エロゲ感考おきば

エロゲの感想をメインに、時たま考察を綴ろうと思います。ネタバレありで書きますが、注意書きは入れるようにします。

椎名真穂のヒミツ_感想

2020-05-17 00:52:39 | エロゲ感想


<公式サイトリンク>http://www.astronauts.co.jp/comet/maho_himitsu/

はじめに
 
 今回、この『椎名真穂のヒミツ ◆◆ネームはHで思いつきます◆◆』をレビューするに至ったのには中々手頃な作品だったからです。
 実は抜きゲーをレビューするのは初めての試みになります。元々何かしらシナリオならキャラ萌えやらがある作品をレビューするつもりで始めたブログでしたが、エロゲをレビューするにあたって文章を綴るという作業にとても気力をさかなくてはいけないことがわかり、なんだかんだブログレビューするくらいならその時間エロゲをプレイしたほうがいいんじゃないって事で長らく放置していました。
 要するに面倒くさくなってたわけですが、このエロゲをやってモチベーションをもらったのでレビューしたいと思いました。抜きゲーについても、やってはいましたし、抜ける作品ももちろんありましたが、中々自分好みの作品というものには出会えませんでした。
 そんな中で見つけた自分好みの抜きゲーって言うのがこの『椎名真穂のヒミツ ◆◆ネームはHで思いつきます◆◆』になります。DLsiteのGWセールで割引されてまして、しかもクーポンまで使うことで元々ロープラでしたがさらに2000円もかからず、しかも安さの割に内容も良くて大満足でした。
 ロープラなんでプレイ時間自体はそんなにないのですが、逆にダレることなく終わってましたし、案外一人だけ攻略すればいいロープラの方が疲れることなくプレイできるのではって思います。
 というわけで早速レビューしていこうと思います。ネタバレを気にするような作品ではないですが、一応お話の内容にも触れると思いますのでご了承ください。

感想
 
 まずこのエロゲが一体どんなゲームだったかというと、アパートの美人管理人が実は同人作家であり、エロ同人の取材という名目のもとエッチなことをするゲームになっております。付き合ってるわけではなく、逆に援交だとか陵辱だとかそういうわけでもなくて、適度に距離感を保ったまま互いに合意の上でエッチするところが良かったです。エロ同人のクオリティを上げるためという建前の元で、実際はエッチなことがしたいっていう熱い心が伝わってきてムラムラしました。
 それで適度な距離感っていうと具体的には普段は敬語で話し合う関係のことなんですが、というかエッチシーンもだいたいそうですが、とにかく礼儀とかそういう秩序とエッチが両立しているのが良かったです。毎回エッチをしたあとに「お疲れさまでした」と声を掛け合うところは特に気に入っています。普段主人公の台詞にアテレコをしない僕ではありますが、不肖ながらこの「お疲れさまでした」だけは言うことにしておりました。すると不思議なことに心に少し安らぎが生まれるのです。お互いを愛し合った中でエッチのあとにピロートークしたり、抱き合ったり、相手に甘えた態度をとるシーンはたくさんのエロゲであるわけですが、どれも好意的ではありますがあまりにも濃過ぎたためかそこまで好きにはなれないでいました。
 しかしこのひと仕事終えたあとに挨拶をする、相手に対するほんのささやかな労りっていうそういうものにはとても感化されてしまいました。些細なことですがある程度好意的ではありつつも礼儀をもって接するというものを僕は求めていたのかもしれません。
 エッチをするにしても愛だの欲だのを元に、好きという気持ちに罪悪感に愉快に何かしらそういうルーチンの元に書かれた文章に飽きていたのかもしれません。二元化して語られるものばかりでちょうどいい塩梅のものが中々なかったのです。その点この作品は、もちろんご都合主義的ではありますが特に酷いわけでもなく愛し合ってるわけでもなくこういう関係こそだなと思え、頭で納得した上で抜けました。

