インターネット失敗百選

ECコンサルタントがネットサービスの失敗事例を1日1個紹介しそのメカニズムを解剖。中尾政之著「失敗百選」のパロディです。

【その17】Hotmail

2006年01月31日 | Weblog



2000年ころは「WEBメール」の代名詞とも言われていたHotmail。

多くの人が、会社メールや自宅プロバイダのメールを通常のアカウントとし、
二番目のアカウントとしてHotmailを使用していた。

Hotmailのメリットは、以下の3つだった。

「使い捨て可能」
「匿名性が高い」
「会社や家族に見られたくない」


会社のメールを上司などに閲覧される可能性については、(実際に閲覧するかは別として)当時から企業で働く人々の共通認識となっていた。

勤務時間中の恋人との連絡や転職活動など、万が一にも社内の人間に見られては困る内容のメールは、HOTMAILを使うが多かった。

また、当時流行した出会い系や海外のアダルトサイト、掲示板など、怪しいサービスに登録する際の「捨てアカウント」としても多くの人に重宝された。


しかし、その後hotmailを日常的に使用する人は激減した。
なぜだろうか。


第一に、その「匿名性」「捨てアカウント」のイメージがゆえに、
HOTMAILを使うこと自体に怪しい印象がついてしまったことだろう。

ビジネスやオークションなどでHOTMAILを連絡先としている人物は
それだけで怪しいイメージを持ってしまう。

また、メールアドレス登録を必要とするWEBサービスは多いが、HOTMAILなどのアドレスはお断りという会社も出てきてしまった。

そもそも、いくらWEBメールを使用したとしても、インターネット上で完全なる匿名性を維持できないことも広く認知され、匿名メール自体のニーズがなくなったとも言える。


第二に、大量の迷惑メールの存在だ。
これはどのWEBメールでも同じことに思えるが実はそうではない。

迷惑メールの大部分は海外から英語で送られてくるものだ。
したがって、日本人と外国人が同じドメイン(@hotmail.com)を使用するHOTMAILと、@yahoo.comと@yahoo.co.jpとに使い分けているYahoo!メールとでは迷惑メールの受信数が圧倒的に異なる。
(迷惑メール送信者は@hotmail以前の文字列をランダムに送信している)

筆者のhotmailアドレスにも1日100件を超える迷惑メールが届くようになって利用をやめた。


第三にYahoo!メールの躍進だ。
Yahoo!メールももともとはHotmailと変わらない怪しいイメージがついていたが、ADSL事業に進出して一部アドレスの個人情報との紐付けを行ったことで、niftyやbiglobe等のプロバイダ発行アドレス並の正統イメージをかもし出すことになった(自宅でybb.ne.jpを、会社でyahoo.co.jpを利用する手法も後押しした)。

また、Yahoo!オークションIDと紐づいて落札後のやり取りに頻繁に利用されるようになったことからも広く市民権を得た。


以上3点見てきたが、私自身やめる原因となった「第二」の問題が一番大きいと思う。

どうしてHotmail.co.jpというアドレスを取得しなかったのか、今でも疑問に残る。



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