宝している人は少なかったようだ。

失敗の要因として、
1、「無料」と謳いながら実際はアクセスポイントまでの電話料金が発生した。
  (当たり前のことだが利用者はすべてコミコミで無料か否かを判断する)

2、ADSLの普及(ダイアルアップの縮小)
  インターネットに接続するための電話番号を、特定の通信事業者のもの
  に限定させて得られる手数料が目減りしていった。

3、バナー広告が売れなかった
  「無料」を旗印に集めた利用者は、客層も悪い。(消費活動に消極的)
  ブランドイメージ的にも、広告媒体としての価値が低い。

4、社長の前刀氏がやり手だった(投資家からカネを引っ張ってくる力がある)
  これは通常よいことなのだが、同社に限っていえば、
  カネがなくなればまた集めてくればいい的な驕りがあったのではないか。
  そうでなければあんなに大量の広告出稿はできないであろう。


現在、前刀氏はアップル日本法人の社長に収まっている。成功する確率が極めて高い「おいしい職」である。
自分や会社を売り込むプレゼンテーション能力の高さを物語っている。
いつかまた起業するであろう。ぜひ今後もがんばってほしい。



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【その1】アカウントアグリゲーション

2006年01月05日 | Weblog
*概念図は株式会社サイオのサイトから転載

米国発祥のアカウントアグリゲーションと呼ばれるサービス。
複数サービスのパスワードを一括管理してくれるというもの。

銀行やgooなど多くの事業主がいまだ提供しているが、5年前あたりにNRIが参入するときに大々的に報じられていたのも鑑み、2006年時点で日本では定着しなかったサービスと言わざるを得ない。

どうして流行しなかったのだろうか?

1、IDとパスワードをどこかに預ける行為がそもそも気持ち悪い。自分で管理したい。

2、通常パスワードは変更できるので、日本人は、どのサービスのパスワードも同一に設定しているのではないか?
  (つまりIDのみ覚えればパスワードを覚える必要はない)

3、そもそも2~3つ程度のアカウントであれば記憶できる範囲内。

4、ブラウザに記憶させているので記憶する必要がない(オートログイン)。

5、そもそもアカウントアグリゲーションという存在を知らない。


いずれにしても、こういったエンドユーザーに普及していない機能は、
BtoBで東京三菱銀行などの大企業に売りっぱなしにするのが賢いですね。



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