 さてこのゲームはお疲れ様のゲームでありますが、同時にお掃除フェラのゲームでもあります。毎回エッチのあとには必ずお掃除フェラをしてくれる描写があります。このシーンはCGもこだわっており、メーカーが力を入れていることがわかります。最初のエッチはフェラから始まり、そしてフェラで終わります。そしてヒロインの椎名真穂は精液の美味しさを知るのでした。
 お掃除フェラの動機付けが、なかったりするとAVの影響とかそういうのが頭に浮かんで萎えるのですが、この作品はただ単純に本人がそれを好きだからっていう落とし所を作ってくれたのが良かったです。もちろんサービス精神っていう動機も含まれるのでしょうが、サービス精神自体が主体になってしまうとそこまでやることに身を引いてしまうっていう気持ちもあり、味が好きだからっていうのはお掃除フェラの動機に対する一種の解なんだなって思いました。
 
 以上のようにこの作品は、エッチのあとの「お疲れ様」と、エッチのあとの「お掃除フェラ」が秀逸で、エッチのあとのアフターフォローに秀でた作品になっております。普通の作品ならエッチそのものが主体となって力を入れて作られているのですが、この作品は事後に力を入れて作られています。 そういった面はもちろん新鮮味もありましたが、安心感もありました。事後の挨拶とお掃除フェラというルーチンを経てきれいに性交を終えることができるのです。
 しかしこの展開っていうのも表現するのが中々難しいでしょう。挨拶にこだわりすぎてもいけないし、お掃除フェラにテキトーな動機付けをもってきてもいけないっていう……。雑になりすぎないように適度に作られているの点はとても評価できます。

 最後にキャラ紹介をしておこうと思います。
 この椎名真穂さんは巨乳で、大家さんなので礼儀正しく、そしてエッチです。
 以上です。

 この作品は原画がとても良かったと思います。はじめにこの作品を購入しようと思ったのもパッケージでですし、この作品の表紙を見ていいなと思った人は買っていいと思います。絵が綺麗でとてもシコいです。もちろんシチュエーションの方も良くて抜群に抜けます。
 尺はそこまで長くないのですが、抜きゲーならむしろこのくらいの方がいいと思います。
 というか総じてエロゲの尺ってそんな必要ないと思います。長くなくていいから安くして欲しいまであります。
 以上で『椎名真穂のヒミツ』のレビューを終わります。興味をもった方はぜひ買いましょう。

ヒマワリと恋の記憶_感想

2019-11-03 16:59:16 | エロゲ感想


はじめに
 このエロゲはmoreブランドのゲームで、このブランドだと事前に期待していた通り音楽面がとても良かったです。それに合わせてグラフィックと原画も美しかったです。CGは夕暮れ時の景色などがとても美しくて、それに加えて和遥キナ先生によるキャラクターがとてもきれいでえちえちでした。
 このエロゲ、ほとんど一人のヒロインのために描かれているというかメインヒロイン二人で、ツンデレの方が軍を抜いて可愛かった感じです。僕は通常ツンデレヒロインはツンツンしているときにイラッとくるかデレきった後に飽きるタイプで嫌厭していたわけですが、このヒロインだけは特別でどうも最後まで大切な存在でありました。ツンデレ量産世代の薄っぺらいキャラクターとは違って、心があって理想が詰まってました。。。

 このエロゲの改善点を述べるとすると、まず一つ目にバグが多かったというところです。修正パッチ入れなかった僕が悪かった話でもありますが、上記二人のメインヒロインとtureルートのバグの多さは特に酷かったです。ここの部分を一番最後まで根を詰めて作っていたという頑張りは滲み出ているのですが、しかしフルプレイスの完成品のエロゲとしてそれはどうかと思いました。スクリプトと声優のセリフがずれていたり、酷いときはリテイクの音声がそのまま流れたりします。あじ秋刀魚さんの「もう一回お願いします」が聞けたりします。ちなみにこのセリフを聞けたのはは少し嬉しかったです。しかし流石にちょっと…デバックくらいはしてもらいたいです。
皆さん、『ヒマワリと恋の記憶』をプレイされる際は修正パッチはマストですよ。

 そして二つ目はメイン二人以外のヒロインのルートがあんまり面白くなかったことです。共通ルートの部分からメイン二人は絶対面白そうでぜひプレイしたいと思っていたわけですが残りの二人はほんと出涸らしみたいなもので、前者を早くプレイしたいのに、トゥルーに関係ありそうだから後回しにせずにいられなくて、つまんない部分からやるしかなくてじれったかったです。
 
 まぁそれでもラストたった一人のヒロインのためにこのエロゲには光るものを感じました。今までの攻略は教訓だったんだなとか、間違いがあっても突き進んでいくところとか荒削りではありますが、いや、だからこそ青臭くてよかったなとしみじみと感じます。

キャラ紹介

月浦亜依(cvあじ秋刀魚)
お嬢様で清楚さとエキセントリックさを併せ持つ。可愛い。



荻浜茜(cv橘まお)
ツンデレ。素直じゃないけど自分に向き合うことができて他人のために行動できる。好き。



水押カナ(cv貴坂理緒)
幼馴染。数合わせ。



蛇田汐里(cvヒマリ)
迷い子。声は良いし、えっちしーんはえちえち。でもおまけヒロインって感じ。



※ここからネタバレあり


感想
 
 前述した通りこのエロゲは真のヒロイン荻浜茜のために作られたと言っても過言じゃありません。





 はじめ主人公―元倉優は放課後音楽室でピアノを弾く亜依に憧れを抱いていました。そんな彼を見て茜はストーカー呼ばわりするわけです。しかし、茜もまた主人公の幼馴染でサッカー部のキャプテンである隼人に好意を抱いており、わざわざ早起きして朝練を眺めたり、人のことは言えもんじゃありません。互いのそんな一面を知ったあと、二人は互いに恋を応援するという同盟を結びます。優は隼人の幼馴染で、茜は亜依の幼馴染です。この二人ってなんかすごい似てますよね。そういうわけで似た者同士、それぞれの恋を成就させようと、まぁこの時点でなんか先の展開がだいたい読めるというか、こういう王道展開になってほしいという願望をいだきつつも続きが気になってプレイしていくのでした。
 
 最初険悪だった二人は同盟を通して互いを認めあって行きます。そしていつの間にか自分の恋よりも相手の恋を叶えてやりたいという自譲の心が芽生え始めます。この頃はまだ恋愛感情なんて互いに持ち合わせてなかったのですが、彼らは憧れの存在であった亜依・隼人が恋愛対象としてではなくただの尊敬の対象だったと気づいていきます。ですが、二人とも恋をやめたのが自分だけだと思い込んでるものですから、お互いにお節介を焼いて関係をこじらせていったりします。








 
 こんな感じにいがみ合ったり、仲良くなったり、気持ちがすれ違ったりしながらスローペースで彼らの恋を歩んでいくわけでして、これこそ学園青春モノにふさわしく理想の純愛協育なのだとしみじみと実感しました。
 
 ここまで全体的な流れのみを追って来ていきなり言わせてもらいますが、荻浜茜は本当に最高のヒロインです。だって単にツンツンしていて付き合いだしたら急にデレるテキトーに作られた量産型チョロインとは違い、、このエロゲの中心がどうしようもなく彼女であり、一ヒロインとしてではなく、一人の女の子として彼女に寄り添ったからこそ見えてくるものがあるからです。彼女と過ごした日々の中には、彼女の人物像を補完する思い出がたくさん詰まってます。だからこそ一見一昔前のラブコメのメインヒロインみたいな彼女がこれほどまでに好意を持つことが出来たのだと思います。


考察

考察対象は主に二つです。このエロゲの作品世界についてで、もう一つは主題歌についてです(こっちは一つ目から派生する余談のようなものです)。



 tureルート終盤にて、このエロゲで攻略してきた茜以外のヒロインたちとの生活は、主人公の記憶を元に天使が作り出したifの世界線であることが明らかになります。天使はクリスマスに愛に迷える人々を導くことを生業としており、今回、記憶の世界を創り出したのは、茜の仕事の大成を慮って別れを切り出した優を考え直させるためでした。ところが、その世界を創りだしたとき、同時にまた亜依もお見合いという愛に悩んでおり、主人公同様その世界に閉じ込められてしまうのです。そしてこの際、亜依が記憶を保持してしまい、その代償として本来あるはずの主人公の記憶は取り去られてしまいます。
 そうした背景があり、主人公は毎回記憶を失いながら学園時代にあったかもしれない身近な女の子との青春を繰り返すのでした。しかしその夢のような生活もタイムリミットがありました。そんな期限の迫った夕暮れのひまわり畑にて亜依は言います。

「思い出してください、元倉さん。ここは私との思い出の場所じゃないはずです――」
亜依が大切にしてきた”恋の記憶”を主人公が受け継ぎます。しかし天使は言います。もうタイムリミットに間に合わないし、このもしもの世界に閉じ込められる、何度も楽しい青春時代を過ごせていいじゃないかと。

茜とふざけあったり‥‥
茜と笑い合ったり‥‥
茜と夢を語ったり‥‥
全部‥‥全部‥‥全部‥‥
俺の‥‥俺たちの大切な青春‥‥。
やり直すことなんて出来ない、大切な青春。
大切な恋の記憶なんだっ!!


優はそんな誘惑を当然のようにはねのけます。そしてもうタイムリミットには間に合わないというのにそれでも学祭で最後に一言茜に愛を伝えるため、バスでやってきた道を自転車でさかのぼっていきます。
「どうしてそこまでする?やり直したいことだってあるんだろ?
この世界で君は‥‥‥」
「ないっ!!やり直したい事なんてないっ!!!」
「どんな事があっても、逃げたかもしれないけど‥‥それも全部ひっくるめて俺の人生なんだっ!」
「そして、茜と過ごしてきた大切な青春‥‥‥それを無かったことにするなんて嫌だっ!!!」
「君の方から別れを告げたのに?」
「あぁ、俺がいくら謝ったって、好きだと言ったってもう遅いと思う。
それでも、きちんと伝えたい。俺にとっての茜は本当は手に放しちゃいけない、大切な存在だったってことを‥‥‥」
「そして、もし‥‥‥もし‥‥‥許されるなら‥‥‥。俺はこれから先の未来を茜と過ごしたいっ!過去の青春時代ではなく、これからの未来をっ!!」


 このシーン優くんが最高に格好いいと思います。すごいくらい世界系してますね。世界系はハマるかハマらないかで当たり外れが激しいですがこの作品の世界系は割と気に入ってます。完全に僕自身の感性によるものですが、行動が理にかなっていうのかな…この人物ならこうするんだろうなとかむしろこうすべきだろうとか、茜への行動はエロゲを通して愛を育んだ僕にとっては納得の内容でした。あと今にとらわれずにしっかり過去を受け止めて未来に進んで行くところがかっこよかったです。

 こんなラストの展開について一つ考察したいことがあってそれは”愛”についてです。とはいっても別に大層なことを言いたいわけではないです。
担任坂本のその本職――天使は人間の愛の手助けをしています。
下のセリフをご覧いただきたい。



愛のキューピッド。
きっとこっちの方が聞き覚えがありますよね。
恋のキューピッド。
この作品に恋と愛の区別があるものだと考えて見て下さい。
このエロゲにおいて恋とは何だったでしょうか??
これまで優は何度も青春時代を繰り返してきた。そして、ときに幼馴染と、引っ込み思案な女の子と、どこかずれたお嬢様と、ちょっとしたきっかけから惹かれ合って――きっとこれが恋なんだと思います。けれどこれらの恋は全てもしもの世界の出来事です。これらの恋よりも前に現実の世界で茜と恋をしたのです。現実のたった一度きりの青春時代は茜とともにあったのです。
ここで主題歌の話をしますが、EDの『First love』のことは以前から知っており、この曲名をただ単に初恋というふうに捉えいい曲だなぁと思ってたのですが、このエロゲをプレイし終えて真のニュアンスを知ってとても感慨深いものになりました。青春時代には色んな女の子と恋仲になったかもしれない可能性があって、でもそんな最初にして一度きりの青春でくっついたのが
茜で、二番目、三番目の恋はもしもの世界で追体験するっていう…だからこそ茜だけは特別で”一番目の恋”という意味の『First love』があったんだと気づいてすごいしっくり来てます。しかもこの曲茜のテーマソングみたいなもので、作中では茜が作った曲という設定でtureのラストでは茜が学祭でこの曲を歌うという流れでEDに入ります。しかもEXTRAを確認するとこの曲のオフボーカル版のサントラのタイトルが『アカネ』だったりするんですよね。そういうわけで普段何気なく聴いていたこの『First love』には茜との思い出がいっぱい詰まっていたいたのでした。
 ちなみに、ただの対比なので理由としては不十分かもですが、OPの方は亜依をイメージして作られた曲のように思います。『恋の記憶』っていうタイトルがもしもの世界で優の代わりに亜依が記憶をもっていたことからなんとなく想像できます。詳細はわかりませんが、亜依ルートとかtureルート調べてみれば歌詞が境遇と一致したりするかもしれません。興味があったら調べてみて下さい。

 話を戻すと、茜とは、いがみ合ったり、笑い合ったり、泣いたり、怒ったり、たくさんの出来事を共有しながら惹かれ合って大切な存在になっていきます。恋はいつしか過去になり、その思い出を分け合って互いを愛おしく思います。作中にも出てきた”恋の記憶”とは愛を育んでいくものなのでしょう。
 この作品は僕に大切なことを気付かせてくれました。ヒロインと恋愛をしたその後についてです。
 昨今、僕は色々なエロゲをプレイしてそんなエロゲのうちの一つの中でも様々なヒロインたちに出会います。そしてそのヒロインたち全てと恋をして、攻略して、クリアしたら、何事もなかったように次のヒロインに向かいます。前のヒロインの記憶は追いやられ、次から次に新しいヒロインばかりを求め、僕は本当にキャラクターを愛しているのと言えるのだろうか。たった一度きりのだからこそかけがえのない青春時代を何度も過ごしてそこに一体どれだけの価値があるのだと言うのだろうか。そんな疑問がふと僕の頭に湧いてきたのです。一人のヒロインを大切にするというそういうメッセージ性をこのエロゲはもっていました。このメッセージ性こそがこの作品のもっとも光る部分なんだと思います。特に僕みたいなエロゲーマーには心にささりました。こういう部分も含めてこれからは精進してプレイしていこうと思います。
 


おまけ




この青空に約束を――感想

2019-08-27 01:01:34 | エロゲ感想


紹介
本土から南に離れた南栄生島。この島の産業を支えてきた出水川重工の撤退により島は過疎化が進みつつあった。それは主人公たちが暮らす学生寮――つぐみ寮も同様で一人また一人と学生が減りつつあった。最後に残った6人とこんな時期に家庭の事情から引っ越してきた凜奈を加え、つぐみ寮の取り壊しまでの残り一年かけがえのない日々を送る。とにかく学園ものとして王道の中の王道をいき、未プレイの方にはぜひおすすめできます。

キャラ感想
宮穂→凜奈→沙衣里→静→奈緒子→海己の順でプレイしました。とくにプレイ順について話が繋がったりして推奨するところはありませんが、海己は最後にやることをおすすめします。一番身近な存在だけに色々なものが詰まっているのです。
・宮穂√
なんとなく一番気に入りました。犬っころのように「せんぱい~」って慕ってくるところが可愛かったです。
・凜奈√
最初は意地を張っていたけど根は素直でいいやつで、仲良くなってからもそれでいて些細なところから張り合って喧嘩しあうところが良かったです。なんだかんだ仲がいいところが微笑ましい。
・沙衣里√
沙衣ちゃんは最年長でありながらも、女子校育ちのバカで怠け者で酔っぱらいなところが可愛かったです。そして寮生を守るために一生懸命になるところはかっこよかったです。まぁ沙衣ちゃん自身が原因なんですけどね。
・静√
静は寮に引き取られる前、色々あって多くは語られないのですが、あまりいい家庭環境じゃなかったようで、わたるとの肉体関係によりどうも二次性徴が始まって最後には少し大人になった美少女の静を拝めることができます。
・奈緒子√
奈緒子の脳でh色んな狡猾な打算が渦巻いているように見えて実は一途だったりします。
・海己√
さすが幼馴染。本ルートだけでなく、その他全てのルートにおいてうまい具合にお膳立てをしてヒロインを説得する手伝いをしたりしてくれます。そんなとても近い存在でありながらももう一歩は踏み込めない理由があります。彼女の長所は持ち前の頑固さだと思います。
・茜√
相変わらずのマシンガントークではありましたが、それでも航を気遣ってにぎやかせようとしているところが良いと思いました。茜ちゃんなんだかんだいって可愛かったので、もうちょっとシナリオあっても良かったと思います。

感想※ここからネタバレ多め
 
 丸戸先生の作品はホワイト・アルバム2、パルフェとやってきましたが個人的にこの作品が一番おもしろかったです。他の作品同様丸戸節の聞いたウィットに富んだ台詞に加え、この島の雰囲気というのがどうも最高でありました。学園シュミレーションゲームの王道と言いますか、この作品には只々清々しい青春を思わせるような雰囲気がありました。偏にこの作品の登場人物たちは寮において遠慮ない、容赦なくそして自由で個性的だったがためにこれほどまで居心地のいい空間だったのだと思います。仲間内だけ腹の黒さを顕にするリーダー的存在である生徒会長の奈緒子だったり、そんな彼女に遠慮なく言い返す宮だったり、酒飲みで役立たずのさえちゃん、ぼーっとしてるように見えてスペックが高い静に、謝ってばかりだけど根はひたすら頑固な海己がいて、そして入寮当初散々周りを困らせた凜奈もいる。だからといってこのメンバー協調性がないわけではなくて、皆寮が大好きで罵倒しながらも他の寮生のことを大切に思い、学園長たちが企む取り壊し計画に対して一丸になって抵抗します。そしてこの寮での日常というのがとても楽しいもので、あの凜奈ですら、この寮の居心地の良さに当てられ、一悶着あった末、当たり前のように馴染んでいるのでした。
 
 この作品の面白さは、まぁ丸戸作品全般に言えることですが、主人公とヒロインだけでなくて、その周りの人間だったり他のヒロインたちが主人公たちを慮ったり、気持ちを忖度したりどのルートにいってもどのキャラもそのキャラらしく何らかの行動をしているところにあります。普段馬鹿げて会話しているキャラクターたちがまるでホントの人間のように難しく悩んだりしている姿や上手くいかない展開を見るのがこの作品の楽しみ方の一つであったりします。善意で宮を遠ざけて失敗してしまう航だったり、凜奈と航の合わせ石の相手が違っていたり、奈緒子との過去の関係からこじらせていたり、そんな状況でもそれでも上手くやっていくところがとても好きです。

 最後の『約束の日』で案の定なきました。だって今まで楽しく暮らししてきた思い出の詰まったつぐみ寮が壊されてなくなるなんて泣くしかないじゃないですか。そんな取り壊しが原因で今まで馬鹿やってきた7人がそれぞれの道を歩き出して――自分たちの学園時代の居場所とともに、一緒に生活してきた仲間も離れていってどうしようもなく悲しかったです。
 
 この作品、相当昔の作品なんですが、そんなことは思わせないくらいシステムが良かったです。次の選択肢までスキップできるのでルート選択に不自由しませんでしたし、タイトル画面が凝っていたと思います。昼、夕、夜とプレイを開始する時間帯に合わせてタイトル画面の明るさが変わります。個人的に虫の鳴き声が聞こえてくる夜の画面を気に入っております。そしてこれだけかと思いきや、作中でお祭りがある日、つまり7月26日なんですが、この時間帯の夕方とか、夜にプレイしてみたところあのお祭りの音が聞こえてすげぇってなりました。あとクリアしていくと合わせ石が現れてきて、最後のおまけルートである茜ルートをクリアすると合わせ石が完成します。航の昔の合わせ石の相手は茜ちゃんだったわけですね。まぁそんなこんなで色んなものが詰まったのがこの作品なんだと思います。



月の彼方で逢いましょう_感想

2019-07-30 18:56:22 | エロゲ感想



はじめに
とりあえず未プレイの方も見れるような簡単な感想だけして考察でネタバレ入れていこうかと思います。
tone'worksの前作『銀色、遥か』が非常にボリューミィな内容だったので身構えていたのですが、あそこまで長くはなかったです。とは言ったものの一般的なエロゲと比べたらやっぱり量が多いです。
プレイ順なんですが、これは公式が雨音ちゃんラスト推奨って言ってたので従って、灯華→栞菜→うぐいす→霧子→きらり→聖衣良→雨音の順にプレイしていきました。結果から言うと、考察的にも思想的にもキャラの可愛さ的にも雨音ちゃん最後で間違いないです。とりあえず流れをくみたいなら灯華を、それとアフター三人は先にプレイしておくべきかと思います。

感想

本作の一番の魅力は、創作に対して興味をそそられることだと思います。高校時代、奏汰は文芸部でうぐいす先輩に見せるために文章を書いてっていう流れで物語を作っていくのですが、この物語がルートごとに異なり、それによって物書きとして上手くいったりいかなかったりします。いずれにせよ、物語が奏汰の人生を決めてると言っても過言ではなく、物語というのは全登場人物通して重要な要素なようです。そして漫画家の栞菜先生に、作家のきらりさん、編集長の霧子さんと形はどうであれ実際に物語の制作に関与しており、それに加え、アフター三人の話は現実寄りな内容となっていたこともあり、話の作り方だとか、編集の仕事だとか、作家の悩みだとかを見ているときが楽しかったです。ただこの三人のルートは短いのが玉に瑕であります。


各ヒロインの感想です。
・灯華√
さすがメインヒロインって感じでシナリオの締めまで良かったです。ただ不満点もあった。
・うぐいす√
聡明そうに見えて少しおちゃめなうぐいすさんが可愛かったです。ただ不満点もあった。
・雨音√
高校生の頃の雨音ちゃんが最高に可愛かった。最後はガチ泣きした。
・聖衣良√
可愛かった。そしてエロくなった。
・栞菜√
もうピュアピュアできゅんきゅんでした。ハガレン読み返したくなりました。
・霧子√
妥協しないところがかっこよかった。自分で年齢を気にしてるところが可愛かった。
・きらり
エロかった。

簡潔に書くならこんなもんだと思います。ぶっちゃけキャラは全員可愛かったです。特に雨音ちゃんと栞菜先生。ピュアなところが良かったです。この二人はシナリオも最高でした。この二人の√の担当だった白矢たつき先生すげぇってなりました。



唯一の不満点は、SF要素を使いこなせていなかったことなんじゃないかと思います。特に灯華と他ヒロインの話が水と油な気がして上手く組み合わさっていなかったと思えてくるのは私だけでしょうか。あと処女厨の皆さんなら物語の裏側で行われているあの異質さに気づいたことでしょう。ここらへんの話について次の考察で触れようかなと思います。




※この先、ネタバレ注意※




考察
考察と言っておきながら、中々不満混じりのものになってしまってますが、ご了承ください。
まず、全ての問題の出発点は灯華√にあるのです。そして他のルートを進めていって雨音√までクリアするとさらに悲しい現実が待っています。
雨音√で、過去に繋がる条件というのが全て明らかになります。
その条件は
1.通信の送り手と受け手と観測者が必要
2.観測者は死者である
3.スーパームーンの日に世界線が統合される
といったもので、そして共通アフター編で奏汰が過去にメッセージを送れたのは灯華が観測していたからです。つまりアフター編で灯華は死んでしまってるのです。そう知った上で、アフター三人の√について考えたら萎えました。さすがに死人の傍らでイチャイチャできるとはとても思えません。雨音√を先にやってたらたぶんつきかなのプレイ投げてたかもしれません。

 また灯華√自身についても不満点はあります。はじめ灯華と恋愛関係に至らなかった奏汰はアフター編で高校時代の自分と通信を始めます。そして社会人の奏汰のアドバイスによって、高校生の方は灯華と付き合い出すのですが、段々この高校生の奏汰は社会人の方の忠告に聞く耳を持たない傲慢な性格になっていきます。口先だけで勇敢なことを言って見せ、若干不良ぶった言動が鼻につき、こいつにとことんイライラが募ります。

果たしてこんな傲慢な奏汰を本来の奏汰と同一人物と言っていいのでしょうか。
 
 人の人格というのは、その人が過ごしていた環境だとか経験だとかによって決まるといいます。同じ遺伝子を持っていたとしてもその後どう生きたかによって全く別人格になります。現に、二人の奏汰の性格の不一致には違和感を超え不快感すら感じるほど強烈でした。つまりこいつは奏汰ではなく、奏汰の偽物なのです。そして偽物に対し、バカみたいに股を開く灯華。初めの善良な方の奏汰を主人公だと思っていた私には、このシーンは意識を乗っ取られた上でNTRれたような、けれど全くもって抜けないようなそういう不可解な情景として見れました。抜けなかったのは偏に灯華の人格もどこか狂っており、こちらも意識を失って、外見だけ似せた全く別の動物が二匹交尾を行っているように思えたからであります。
 
 その後、まともな方の奏汰が色々調べて上げたおかげで灯華は無事助かり、そんなこんなでスーパームーンの日になって、この傲慢な方の奏汰と統合されてしまいます。そしてそれは灯華も同じです。彼女の場合、死んでいた状態から生き返りますが…。電波塔の上で感動の再開を果たした頃には灯華はすでに非処女です。奏汰も非童貞です。しかしまだこのままだと奏汰は灯華とえっちをしてないのです。事実は存在しようとも経験は伴ってないからです。そして何事もなかったかのように物語は終わります。むしろ何事もないまま終わるのです。
処女性に関して新しい観点を呈したというところは評価すべきなんだろうけど、個人的な感想としてはあまりよろしくなかったです。
 
 あと灯華は死んでるせいで他のアフター編に一切登場しない独立した存在で、加えて一番初めに攻略したこともあり、メインヒロインのくせに攻略以来、完全に空気のように影の薄い存在でした。各ヒロイン、他のルートでも見せ場があるんですけど、灯華だけはなかったです。そもそもいないのだから仕方ないのですが。アフター編に登場するのが自身のルートだけっていう――このせいで灯華だけ本作において他の部分と交わりのない水に浮かぶ油のような存在だったと思いました。そしてメインヒロインの座を完全に雨音ちゃんにもってかれちゃった感じがしました。雨音√では、つらい過去があったからこそ今があるのだと、過去も尊重すべきだと思い、改変を行わないのです。もちろん奏汰に出会えたということもあると思いますが、これは灯華√とついでにうぐいす√を完全に否定してしまっているのです。そして私は雨音ちゃんが言ってることの方が正しいと思いました。たとえ蘇らせることができても、死者は死者のままにして生きていくべきなんだと思います。そう考えてしまうと、どうも灯華√とうぐいす√がかすんで見えてくるわけです。

あんまり批判ばっかりするのもあれなんで、雨音ちゃんの可愛さについて語って終わろうと思います。

個人的に恋に無自覚なまま奏汰を大好きになっていくっていう友達以上恋人未満の関係がとても気に入っています。
バイトを頑張る雨音ちゃんも可愛かったです。と同時に引きこもってバイトをやり過ごそうとする雨音ちゃんも可愛かったです。
炊事も洗濯も掃除も家事は何一つできなかった雨音ちゃんがいつの間にか随分家庭的になってたことに関心しました。
結婚式前夜の両親に一度だけ再開するシーンは号泣ものでした。








9nineここのつここのかここのいろ_感想

2019-05-31 19:14:45 | エロゲ感想


感想

ただのキャラゲーかと思ってたら、ストーリーも中々良くて先の展開が一々気になってワクワクしていました。元々ロープライスで内容が短かったですが、その分システムやCGなどクオリティが高かったです。EDもかっこよかったです。

・キャラ
キャラに関しては都がメインヒロインなのですが、どうしても妹の方がインパクトが強かった印象がありました。ぶっちゃけあの天のうるさい感じがたまらんかたです。しかもCV沢澤砂羽っていう。もうね、どうしようもないくらい最高でした。続編のそらいろが楽しみです。
いきなり天の話になってしまいましたが、都ちゃんも別に好きじゃないわけではない。むしろ普通に可愛いです。少し学校以外の顔を知っているクラスメイトというところから、不思議なチカラをきっかけに仲良くなっていくのとても幸せでした。都ちゃんに毎日ハンバーグ作ってもらいたいです。優しくて、お嬢様だけど節約家で生真面目なところがあって、だけど少しドジなところが可愛かったです。あとその生真面目な性格からか、えっちシーンがしこかったです。普段まじめなほど抜けるってやつでしょうか。とにかく彼女が僕の心をくすぐったのは確かです。





・ストーリー
ひょんなことから町の人たちの中に超能力に目覚める人が現れます。能力を持った人の中には悪用する人もおり、主人公たちは自分たちの力でその犯人を突き止めようとするといった内容でして、能力とは何かだったり、誰が犯人かだったりそういう引きに心奪われ、気になってワクワクしてました。
あと強制バッドエンドがあったので少し心苦しかったです。

・システム
バックログ画面からシーンジャンプあり、あとエフェクトが出てくるのが良かったです。ハートマークだったりクエッションマークだったりがキャラの周りにポップします。キャラの雰囲気とかがわかりやすくてよかったです。


あとおまけとして、ギャラリーのスタンドから立ち絵とセリフをいじって遊べます。立ち絵の種類などは制限がありますが、色々作れて楽しかったです。何かよくわからないの作って喜んでました。